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「ブロッキング要請を巡る諸課題~海賊版サイト対策検討の行方~」IW2018セッション紹介第4回

投稿者 event_team on 2018年11月9日

Internet Weekのプログラム紹介です。担当は本イベントの実行委員を務めている法林浩之(日本UNIXユーザ会)です。

今回ご紹介するのは、11月29日(木)に行われる2.5時間プログラム「ブロッキング要請を巡る諸課題~海賊版サイト対策検討の行方~」です。このプログラムを担当している山崎信さん(JPNIC)に話をうかがいました。


 hourin.png法林:Internet Weekでは毎年、運営側が「社会派」と呼んでいる分野のプログラムがいくつか組まれます。なぜこのジャンルだけ「派」がつくのか謎なんですが、まあそれは置いといて、このブロッキングのプログラムは、まさに社会派中の社会派というか、IT業界にはとどまらない、社会的な問題を扱ったプログラムですよね。

山崎:そうですね。まさに現在進行形の話題なので、誰にどういう話をしてもらうか、なかなか難しいところもありますが、IWで取り上げないわけにはいかないだろうと思ってプログラムを企画しています。

法林:これだけ話題になっているとあらためて聞くまでもない気もしますが、山崎さんの中では、この件はどのあたりがホットな部分だと思ってますか?

山崎:インターネット業界の中にいるとブロッキング反対派の人しかいないように見えるかもしれませんが、業界の外に出ると、ブロッキングに賛成の人もたくさんいるわけです。だから激しい議論になり、最近までやっていた、インターネット上の海賊版対策に関するタスクフォースでの議論も物別れに終わってしまいました。

法林:「ホット」とかいう単語では生ぬるい、激アツバトルなんですね。ブロッキング賛成派と反対派は、それぞれどんなことを主張しているんですか?

山崎:賛成派の主張は「海賊版サイトによる被害は甚大で、血を流すような思いをしているので、止血のためにも速やかなブロッキングの導入が必要」というものです。一方、反対派は「十分な議論もしないで、ブロッキングを法制化することが前提みたいな感じで話を進めるのはおかしい」という声を上げています。ちなみに、賛成派に付いているのは主に出版社や知財関連組織で、反対派はインターネット関連組織や消費者団体が中心ですね。

法林:なるほど。Internet Weekは紛れもなくインターネット関連組織が主催するイベントなので、反対派はともかく賛成派の人に出てもらうのはなかなかハードルが高いですよね。実際のところ、プログラムの構成はどうなりました?

山崎:お察しの通り、バリバリの賛成派の方はお呼びすることがかないませんでしたが、同じような背景または意見を持つ人ばかりにはならないように、慎重に人選して講師依頼をしました。

構成としては、まず海賊版サイト対策検討会を取材した立場から、読売新聞の編集委員である若江さんにお話しいただきます。次に、対策会議における議論の経過や、特にどうしてこんなに紛糾しちゃったのかといったところの話を、会議の委員も務められた弁護士の森先生にお願いしました。

法林:ほほー。新聞編集者の方に出てもらうのはIWとしては珍しいですね。

山崎:そうですね。そして後半は、まずインターネットユーザー協会の香月さんに、リーチサイト規制や静止画ダウンロードの違法化などの話をしていただきます。この話題は、他のイベントにおけるこの手のセッションではあまり取り上げていないネタだと思います。その後、さくらインターネットの田中さんに、ブロッキングに関する持論を語っていただきます。そして最後は全員でディスカッションです。

法林:おー、田中さん、ここで出るんですね。関係ないけど田中さんの焼くたこ焼きがおいしいんですよ。レシピがGitHubで公開されてます。

それはともかく、今年のIWのテーマは「知ればもっと楽しくなる!」なんですが、このプログラムは知ればもっと楽しくなるんですか?

yamasaki-small.jpg山崎:痛いところを突きますね。正直なところ、知れば知るほどもっと暗鬱とするんですが(苦笑)、知財戦略とIT戦略のせめぎあいって、本件だけでなくいろんなところで起きることだと思うんですね。そういう意味で、単に海賊版サイトがどうこうというだけでなく、日本のインターネットの行方という観点からも、より多くの人にぜひ知っていただきたいです。

法林:なるほど。それでは最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

山崎:はい。このプログラムの本来の対象者は、海賊版サイトへの対策検討の動向に興味のある方々ですが、もっと広く、インターネットにおける法規制と技術の関係に興味を持つすべての方が対象だと考えています。特に本件は、インターネット、および電子メディア全体の将来がかかっていると言っても過言ではないと思います。ぜひ本セッションを受講した上で、今後どうすべきか、皆さんご自身で考えていただきたいです。

法林:ありがとうございました。今年のIWの台風の目とも言える一戦、どんな展開になるか注目しています。


 

S13 ブロッキング要請を巡る諸課題~海賊版サイト対策検討の行方~

https://www.nic.ad.jp/iw2018/program/s13/

日時 2018年11月29日(木) 16:15 ~ 18:45
場所  3F Room3
参加料金   <事前5,500円/当日8,000円>
概要 2018年度に国のタスクフォースで検討が開始され、 激論となっている海賊版対策としてのブロッキングおよびリーチサイト規制について、 双方の立場の方々をお呼びして議論します。
 内容 16:15~16:45    海賊版サイト対策検討会を取材して
講演者  若江 雅子(読売新聞 編集局 編集委員)

16:45~17:15    海賊版サイト対策会議はなぜ紛糾したか
講演者   森 亮二(英知法律事務所 弁護士)

17:15~17:45    リーチサイト規制および静止画ダウンロード違法化について【仮】
講演者   香月 啓佑(インターネットユーザー協会)

17:45~18:15    ブロッキング反対派・賛成派の両方に対して思うこと
講演者    田中 邦裕(さくらインターネット株式会社)

18:15~18:45    パネルディスカッション
対象者  ・インターネットにおけるブロッキングおよびリーチサイト規制などの著作権関連規制と、通信の秘密などの利用者の権利の動向に関して技術面と法制度面の両面から興味をお持ちの方
・インターネットにおける法規制と技術の関係に興味を持つすべての方