IPアドレス・AS番号の分配状況をご紹介します(2015年9月)
ip_team IPアドレス JPNICからのお知らせJPNICでは、IPアドレス・AS番号の分配状況をWebページで公開しています。
今回は、このページに掲載されている「JPNICが管理するIPアドレス・AS番号・IRRサービスに関する統計」から、この1年のIPアドレス・AS番号の分配状況をご紹介したいと思います。
■IPv4アドレス
JPNICでは現在、「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」から/22(1,024アドレス)、「JPNICに返却済みIPv4アドレス在庫」から/22の、合計/21を上限とした割り振りを行っています。
このような状況にある中で、IPv4アドレスの分配状況をまとめたのが以下のグラフです。
この1年間で、23件の割り振りを行いました。そのうちの16件が、IPアドレス管理指定事業者(IP指定事業者)契約締結に伴う割り振りとなっています。また、この23件の割り振りのうち、上限となる/21の割り振りを一度で行ったケースは11件でした。
CATVインターネット接続サービスやホスティングサービスなどを提供する、IP指定事業者からの申請が多く見受けられました。
■IPv6アドレス
JPNICから直接、IPv6アドレスの分配を受ける場合、以下の2通りの方法があります。
IPv6アドレスの分配状況をまとめたのが以下のグラフです。
この1年間のIP指定事業者への/32割り振りは10件でした。指定事業者契約締結時に希望すれば、IPv4アドレスとIPv6アドレスの割り振りを同時に行うことがありますが、10件のうち2件については、IPv4アドレスとIPv6アドレスの割り振りを同時に行いました。
特殊用途用プロバイダ非依存アドレスの/48割り当ては7件でした。IP指定事業者と同様に、契約締結時に希望すればIPv4アドレスとIPv6アドレスの割り当てを同時に行っており、7件のうち4件が同時の割り当てとなっています。
IPv4で既に歴史的経緯を持つプロバイダ非依存アドレスの割り当てを受けている組織が、特殊用途用プロバイダ非依存(PI; Provider Independent)アドレスの割り当てをお申し込みいただくケースがあります。現在、IPv6の特殊用途用プロバイダ非依存アドレスの割り当てを受けるためには、割り当て予定のネットワークがマルチホーム接続を行うことを必須としているため、IPv6対応とマルチホーム化を同時に行うことが多いようです。
■AS番号
JPNICではこの1年間に23個のAS番号割り当てを行いました。23個の割り当てAS番号のうち、2バイトAS番号が16個、4バイトAS番号が7個となっています。
指定事業者契約締結や特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当てと合わせてAS番号の割り当てを受けるケースが、全体の2/3となっています。
有効なAS番号割り当てのルールでは、2バイトAS番号と4バイトAS番号を区別なく割り当てることとなっています。しかし、JPNICでは、AS番号の割り当てに際して、JPNICでは申請者と上流接続先の4バイトAS番号への対応状況を確認しています。申請者自身が利用する機器が4バイトAS番号に対応していないケース、上流接続先の機器が4バイトAS番号に対応していないケース、いずれも多く見受けられました。
■IPv4アドレス・AS番号の移転
IPv4アドレス・AS番号の分配先を他の組織に変更するためには、移転の手続きを行う必要があります。JPNICではこの1年間で、40件の移転を行いました。40件の移転のうち、IPv4アドレスが39件、AS番号が1件です。
JPNIC内の移転件数も一定数ありますが、この1年でARIN (American Registry for Internet Numbers)やAPNIC (Asia Pacific Network Information Centre)といった、他のレジストリからJPNICに移転するケースが増えてきているようです。また、2015年8月には、JPNICから他のレジストリへ初めて移転するケースがありました。今回の集計期間には含まれませんが、JPNICでは、2015年10月9日(金)より、RIPE NCC(Reseaux IP Europeens Network Coordination Centre)とのIPv4アドレス移転が可能となりました。他のレジストリからJPNICに移転するケースがますます増えるかもしれませんね。
移転の結果は、IPv4アドレス移転履歴とAS番号移転履歴として公開しています。移転されるアドレスサイズやどのような組織が移転を行っているか、ご興味のある方は移転履歴を眺めてみてはいかがでしょうか。
ここでは、IPアドレス・AS番号の分配や、移転の状況を簡単にご紹介しました。詳細な統計情報やAPNICでのIPアドレス・AS番号の分配状況については、JPNICオープンポリシーミーティングなどにおいても紹介しています。ご興味のある方は、JPNICオープンポリシーミーティングなど、関連するイベントに参加されてみてはいかがでしょうか。