IETF 94でのISOCワークショップに参加しました
dom_gov_team インターネットガバナンス 他組織のイベントインターネット推進部の前村です。
横浜開催のIETF94が始まりました。IETFとしては、2009年の広島開催以来6年ぶりとなります。
Internet Society(ISOC)が、IETFのリーガルアンブレラとなっていることをご存じの方も多いと思います。IETFは、言うまでもなくインターネットの技術標準を検討する団体ですが、IETF会合に併せて、ISOCがいくつか併催イベントを行っていることは、あまり知られていないかもしれません。今回のIETF会期中に開催されるISOC併催イベントの一つである、「ISOC debrief on Collaborative Security and Collaborative Internet Governance」が11月1日(日)に開催され、それに参加してきましたので、その模様をお伝えしようと思います。
IETF94の会場は、パシフィコ横浜です。かつてはInternet Weekを開催していた会場ですので、久し振りに訪れて、とても懐かしい気分になりました。
2時間のイベントは、セキュリティとインターネットガバナンスという二つのテーマについて、ISOCと日本のコミュニティからそれぞれ2名の講演者が発表するという形で、以下のような構成になっていました。
最初の発表者はSally Wentworth。グローバルポリシー担当のVPで、ISOCのインターネットガバナンス、インターネット政策に関する活動を統括する女性です。Sallyの発表はインターネットガバナンスに関する考え方、重要性、今の動きなどを概括するものでしたが、的確な言葉で簡潔に整理されていました。
次は日本のインターネットガバナンスの状況ということで、私がお時間をいただき、JPNICが事務局を務めるIGCJに関して紹介しました。2ヶ月に一度ミーティングを持ってインターネットガバナンスに関するトピックの情報提供や議論を行い、「賛同者募集モデル」で意見の取りまとめにもトライしている、といったところですが、興味を持って聞いていただくことができたので、海外の皆さんに知っていただく良い機会になったと思います。
次はセキュリティ。ISOCのChief Internet Technology Officerである、Olaf Kolkmanが、ISOCが本年4月に発表したCollaborative Securityという考え方に関して、説明しました。これに関しては、本年7月に開催したIGCJ8でも、藤崎智宏さんからの発表がありました。
最後は、北陸先端技術大学院大学の篠田陽一さんが、日本のセキュリティの状況について、いくつかの問題点を共有し、ISOC側も含む会場の参加者と議論しました。
会場は写真を見ていただくように小さめの部屋でしたが、ISOC理事やIETFの参加者、日本人の参加者も含め30名を超える方々でいっぱいとなり、活発な意見交換が行われました。このイベントを企画なさった、ISOC理事でもある江崎浩さんは、確かな手応えを感じていらしたようです。
ISOCはこの他に、主に政府の担当官を対象として、IETFに集う第一線のエンジニアがインターネット技術に関してレクチャーするPublic Policy Programを開催するなど、ISOCの強みを活かした活動を行っています。日本で同じような立ち位置で事業を展開するJPNICとしても、とても刺激になりました。