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ジュネーブでIGF2016の準備が始動

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JPNIC 奥谷です。

今年の12月にメキシコのグアダラハラで開催されるインターネットガバナンスフォーラム(IGF)2016の準備に向けての議論が、スイス・ジュネーブのWIPOオフィスで開始しました。

IGFは国連主催の会議であることから、その準備に向けた会議も基本的には国連の関連組織で実施されます。WIPOから徒歩数分圏内には、ITUや国連のジュネーブオフィスもあります。

私は技術コミュニティを代表する、Multistakeholder Advisory Group(MAG)と呼ばれるプログラム委員の一人として、4月4日~6日に開催された会議に参加しました。今回がIGF2016の準備に向けた1回目の会議であり、全日程を通して、参加は誰にでも開かれています。物理的な参加が難しい場合は、リモートで参加することも可能です。

また前任者に代わり、この度、初の民間からの女性として議長に就任したLynn St. Amour氏が、議長を務めた第一回の会議でもありました。St. Amour氏は、ISOCの前CEO、そしてIANA機能監督権限移管においてはInternet Architecture Board(IAB)代表のICG(The IANAStewardship Transition Coordination Group)メンバーを務め、技術コミュニティの中で信頼されている人物で、今回の会議ではこれまでにないほど効率的に議論を進めていたように思います。

政府、民間、市民社会、技術コミュニティといった異なる立場の代表者から構成されるMAGメンバーによる議論をとりまとめることは決して容易いことではなく、それぞれの意見を尊重しながらも、ある程度の方向性と意思を持って進めていかないと議論がなかなかまとまりません。また、発言をしたい人が自分の氏名の書かれているバッジを縦にして、順番に議長により発言の機会を指名されるまで待つという形式をとっていることも、時間がかかる要素として考えられます。

会議では、ホスト国メキシコによる開催概要の紹介、IGF2015の振り返り・改善点の確認、IGF2016のテーマ、プログラム公募スケジュールと募集要項の準備、セッション全体の構成等について議論を行いました。

今回の会議のメインテーマは「 Enabling Inclusive and Sustainable Growth」(あらゆる人々の参加できる継続可能な成長の実現)に決定しました。

また、IPv6をテーマとしたBest Practices Forumが2016年も活動をすることになる見込みです。
Best Practices Forumはその年ごとに、その分野において知見を持つ関係者を集めて最適な運用を文書化したものです。MAGメンバーがその年ごとにテーマを選定し、その分野における専門家以外に対して必要な対策や事例を紹介することで、課題への具体的な対策を進めることを目的としています。

2015年における「IPv6の導入促進をするための環境」に関するBest PractciesはIPv6 TFや政府の取り組みなど、コミュニティ作りや政策についての最適な運用事例をまとめることに重点を置き、RIRコミュニティのメンバーが中心となって事例をまとめました。国内からも総務省および事業者が事例を提供しています。

事例をとりまとめた文書は「IGF 2015 Best Practice Forum Creating an Enabling Environment for IPv6 Adoption」をご覧いただけます。(技術者が対象ではなく、この分野に詳しくない政府関係者、企業等が対象ですので、技術的な情報に関するBest Practicesではない前提でお読みください。)

今年は経済的な要素に重点を置いてこのテーマでのBest Practicesを実施することで、MAG会議では支持が得られました。

(壇上は国連事務局員、議長、ホスト国メキシコ代表者、国連経済社会局代表者)

IGF2016についてのホスト国メキシコによるWebサイトはこちらです。情報はまだ多くないですが、これから、準備に向けた検討が進むにつれて、充実していくものと思われます。今回のIGFは世界遺産に登録されている「カバーニャス文化協会」が会場となります。

この度、メキシコ政府から2名の方が終始会議に参加し、情報提供だけではなく、参加者からの開催についての要望を聞いてメモしたり、参加者と昼食や休憩中に交流するなど、非常に開かれた対応をしていました。私も一緒に昼食を交えてお話しする機会があり、メキシコのインターネット政策、なぜ今回のIGF開催に至ったのかといった話を聞き、国を挙げてアクセス提供を推進していることが伝わってきました。

この他、MAGメンバーとしてアフガニスタンのIT企業のCEO、レバノン政府の方、ナイジェリアのセキュリティ政策の専門家等の方々とも今回の会議で初めてお会いしてお話をしました。MAGは多様なメンバーから構成されていることから、会議ではこのように普段お会いすることのない方との交流につながるところが、よいところでもあります。

IGF2016のプログラムの公募は4月15日から開始し、誰でも応募することが可能です。日本からのIGFへの関わりについては、次回2016年4月14日にJPNICで開催予定のIGCJ(Internet Governance Conference Japan)でも話題としてあげ、議論することを予定していますので、興味のある方は是非ご参加ください。

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