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RIPE 78でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案ご紹介

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2019年5月20日(月)~24日(金)の日程で、アイスランド・レイキャビクにおいて、RIPE 78ミーティングが開催されます。RIPE NCC (Reseaux IP Europeens Network Coordination Centre)は、世界に五つある地域インターネットレジストリ(RIR; Regional Internet Registry)のうち、ヨーロッパおよび中東地域を担当するRIRです。

RIPE 78 Webサイト

APNIC (Asia Pacific Network Information Centre)地域と同様に、RIPE NCC地域においても、IPアドレス・AS番号の分配ポリシーに関する議論は、メーリングリストのほか、オフラインミーティングの場でも行われます。

今回のRIPE 78ミーティングでは、以下に記載する合計3点のポリシー提案が議論される予定です。各提案の詳細については紹介を省略しますが、ご興味のある方は、リンク先のページに記載された内容をご確認いただければと思います。

1. 2018-06:RIPE NCC IRR Database Non-Authoritative Route Object Clean-up(RIPE NCCが管理権限を持たないルートオブジェクトの整理)

2. 2019-02:IPv4 Waiting List Implementation(IPv4割り振り待機者リストの運用開始)

3. 2019-03:BGP Hijacking is a RIPE Policy Violation(BGPハイジャックとRIPEポリシー)

「2018-06:RIPE NCC IRR Database Non-Authoritative Route Object Clean-up」はデータベースに関する提案、「2019-02:IPv4 Waiting List Implementation(IPv4割り振り待機者リストの運用開始)」はIPv4アドレスの分配方法に関する提案、「2019-03:BGP Hijacking is a RIPE Policy Violation(BGPハイジャックとRIPEポリシー)」はネットワーク運用上の課題と番号資源分配ポリシーとの関係についての提案です。IPアドレス・AS番号の分配や管理に携わる関係者であれば誰でも、これらの議論の動向を追っておく必要があるようです。

今回は、「2019-03:BGP Hijacking is a RIPE Policy Violation(BGPハイジャックとRIPEポリシー)」についてご紹介します。

自身がIPアドレスの割り振り/割り当てを受けていないにもかかわらず、該当のIPアドレスに関する経路情報をインターネットに広告することは、BGPハイジャックと呼ばれています。このBGPハイジャックは、IPアドレスの分配ルール(ポリシー)に違反する行為であると明確に定義することが、提案の目的のようです。

この提案を議論するAnti-Abuse Working Groupのメーリングリストでは、提案が発表されて以降、活発な議論が行われています。

BGPハイジャックはインターネット上でも最も対処が必要な問題のひとつであるため、なんらかの対策を講じる必要があるという参加者の思いが読み取れます。その一方で、RIPE NCCのような番号資源の管理を行うインターネットレジストリは、ルーティングのようなインターネットの運用に関わる話題には関与しないほうがよい、といった否定的なコメントもあるようです。

BGPハイジャックを行った際には、RIPE NCCとの間の契約解約もペナルティとして考えられているようですが、このペナルティに対する有効性について疑問を示すコメントが出されていたほか、専門家により行われるBGPハイジャックかどうかの判定は、RIPEstatにより行ったほうがよいとのコメントなど、提案に対するコメントは多方面にわたり、議論は成熟していない状況です。

提案者に対して、メーリングリストでの議論を踏まえた次バージョンの作成を期待する参加者が多くいました。メールの流量の多さからも、参加者の関心の高さがうかがい知れます。RIPE 78ミーティングをはさんで、今後も議論がどのように進んでいくか、JPNICでも注目しています。

北米とカリブ海周辺の一部地域を担当するARIN (American Registry for Internet Numbers)、ラテンアメリカとカリブ海地域を担当するLACNIC (The Latin American and Caribbean IP address Regional Registry)においても、同じ趣旨の提案について、議論が始まっています。今後、アジア太平洋地域を担当するAPNIC (Asia-Pacific Network Information Centre)とアフリカ地域を担当するAFRINIC (African Network Information Centre)にも提案が提出されることが予想されます。JPNICでも機会を見て、この提案についてもう少し議論の動向などをご紹介できればと考えています。

(RIPE NCCのFacebookページで紹介されているセッションの風景です) 

メーリングリストでの議論の内容は、メーリングリストのアーカイブから参照することが可能です。当日は、中継が行われる予定ですので、ご興味を持たれた方はリモートで参加してみてはいかがでしょうか。

今後APNICでも、同じ内容の提案が議論されることが予想されます。6月21日に開催予定の「第36回 JPNICオープンポリシーミーティング」や、8月ごろに開催予定の「APNIC 48に向けた意見交換ミーティング」などでも状況をご紹介できればと考えていますので、皆様のご参加をぜひお待ちしています。今回のミーティング終了後に、本ブログやメールマガジンなどで、現地の模様をご紹介する予定です。

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