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RIPE 82がオンラインで開催されます

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2021年5月17日(月)~21日(金)の日程で、RIPE 82ミーティングが開催されます。RIPE NCC (Reseaux IP Europeens Network Coordination Centre)は、世界に五つある地域インターネットレジストリ (RIR; Regional Internet Registry)のうち、ヨーロッパおよび中東地域を担当するRIRです。

RIPE 80ミーティングから、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、オンラインでの開催が継続しています。Meetechoというプラットフォームを利用して参加することができ、参加方法は従来同様RIPE 82ミーティングのWebサイトより参加登録を行うと、ログイン用のユニークURLが送られてくるようになっています。

●RIPE82Webサイト

APNIC (Asia Pacific Network Information Centre)地域と同様に、RIPE NCC地域においても、IPアドレス・AS番号の分配ポリシーに関する議論は、メーリングリストのほか、オフラインミーティングの場でも行われます。

前回のRIPE 81ミーティングでは会期が4日間となっていましたが、今回はオンサイトで開催していたころと同じく5日間での開催に変更となっています。1コマ(ワーキンググループ)あたりの時間枠もオンサイトでは90分のところを前回は短縮して45分としていましたが、今回はもう少し長めにとり、基本60分に変更となりました。このあたりの時間変更はカンファレンスごとのアンケートによるフィードバックなどを反映したものと考えられます。タイムラインおよび各セッションの詳細は、以下より参照可能となっていますのでぜひチェックしてみてください。

●ミーティングプラン

RIPE NCCのポリシー提案の進行状況はWebサイトで確認できますが、現在、進行中のポリシー提案はありません。

普段はAddress Policy WGのポリシー提案に関する報告をメインに行っていますが、RIPEではその他にも多数のWGが組成され活動を行っています。今回は改めてどのようなテーマのWGが存在しているのか、また今回のRIPE 82でどのようなトピックスを議論する予定かを簡単にですが紹介したいと思います。

RIPEのWorking Group (WG)について

WGはAPNICで言うところのSIG (Special Interest Group)と同様に、特定の分野に関して関心を持つ人々が集まり、課題解決・協力・情報共有を目的に活動しています。WGの運営はメンバーから選出されるCo-chairが行います。Co-chairは各WGで2-3名が選出され、その運営に責任を負うこととなります。APNICではChairが責任者、Co-chairはそのサポートといった役割を担いますが、RIPEではそのように役職をわけることなく、同じ権能で動いています。また、APNICはチェア選出を統一のガイドラインで定めていますが、RIPEは各WGで定めています。WGによっては、Chairの人数を2名に限定する等、多少の差異はありますが、メンバーからの立候補を募り、コンセンサスを確認し、選出という形式はAPNICと変わらないかと思います。

ポリシー議論においてもAPNICとは異なるポイントがあります。ポリシーに関する議論はすべてAddress Policy WGで議論が行われると思われる方がいるかもしれませんが、RIPEではそうではありません。最も適当なWGでポリシー提案が行われることになります。複数のWGにかかる内容の場合には、WGのChair同士で議論し、最適なWGを選定します。これはRIPEのPolicy Development Process (PDP)中の2.1 Creating a Proposalの項に示されています。APNICではPolicy SIGで基本的に一括となっているので大きく異なる体系を持っていると言えます。

そんなRIPEのWGですが、今回のRIPE 82ミーティングでは以下8つのWGが活動予定となっています。

Address Policy WG

ブログにてご紹介しているIPアドレスポリシー全般の議論を行っているのはこのWGです。あえて今さら説明する必要はないかもしれません。

今回のミーティングでは定期的に行われるNRO NC (The Number Resource Organization Number Council)選挙のほか、What Colour Is My IP(v4) space? PI Addresses and LIRs (私のIPアドレスは何色?PIアドレスとLIR (Local Internet Registry))といったテーマが用意されています。どのような話がされるのか、詳細は発表されていないので、注目したいと思います。

https://www.ripe.net/participate/ripe/wg/active-wg/ap

Anti-Abuse Working Group

Anti-Abuse Working GroupはIPアドレス・DNSなどの不正利用に関する対策を検討するWGです。

今回のミーティングでは、APNICでも実装されているAbuseメールボックスの検証について、段階を進めるための議論が行われます。制定後のポリシーではありますが、先ほどご紹介した専門性的に適したWGで議論が行われるというRIPEの特徴が出ていると言えます。その他にもDNS AbuseやDDoS攻撃に関する考察プレゼンテーションが用意されているようです。

https://www.ripe.net/participate/ripe/wg/active-wg/anti-abuse

Connect Working Group

インターネットの相互接続に関してレイヤー1~レイヤー8まで幅広く議論を行うWGです。主にはInternet Exchange (IX)に関する報告が多いようです。COVID-19のIXへの影響やEuroIXの近況報告が予定されています。

https://www.ripe.net/participate/ripe/wg/active-wg/connect

Cooperation Working Group

インターネット分野における官民連携、規制、NGO活動などについて考えるWGです。APNICでも同種のSIGが活動しています。今回のミーティングではIoT社会でのセキュリティやプライバシーに関して議論が行われるようです。

https://www.ripe.net/participate/ripe/wg/active-wg/coop

Database Working Group

RIPEの提供するデータベースサービス関連に関して議論を行うWGです。データベースへの新規登録・情報変更・そのセキュリティに関してカバーしていきます。今回のミーティングではクラウドサービスへの移行について検討が行われるようです。

https://www.ripe.net/participate/ripe/wg/active-wg/db

DNS Working Group

名前の通り、DNS全般に関する技術、オペレーション、問題に関して議論するWGです。5月14日時点で今回のアジェンダは未発表となっています。

https://www.ripe.net/participate/ripe/wg/active-wg/dns

Internet of Things Working Group

IoTについて語るWGです。レジストリデータを活用したIoTの実装等がアジェンダとして挙がっています。

https://www.ripe.net/participate/ripe/wg/active-wg/iot

IPv6 Working Group

次世代プロトコルとなるIPv6の広報・教育・経験の共有・オペレーション問題の改善を目的としたWGです。IPv4と共存するための技術であるMAP-Eで発生した問題についての共有や普及状況のアップデートなどが行われる予定となっています。

https://www.ripe.net/participate/ripe/wg/active-wg/ipv6

 


以上8つのWGが今回のミーティングで議論が行われますが関心のあるテーマはありましたでしょうか。

アドレスポリシーに限らず、さまざまな専門・経験を持たれる人々が一堂に集まる機会ですので、ぜひ関心のあるものがありましたら参加してみると良いかと思います。

RIPE 82ミーティングは中央ヨーロッパ時間(CEST)で開催され、日本との時差は7時間です。日本の夜の時間帯がメインになりますが、17時頃からプログラムが始まるので、前半のセッション等は比較的参加しやすいかと思います。

参加登録さえ行えば無料で、どこにいても参加できますので、ぜひ気軽に参加してみてください。

 

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