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IGF2019フォトレポート

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ドイツ連邦共和国ベルリンで2019年11月26日から(25日もDay 0[ゼロ]としてプレイベントが多数開催)29日にかけて開催された、第14回インターネットガバナンスフォーラム(IGF2019)について写真を中心にご紹介します。プログラム数が200を超え、とても全部は紹介できませんので、その中の主なプログラムの簡単な紹介となります。IGF2019にどんなプログラムがあるかということについては、10月4日のブログ記事をご参照ください。

筆者は今回初参加で、同じく初参加となる「IGF 2019参加支援プログラム」で選ばれた3名の若手社会人と共に参加しました。

会議全体について

主催は国際連合(事務局)経済社会局(DESA)です。その中でのIGF事務局担当は3名だそうです。今回のローカルホストはドイツ政府で、かなりの財政支出をした模様です。例えば、これまでのIGFでは昼食は有料であることが多かったようですが、今回無料で提供されたり、コーヒーが一日中提供されたり、会期中および前後に市内ほぼすべての公共交通機関に無料で乗車できる乗り放題切符を兼ねた参加証が配布されるなど、参加者への優遇がありました。ちなみにIGFの参加費は無料です。

数字で見るIGF2019[原典]

会期  4日間(Day 0を含めると5日間)
セッション数合計  201
  メインセッション 10
  ワークショップ 64
  オープンフォーラム 40
  ベストプラクティスフォーラム 4
  動的連携(Dynamic Coalition, DC)  18
  国別、地域別および若者IGF協同セッション  6
  Day 0セッション 45
  その他のセッション 14
IGF Villageでの展示ブース数 50
参加者数 161ヶ国/地域から3,406名

日本からの参加者数がどの位だったかは、IGFサイドで公開している参加者一覧(公開を許諾した参加者のみ)に居住国の欄がないため正確には不明ですが、筆者が面識がある方を数えた限りでは20名強の参加があったようです。

会場

ベルリン市内南部にあるEstrel Berlin(エストレル・ベルリン)で開催されました。ぱっと見それほど大きく見えませんが、約2万5千平方メートルの会議場スペースを誇る、会議場・宴会場・ホテル複合施設とのことです。左端の一番低い建物である会議場棟の内部は広大で、前述の数の参加者を余裕で飲み込んでいました。

会場のあるNeukölln (ノイケルン)地区は旧西ベルリンに属していたようで、前の大通りをしばらく南東側に進むと、ベルリンの壁および東西ベルリン間の検問所があった辺りに到達するようです。今年はベルリンの壁崩壊30周年であるため、開会式で司会者、グテーレス国連事務総長およびドイツのメルケル首相がそのことに言及していました。

国連の会議であるため会場は国連仕様のセキュリティとなっているとのことで、外から会場に入る際には空港並みのセキュリティチェックが必要でした。下の写真はそのために設置されたテントです。

参加者が昼食を摂るためのカフェテリア/フードコートです。IGFは昼食時間帯中にも実施中のセッションがあるため、昼食休憩時間は特に定められていませんでした。

資源の節約およびゴミの減量目的か、全参加者に無料で配布される参加者キット中に水ボトルが含まれており、それに給水するためのステーションが設置されていました。参加者キット中にはドイツ政府が作成費用を負担したと思われる、以下の冊子2冊も含まれていました(リンク先で全文が読めます)。

参加者キットに含まれた本2冊(結構重かった)。

給水ステーション

仕事、打ち合わせ、休憩などのためのスペースがホワイエに設けられていましたが、電源はほぼないに等しい状態だったため、一番大きなメインルームに電源が備えられていない日はノートPCのバッテリーを使い切ってしまったこともありました。ホワイエでは、メディアによる取材と思われるビデオインタビューも頻繁に行われており、香港の議員が発言した直後にはその議員がインタビューされていました。

デジタル協力に関するハイレベルパネル報告

国連デジタル協力に関するハイレベルパネル(HLPDC)は2018年7月に国連事務総長により設置が発表され、2019年6月に報告書が公開されました。26日(火、Day 1)には、HLPDCに関して報告・議論するメインセッションが開催されました。

上の写真の左端に色分けされて投影されているのは、ステークホルダー種別毎に指定された着席位置で、左から政府、民間セクター、市民社会、技術コミュニティとなっています。これは2014年にブラジルで開催されたNETMundialに倣ったものではないかということです。

開会式

最初に、今年(2019年)はベルリンの壁崩壊(1989年)からちょうど30周年ということで、壁の崩壊を撮影した映像が投影されました。

次に、アントニオ・グテーレス国連事務総長によるスピーチが英語で行われました。

次いで、ホスト国ドイツのアンゲラ・メルケル首相によるスピーチ[英文要約][独語全文]がドイツ語で行われました。

メインセッション「インターネットガバナンスの未来」

開会式に引き続いて行われた、ハイレベルセッション「インターネットガバナンスの未来」ではモデレーターとしてGoogle副社長兼チーフインターネットエバンジェリストVint Cerf氏、パネリストとして、WWW創設者Tim Berners-Lee氏、国連事務次長(経済社会局)Liu Zhenmin(刘振民)氏、日本から山田真貴子総務審議官、ICANN事務総長Göran Marby氏他が登壇しました。

 

メインセッション「責任あるデータガバナンスと人工知能における人権と倫理の適用」

本セッションのモデレーターは、Olga Cavalli氏(Internet Society理事[任期2019-2022]、Academic Director, South School on Internet Governance)とVladimir Radunović氏(Director of e-diplomacy and cybersecurity programmes, DiploFoundation)が共同で務めました。パネリストの一人として、総務省国際戦略局の飯田陽一氏が登壇されました。

セッションの最後には、右端に鎮座していたIQ’whaloという名のAIパネリスト(写真右)が流暢な英語でもっともらしい要約を述べました。単に予め人間によって書かれた文を読み上げたわけではなく、過去開催されたIGFにおけるAI関係セッションのすべての発言録を読み込ませた上で発言したそうです。ちなみに、IQ’whaloの声は性別中立の音声合成および発声をするようになっているそうです。[セッション発言録及び動画]

「DNSを通じて不法コンテンツに取り組むべきか」セッション

本セッションは、ブラジルインターネット調整委員会(CGI.br)の方をはじめとするブラジルの方々がまとめ役となって作られたプログラムで、ICANN会議ではお馴染みの方々がパネリストとして参加しました。議論は以下の2つの質問を軸に行われました。

  • 質問#1: DNSブロッキングは不法コンテンツを掲載しているサイトのテイクダウンと同様に効果的か?
  • 質問#2: DNS運用者はインターネットにおける不法コンテンツと戦うことをめざして役割を果たすべきか?

「デジタル的に接続された世界における、データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト(DFFT)の促進」セッション

本セッションは、日本から唯一2019年MAG委員としてIGF2019に関わってこられた望月健太氏(株式会社メルカリ、IGF開催期間当時)がコーディネーターとしてプログラム策定を行ったセッションです。パネリストには、日本から総務省国際戦略局 飯田陽一氏が登壇されました。

最初に望月氏より導入の挨拶があり、G20とG7の報告が各ホスト国(日本およびフランス)より行われた後、パネルディスカッションが行われました。議論の詳細は、メルカリ社政策企画ブログ記事に掲載されています。

導入発表を行う望月氏 G20の報告を行う飯田氏

議員による議論セッション

今回初の試みが、各国の国会議員が参加し議論するセッションを設けたことでした。ホスト国ドイツの国会議員Thomas Jarzomek氏による基調講演の後、ドイツ、ロシア、香港、エジプト、欧州議会の議員がそれぞれ意見を述べました。次にパネルディスカッションとなり、スイス連邦環境・運輸・エネルギー・通信省通信局のThomas Schneider氏がモデレーターとなり、ガンビア、エジプト、ブラジル、エルサルバドルの議員がパネリストとなり議論が行われました。パネルディスカッションが終わると、マイクはサイバースペースの安定に関するグローバルな委員会(Global Commission on the Stability of Cyberspace, GCSC)委員であるWolfgang Kleinwächter氏、そしてドイツ連邦議会議員Manuel Höferlin氏に渡され、会期中に国会議員間で議論した内容のまとめを正式な決議でも宣言でもない単なるメッセージとして出すことになり、ドイツでのIGF開催に尽力し、会期直前の25日に亡くなられたドイツ連邦議会議員Jimmy Schulz氏を記念してJimmy Schulz Callと呼ぶことになったこと、同文書の内容の簡単な説明などが語られました。

閉会式

まずBringing it All Togetherと称して、会期中の議論のまとめがMAG議長、ローカルホスト共同議長を皮切りに、各分野を代表して行われました。

次いで、Open Mic / Taking Stockという、自由に質問を受け付けるセッションが開かれ、アマゾン川流域の山火事から、IGFでの議論が欧米中心でアフリカが置き去りにされている、ラテンアメリカのある小国では人権活動家をターゲットとする監視技術導入に多額の費用がかけられていること、香港ではインターネットシャットダウンの脅威に直面していること、など様々な意見が会場およびオンラインの参加者から発せられました。このセッションの最後に退任するMAG議長Lynn St. Amour氏と、新MAG議長に選出されたAnriette Esterhuysen氏がそれぞれ挨拶を行いました。

質問のために並ぶ参加者 挨拶するSt. Amour氏 挨拶するEsterhuysen氏

閉会式の最後には、ホスト国ドイツ政府よりデジタル化担当大臣Dorothee Bär氏と2020年の第15回IGFのホスト国であるポーランド政府デジタル省のWanda Buk氏よりそれぞれ挨拶があり、国連事務次長(経済社会局)Liu Zhenmin氏のビデオメッセージで締めくくられました。

次回開催地および日程

次回第15回IGF/IGF2020は、ポーランドのカトヴィツェ(Katowice)で2020年11月2日から6日にかけて開催される予定です。