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今月のコラム:インターネットのトラブル相談から学ぶこと

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JPNICではメールマガジンである「JPNIC News & Views」を発行していますが、毎月15日の定期号ではインターネットに関するよもやまのコラムを載せています。そのコラムを、今月からこのブログでも紹介することにしました。

記念すべき第1回の、2017年5月のコラムは、一般財団法人日本インターネット協会(IAjapan)の大久保貴世氏に寄稿してもらいました!


また中学生からの相談だ。

インターネットのトラブル相談の仕事を、かれこれ20年続けているが、青少年のうち14歳頃の相談がとても多い。私たち相談員は“魔の14歳”と言っていて、典型的な1件の相談を紹介してみたい。

14歳女子中学生です。

Facebookを友達限定ではじめ、プロフィールに自撮り写真をあげました。誰も見ないだろうって思っていたのに、クラスメイトに見られて、からかわれ恐くなりました。不安になったので写真を消そうとログアウトしたら、再度ログインできなくなりました。Facebook登録時のメールアドレスは今のものと違うし、パスワードは忘れてしまいました。写真が消えないままだと思うと死にたくなります。

この相談でわかることは何でしょう。

鉄壁の護身術二つである。『SNS登録時のパスワード情報は記憶に頼らずノートにメモしておくこと』『SNSにあげた情報の削除方法を知っておくこと』である。

スマホでずっとログイン状態でいると、ログアウトして再度ログインをするという行為をしなくなり、あれ?パスワードって何だっけとなってしまう。また、相談者はログアウトすれば削除できると思っていた。パスワードを忘れていても、ログイン中に削除できることがわかっていればよかったのにと思う。こうなると、Facebookへ問い合わせするしかないのだが、利用規約違反の不適切な写真でない限り削除できないであろう。とても残念だが静観するしかない。

そして、もっとわかることは何でしょう。

「インターネットに載せたものは、見られている」ということ。検索やSNSの繋がりをたどっていけば見つけることができる。

そして、そして、もっとわかってほしいことは何でしょう。

「悪口を言う人がいけないのであって、悪口を言われる人は全然悪くはない」ということ。相談者は自分の好きな写真をあげた。自分に自信をもって毅然 とした態度でいればよい。何年か経てば過去の写真と思える日まで時間が解決してくれるもの。

最後に相談者へ「今、このタイミングで相談してくれたことが本当によかったです。大きなトラブルではないですよ。今回のことをきっかけにいろいろ勉強になりましたよね。いつかその写真を素敵だと言ってくれる人があらわれることを期待しましょうね」と伝える。

こうなってくると、インターネット相談というより心理相談のアドバイスとなってくる。これまで心理学の先生や、臨床心理士、小児科医の研修を受けてきたが、これからもどんどん勉強していきたい。

このような相談事例により、インターネットの啓発活動に大いに参考にさせてもらっている。失敗から解決策と予防策がわかってくるのだ。今回の相談者は、『パスワードを管理する』こと、『削除方法を知る』こと、が大切だと痛感したことだろう。

インターネット協会では、特に初心者がトラブルに遭わないように、スマホの基本設定や、主要なSNSの利用方法や注意方法などを説明したマニュアル「知っておきたいその時の場面集」を公開している。ぜひ皆さまの啓発活動にご利用ください。また、インターネットにまつわる体験談を募集して優秀作品を表彰する「コンクール」も実施しています。


■筆者略歴 大久保 貴世(おおくぼ たかよ)

一般財団法人インターネット協会 主幹研究員。

メーカーお客様相談室等を経て、現職。インターネットのルール&マナーの普及啓発、主要SNSやフィルタリングの安全対策マニュアル「その時の場面集」の作成公開、東京都が開設した「東京こどもネット・ケータイヘルプデスク『こたエール』」での相談対応などに取り組んでいる。相談事例から見えてくるトラブルの事前予防策やトラブル後の対処法を広く周知するため、保護者・青少年・教職員向けの講演や教育映像DVDなどに出演もしている。

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