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BGP Communityを使って想いを伝える ~第3回 IW2016注目プログラム紹介~

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Internet Week 2016のプログラムをご紹介します。担当は本イベントの実行委員を務めている法林浩之(日本UNIXユーザ会)です。

今回ご紹介するのは、2016年11月29日(火)に行われるチュートリアル「想いが伝わるBGP運用~経路制御とルーティングセキュリティ最前線~」です。このプログラムを担当する山口勝司氏(wakamonog)、松本智氏(茨城IX設置委員会)、ならびに登壇者の皆さんにお話をうかがいました。


法林: ルーティング関連のセッションは毎年必ず実施されていて、一定の参加者数も得ている印象がありますが、門外漢の自分から見ると、毎年新しいネタがあるんだろうかという疑問もあります。今年はどんなことに着目してプロデュースされたのですか?

松本: 実はルーティングの世界も毎年変化がありアップデートがあるんですが、今年に関しては「見抜く力を!」というテーマも考慮して、一度基本に立ち返ろうというところから考え始めました。その中で、最近はBGP Communityのあり方が少しずつ変わりつつあるんですが、使い方を見ていると各ASごとに秘伝のタレみたいな部分があって、設計思想から実際の設定までいろいろ違うんですね。そこで、このあたりの話を体系的にまとめてみたいと思いまして、今年はBGP Communityに着目しました。

法林: なるほど。BGPって、どの事業者とどう接続するかというポリシーみたいなものが設定に反映されると思うんですが、今年のタイトルに入っている「想いが伝わる」という言葉は、そのあたりにも関係しますか?

松本: そうですね。「想いが伝わる」という言葉の、まさにその想いの伝え方がBGPの本質だと思っていて、その部分でBGP Communityも絡んできます。それからもう一つの見方としては、今までのルーティングって、経路を受け取る側の技術が中心でした。例えばフィルタとか。ところが、出す側の技術はあまり追究されてないんですよね。BGP Communityを付加した経路を広報してコントロールする方法などは、出す側から想いを伝える手段の最たる例だと思います。

法林: なかなか興味深いですね。さて、今日はこのプログラムに登壇される方も何人かいらっしゃっているので、意気込みなどをお聞きしたいと思います。まずRPKIについて、木村泰司さんお願いします。

木村: はい。RPKIは提供を始めてから1年半ぐらいになりますが、まだ普及したとは言えない状況です。まだ越えなければならない壁もいくつかあるのですが、そのあたりも含めて最近のアップデートを紹介します。皆さんに聞いていただいて「RPKIって使えるのかな?」というのを見抜いて欲しいと思います。

法林: ありがとうございます。続いて、BGP Community制御の世界的トレンドをご紹介いただく吉村知夏さんはいかがですか?

吉村: 実はBGP Communityって古くからある技術なんですが、少しずつ更新されてますし、最近になってよく使われたりしています。BGP Communityを知らない方も、このセッションに来ればどういうものかわかるようにしたいと思っています。それから、本当のゴールはより良いトラフィックエンジニアリングをすることなので、そこを伝えたいですね。

法林: さすがJANOG会長!本質を見抜いていますね。では、吉村さんに続いてBGP Communityの基本設計などを解説してくださる小島さんも一言お願いします。

小島: 僕は、BGP CommunityはAPIだと思っているんですよ。クラウドサービスは裏では他のサービスとAPIでつながっていて、便利な他社のサービスを使いつつ自社サービスを展開していますよね。クラウドの場合は下で動いているのはHTTPですが、ネットワークサービスの世界でそれに相当するのがBGP Communityなんです。リクエストをBGP Communityに乗せて、他社サービスに想いを伝える。こんな感じで他と連携しながら、自社サービスを展開できるはずだと思っています。でも、自社だけだとなかなか進まない現状があるので、IWのような皆が集まる場で紹介して「面白そうだ」「いいね」という空気感を作れるといいですね。

法林: 経路制御の世界にもAPIのような考え方が使えるとは新しい発想で興味深いですね。では最後に、どんな人にこのセッションを聞いてもらいたいかを、山口さんお願いします。

山口: はい。このセッションは、ASやBGPを運用しているすべての方に聞いていただきたいと思っています。特に、ネットワーク事業者だけでなく、クラウドやコンテンツ事業者の方もぜひ参加していただきたいです。

法林: なんか今年は対象者の欄に、「コンテンツ事業者でネットワーク運用に関わる方」というのを追記したそうですね。

山口: そうなんです。BGP Communityを使った経路制御はコンテンツ事業者の方から、使いたいという声が最近増えています。そのような状況を踏まえて今年は対象者に追加しました。

法林: ありがとうございました。話を聞いてみると非常に面白い内容ですね。ぜひ多くの方に、そして今までのルーティングセッションとは違う新たな客層にご参加いただけることを願っています。


T6 想いが伝わるBGP運用~経路制御とルーティングセキュリティ最前線~ プログラム概要

日時 2016年11月29日(火)16:15~18:45
場所 3F Room3
参加料金 事前 5,500円、当日 8,000円
URL https://internetweek.jp/program/t06/
概要 安定したインターネットを維持するためには、一人ひとりのオペレーターが他の組織に対して想いを伝え、相互信頼に基づく運用をすることが大切です。

最近、コンテンツ事業者などを中心にBGP Communityを付加した経路を対外組織に対して広報し、経路をコントロールするケースが増えている他、多発するDDoS攻撃への対応の一つとしてRTBHへの需要も高まっています。

本プログラムでは、BGP Communityの運用についてあらためて本質を見直し、最新動向をお伝えすると共に、BGPを利用してトラフィック制御を行う方法として、近年注目されているBGP Flowspecについても技術や動向を解説します。

インターネットは絶えず変化しています。今年1年間のインターネットルーティングやルーティングセキュリティを振り返り問題となっていることや注目されていることについて解説します。

今年のInternet Weekのテーマは「見抜く力を!」です。このプログラムでは、インターネット運用の本質を的確に捉えて見抜くことをめざします。

内容 16:15 ~ 16:55 最新動向
講演者:
 吉田 友哉(NTTコミュニケーションズ株式会社)16:55 ~ 17:15 RPKI/ROAの国際動向 ~どんなときに使える!?~
講演者:
 木村 泰司(一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)17:15 ~ 17:45 community制御の世界的トレンド
講演者:
 吉村 知夏

17:45 ~ 18:05 BGP communityの基本設計
講演者:
 小島 慎太郎(コーダンス)

18:05 ~ 18:45 BGP communityの実用例
講演者:
 川村 聖一(ビッグローブ株式会社)

対象者
  • インターネットルーティング(AS)の運用者
  • コンテンツ事業者でネットワーク運用に関わる方

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