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News & Views コラム:「電子(的)」と「電磁(的)」

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今年もJPNICブログをご愛読いただき、ありがとうございました。

2018年最後の記事は、JPNIC DRP検討委員会でもご活躍いただいている、弁護士法人 瓜生・糸賀法律事務所 弁護士 卜部晃史氏によるコラムです。

法令や条約の条文にも登場する「電子(的)」と「電磁(的)」という言葉。感覚的には分かっているつもりでも、その意味をいざ説明となると……、ということがよくありますが、その一例と言えるかもしれません。


業務の過程で種々の法令や条約の条文にあたることがあるが、インターネットを想起させる単語として、「電子(的)」と「電磁(的)」がしばしば登場する。これらは、同じ法令や条約の中で用いられていることもある。本稿では、両単語の包含関係等に絞って簡単に説明を試みたい。

◆ 両単語の包含関係 ◆

いくつかの法令では、「電磁的記録」について「電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、……」と定義されており(刑法第7条の2、会社法第26条第2項)、そこでは「電子的方式」の他に「磁気的方式」等によるものが潜在的に「電磁的記録」に当たり得ることとなる。裏を返すと、ここでの「電子的方式」には磁気的な態様のものは含まれない前提と読むのが自然である。

他方、電子署名および認証業務に関する法律においては、「電子署名」について「電磁的記録……(中略)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するもの……」と定義しており、法文上は磁気的方式で作られる記録に対する措置も「電子署名」に当たり得ることとされていると思われる。そうすると、「電子」という表現であっても磁気的な態様を含まないとは限らないこととなり、上記「電子的方式」とは異なることとなる。

◆ 「電磁的」と「electromagnetic」 ◆

条約においては、一見対応すると思われる英単語として「electromagnetic」と「electronic」という二つが用いられている。前者についてはほぼ「電磁的」と訳されていると思われる一方、後者については文脈によって「電磁的」と「電子的」の双方が用いられているようである。

ここでの問題は、一見すると「electronic」を「電磁的」と訳すのは正確なのかという点のみかと思えるが、英英辞典では「electromagnetic」について「電気によって作られる磁気に関する」といった意味合いで解説されており、「電磁的記録」という法令用語にあるような「電子的方式、磁気的方式その他の方式」といった意味は記載されていない。条約上「electromagnetic」が用いられた経緯が「電磁的」を念頭に置いた日本からの提案だったとすれば、辞典に記載がなくても「電磁的」と同義とも思えるが、その場合「electronic」を「電磁的」と訳すことの是非がなおさら問題とならないか等、考えるほど疑問は尽きない。


■著者略歴

卜部 晃史(うらべ あきふみ)

弁護士(弁護士法人 瓜生・糸賀法律事務所)。国内外のファイナンス案件や仲裁等を主な業務分野とする。JPNIC DRP検討委員会委員。
https://uryuitoga.com/members/卜部 晃史
https://uryuitoga.com/members/%e5%8d%9c%e9%83%a8%e3%80%80%e6%99%83%e5%8f%b2


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