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IPv6の普及期は目前? ~IPv6対応セミナー in 名古屋を開催しました~

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2015年9月に高松と岡山で「IPv6対応セミナー」を実施したことは、このブログやメールマガジンでも報告しましたが、12月4日に、名古屋でも同セミナーを開催しました。

共催は、中部テレコミュニケーション株式会社(CTC)です。CTCと言えば、同社が提供する「コミュファ光」では、2015年9月時点ですでに78%がIPv6化されており、IPv6の先端を走る企業です。そうしたこともあってか、今回も多くの参加者が集まり、午前はIPv6の最新動向と導入に向けた講義、午後にはJuniper社の仮想ルーターを使ってIPv6ネットワークサーバの構築ハンズオンを実施しました。

午前の「IPv6最新動向」を話した廣海緑里さんから、ついこの間の11月24日に総務省の高市総務大臣が行った、「閣議後記者会見の概要」の紹介がありました。それによると・・・・・・。

『「携帯電話ネットワークへのIPv6アドレスの導入」について、関係事業者との調整を事務方に指示するなどして、積極的に対処していきたいと考えております』

と示されています。

アメリカではすでに、AT&T社、T-Mobile社、Verison社といった主要モバイルキャリアはIPv6の対応を表明しており、2015年春の段階で75%もIPv6のトラフィックが伸びているそうです。(詳しくは、2015年7月にプラハで行われたIETF 93の資料「IPv6 and Apple」参照) 総務省でもこうした状況も受けて、モバイルキャリアのIPv6化を進めようとしています。日本はIPv6に関して長らく先進国と言われ続けてきましたが、最近のグローバルの統計では、統計の取り方にもよりますが、IPv6の普及率では20位とも30位とも言われています。しかし、これを変えていこうという姿勢を鮮明にすることで、状況が徐々に変わっていく気配がしている今日この頃です。

消費者を、「イノベーター(2.5%)」「アーリーアダプター(13.5%)」「アーリーマジョリティ(34%)」「レイトマジョリティ(34%)」「ラガード(16%)」とに分け、「イノベーター(2.5%)とアーリーアダプター(13.5%)を足した16%を越えて普及した時が本格的な普及期である」と唱えた「イノベーター理論」はあまりにも有名です。このイノベータ理論がIPv6の普及に関しても当てはまるとすると、そろそろこの「普及期」が目前だと言えるかもしれません。

そしてまた、イノベーター理論を否定した、これまた有名な「キャズム理論」では、「アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には深い溝(キャズム)があるため、アーリーマジョリティへの移行のためには、マーケティングのアプローチを変える必要がある」とされていますが、このキャズムを埋めるものがモバイルキャリアのIPv6化と言えるのかもしれません。なかなか組織ユーザーのIPv6化は進まないと言われていますが、やはり、企業として最低限のIPv6対応の準備は進めておくと安心できそうです。

JPNICでは、IPv6の普及に向けて、できる普及啓発活動は実施したいと考えています。この「IPv6対応セミナー」についても、東京以外の地域で無料で実施しています。もし今後、「我が地でも行って欲しい」という要望がありましたら、ぜひ tech-seminar@nic.ad.jpまでお知らせいただけると幸いです。


次の記事「データから読み解くIPv6の普及率」では、日本国内におけるIPv6の普及状況について、IPv6普及・高度化推進協議会およびIPv4アドレス枯渇対応タスクフォースによる調査結果を用いて詳しく考察してみます。

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