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日本インターネットガバナンスフォーラム2022レポート

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日本インターネットガバナンスフォーラム2022(日本IGF2022)が、2022年10月26日(水)から28日(金)まで、26日はプレイベントとしてオンラインのみ、27日、28日ははエッサム神田ホール1号館を会場としてハイブリッドで開催されました。本稿では、準備段階の話や当日の様子をかいつまんでお伝えします。

主催は「IGF2023に向けた国内IGF活動活発化チーム」です。このチームは名前が示すように、日本のNational Regional IGF Initiative (NRI)として認知されているJapanIGFを、日本で開催されることが決まっているIGF2023に合わせて、活発化しようとして活動しているグループです。政府、ビジネス、市民社会、技術コミュニティからの参加者が集い、IGFの原則であるマルチステークホルダーアプローチで活動を行っています。ほぼ3週間に一度のペースでWeb会議を行い。NRIの活動を支えるための運営体制の検討や、イベントの企画準備を行いますが、今回のイベントの計画にはプログラム委員会をサブグループとして編成して検討を進めました。

【プレイベント】 バーチャル美少女ねむさんとのトークイベント「メタバース時代のインターネットガバナンス」

2022年10月26日のプレイベントでは、バーチャル美少女ねむ さんをお呼びしました。ねむさんは、「世界最古のバーチャルYouTuber」「メタバース原住民」を名乗っていて、生身の人間ではなく、メタバース上のアバターをアイデンティティとして、メタバース文化の発展のために講演や執筆も精力的に行っています。ご関心のある方は、ねむさんのWebページや、Note.comのページをご覧ください。まず、セッションの前半は、バーチャルYouTuberのことをよく知らない参加者のために、メタバースがどのような技術によって実現されているか、トラッカーと呼ばれる体の動きを検知してアバターの動きに反映する装置や、メタバース空間の構築やアバターの制御について解説がありました。その後には参加者の素朴な疑問に答える質疑応答などが続き、例えばバーチャルであればアイデンティティの盗用が起こりやすいのでは、といった質問に対して、中の人(操作者)が変わるとはっきりと分かるといった回答が返されました。また海外から参加なさったかたから、日本語が分からないので今日の内容は分からないが、来年のIGF2023でぜひ拝見したい、といった意見が聞かれました。これまでのものとまったく異なる、メタバースの世界を垣間見ることができるセッションとなりました。

【第1日】開会式とオープニングセッション

2022年10月27日の第1日は15時に開会し、国連IGF事務局のChengetai Masangoさんのビデオメッセージをいただき、総務省国際戦略局次長の小野寺修さんと慶應義塾大学教授の村井純さんにご挨拶いただきました。Masangoさんのメッセージでは、IGF2023に向けて準備が順調であること、日本政府による開催に全幅の信頼を寄せており、期待していること、また国内IGF活動に対する祝福が示されました。

村井教授のご挨拶の後、日本IGF2022の全体テーマである「今、改めて問われるインターネットの自由」と題したオープニングセッションに移りました。小野寺さん、遠隔参加であった村井さんとともに、司会進行を務める、活発化チームチェアの加藤幹之さん、同プログラム委員長でオープニングセッションの司会を務める上村圭介さんが壇上に並んでセッションが開始されました。

村井さんは冒頭、人類が生み出したグローバルな空間であるインターネットは、当初圧倒的な便益で歓迎されたが、不正利用にどう対処するかに関する答えがなかった。今インターネットは、実社会と切っても切り離せなくなったが、このグローバル空間に必要な規律を各国政府とともに考えて、やり遂げなければならないと指摘しました。途中上村さんは、全体テーマ設定の理由として、ウクライナ情勢を始めとする最近世界中で起こっていることを眺めるにつけ、インターネットの自由というものが変質してきたのではないかと思ったからと述べましたが、これは複数のテーマセッションでも取り扱われているテーマであり、村井さんの指摘は、全体テーマとともに、日本IGF2022全体に通底するものだと思われました。またセッション後半では、ロシアや中国の現在のインターネットの考え方に反する方針を掲げているように見えるという会場からのコメントに対して、村井さんは「中露もグローバルマーケットを実現しているインターネット自体に反対しているわけではなく、そこに望みがある」と述べました。

【第2日】特別セッション「IGF2023日本開催に向けて」

2022年10月28日最後のセッションは「IGF2023日本開催に向けて」と題されました。JPNICの前村から、IGF2023のローカルホストを務める日本政府に対して、グローバルコミュニティへのメッセージの打ち出し方などの対応方針を進言するために、民間団体や企業を会員とする「日本IGFタスクフォース(仮称)」設立するべく準備中であることを紹介しました。その後には、APC (Association for Progressive Communications)が制作した「Futures of internet governance: A case」というタイトルの、インターネットガバナンスが失敗した2031年の物語がビデオで流され、それを元に議論が行われました。壇上には、上村さん、総務省国際戦略局情報通信政策総合研究官の飯田陽一さん、IGFのマルチステークホルダー諮問委員の河内淳子さん、前村に加え、NTTコミュニケーションズにお勤めで、ICANNに積極的に参加なさるなど、インターネットガバナンス領域でご活躍のラフィック・ダンマクさん(チュニジア出身)が並びました。

ダンマクさんはチュニジアで発生した情報統制などの経験を共有し、日本では想像もつかないような厳しい状況に晒されているような人々の声に耳を傾けてほしいとおっしゃいました。壇上や会場から、ビデオのいろいろなエピソードに対する感想やコメントが寄せられました。問題を解決することに目が行きやすいIGFですが、問題自体に目が行き過ぎてそれを拡散するような結果にならないように、また、ポジティブな未来像を示すことの重要性も指摘され、最後はIGF2023や国内IGF活動に参加を呼び掛ける壇上からのメッセージで締められました。

おわりに

活発化チームは2020年から活動を開始し、今回初めてのハイブリッド開催となりました。プログラム委員会は丹念にプロセスを構築し、ここで紹介できなかったテーマセッションは、公募の上で審査をして採用。その結果、電気通信事業法改正、オンライン海賊版対策、スプリンターネット、日本のインターネット基盤と多彩なテーマでどれも充実したセッションが集まり、会場とオンラインを合わせると参加者は100人を超えました。現在会合後資料の整理と準備を進めているところで、発表資料とビデオアーカイブは近日中に公開となりますので、楽しみに待っていただければと思います。今後IGF2023に向けてさらに国内の議論を盛り上げられるよう、活発化チームで取り組んでいきたいと思います。

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