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「IGF2023に向けたセッション提案チュートリアル」報告

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国際連合が主催するインターネットガバナンスフォーラム(Internet Governance Forum, IGF)の2023年会合(以下「IGF2023」)が、2023年10月8日(日)から12日(木)にかけて、初めて日本で開催されることになりました。IGFの特徴として、誰でもワークショップを自由に企画・提案することができ、選定プロセスを通った提案がIGFの場でセッションとして開催されます。2023年5月19日までセッション提案を募集中です。

本イベント「IGF2023に向けたセッション提案チュートリアル」では、IGFのプログラムやIGFへのワークショップ提案に興味がある方を対象とし、IGFのプログラム構成及びワークショップの企画・実施方法について、IGF参加経験者、およびIGFのセッション提案経験者によるチュートリアルを提供しました。

JPNICは主催団体の一つである日本IGFタスクフォースの設立発起人として、本イベントの企画進行に関わるとともに、発表者の一人として政策主幹の前村がIGFの概要についてお話ししました。

参加者数は17名と少なめでしたが、セッション提案を真剣に考えている方々からの質問が相次ぎ、実のあるイベントとなりました。

イベントの概要

  • 日時:2023年4月27日(木) 19:00-20:00
  • 会場:オンライン(Zoom Meeting)
  • 主催・企画
  • 対象:インターネットガバナンス、インターネットガバナンスフォーラム(IGF)に関心のある方
  • プログラム
    • IGF概要及びIGFのプログラム(Workshop, Open Forumなど)について:日本IGFタスクフォース/JPNIC 前村昌紀
    • ワークショップ提案書の書き方:ISOC-JP Vice Chair 小林茉莉子
    • 質疑・オープンディスカッション

発表内容の概要

IGF概要及びIGFのプログラムについて

まずJPNICの前村より、日本IGFタスクフォースの概要について説明しました。JPNICは設立発起人として、また事務局として同タスクフォースに関わっていること、JPNICの他に設立発起人が4団体いること、追って会員入会案内を行う予定であること、などについて触れた後、続いてIGFの概要の説明を行いました。IGFが、2000人程度が現地に集う世界最大のインターネットイベントであり、「マルチステークホルダーの対話の場」として設定され、国連主催ながら誰でも参加でき、誰でもセッション応募が行えることが説明され、IGF2022に関して、セッションの類似テーマ分類を示して実にさまざまな話題が議論されていること、タイムテーブルを示して11セッションが並行して実施されるなど、たくさんのセッションが開催されることを説明しました。また、実に広範囲にわたるテーマを扱っています。併せて会議の規模感がわかるよう、会場の様子を写真で示しました。

ワークショップ提案書の書き方

次にISOC-JP Vice Chairの小林氏より、ワークショップの提案に的を絞りその方法について解説がありました。誰でも提案でき、提案が通ればIGFの場でセッションとして開催される、というのが特徴である旨を最初にお話しいただきました。次いでワークショップ提案は英語で記載し、ワークショップ自体も英語での開催となること、ワークショップの内容は自由であるものの、その年のサブテーマ(2023年のもの)やSDGsと関連付ける必要があること、IGF 2023の提案の締め切りが5月19日23時59分UTC(日本時間5月20日8時59分)であること、などについて述べられました。

次いでIGFのワークショップの評価指標として、インターネットガバナンスやサブテーマとの関連性、記載内容の全体的な質、ポリシークエスチョン(各ステークホルダー、登壇者、参加者に問いかけたいこと)、参加者のエンゲージメントおよび遠隔参加者が不利にならないような対策、登壇者のダイバーシティ(多様性)などが挙げられました。次いでワークショップ提案を執筆するにあたって押さえておくこととして、先に上げられた評価指標や社会/分野の背景・課題・今ステークホルダー間で議論しなければならない論点、ワークショップの形式(パネル、ラウンドテーブル、BoF、チュートリアル、ディベート、グループに分かれて行う議論、その他)などが挙げられました。引き続いて実際にワークショップを提案した際の経験も語っていただきました。

その次には、想定スケジュールおよびセッション提案が採択されたのちにしなければならないことや、登壇者を探す際には自分や前村などに相談いただければよく、ワークショップ提案は出してみないと分からないことも多いのでまずは挑戦してほしい、アジア太平洋地域のIGF(APrIGF)もあるので、そちらへの提案も考えてみてもよいのではないか[1]、などが述べられました。最後にISOC-JPについて紹介いただき発表が締めくくられました。

質疑・オープンディスカッション

3番目のプログラムでは、実際にセッション提案をお考えであろう参加者との質疑応答となりました。

最初の質問は、パネルで応募した場合に登壇者5名分の名前を提案フォームに入れる必要があるのか、最初に3名程度入れておいて後で調整して5名とすることが可能なのか、というものでした。小林氏からの回答は、5名を無理に目指す必要はなく、3名書いておき(うち2名は現地参加できる必要あり)、都合が悪くなれば別の人に変えたり、登壇者を後から追加したりすることは可能、との回答がありました。日本からのMAGメンバーである河内氏からは、昨年ワークショップの審査をした際には、全ての話者が決まっている提案はほとんどなく、2~3人決まっていれば多い方で、ほとんどの提案では「あと何名かはまだ交渉中/検討中」といった感じだったとのコメントがありました。次いでOECD事務局で勤務した際にIGFに関わった経験をお持ちの総務省西潟氏からは、話者はTBD(To Be Determined、未定)が基本で、話者として名前を書くと事務局からその旨連絡があったり[2]、確認の返事をしなければならないこともあったりしたこと、ダイバーシティ他が求められるため、登壇者が3名だと厳しいので、(オーガナイザーも含め)6名をベースに考えていたとのコメントがありました。それに関連して小林氏から、ダイバーシティに関連して若者や政府関係者に登壇を働きかける意志を提案の補足として書いた、という経験が語られました。河内氏からは、MAG会議の方向性として、登壇者が全員同一の性別だけでは駄目だとしてはどうかという提案がなされ議論中だということです[3]

2番目の質問は、参加者からセッション中のDay 0[4]の位置づけを教えてほしい、他に応募して落ちたものが含まれるのか、それともDay 0はDay 0として応募する形になるのか、というものでした。これについては即答できる登壇者・参加者がいなかったので、IGF 2023のホストを担当する総務省の部署の担当の方に確認することになりました。

3番目の質問は、パネルの登壇者がすべて日本人男性で京都の方というのは成立しないのか、というものでした。それに対しては、小林氏より、相談いただければ、日本人以外の登壇者を紹介するといったことは可能との回答があり、西潟氏からはIGF事務局に直接問い合わせて助言をもらうとよいと思う、とのコメントがありました。

最後に締めくくりのお言葉を次の通りいただきました。

西潟氏からは、IGFで海外の人と議論することも大事だし、日本人から発言があると世界へのインパクトもあるのでぜひ挑戦していただきたい、ワークショップ提案の倍率は高くなるだろうが、もし選定されなかったとしても、京都の現地会場にぜひ来ていただいて、大御所の人たちも来るだろうしネットワーキングの機会になるだろうから、全日は無理でも部分的にでも参加していただきたい、今日をきっかけにIGFのイベントについて理解が深まれば光栄だし、引き続き皆で盛り上げていければ、という内容のお言葉をいただきました。

小林氏からは、多くの方々にワークショップの提案に挑戦いただきたい、本日のチュートリアルがそのきっかけになれば、もし選考プロセスに落ちてもIGF会期中に二百数十セッションが開催され、インターネットに関して様々なトピックが議論される非常に貴重な機会が日本で得られるので、ぜひ現地参加を検討いただけるとよい、参加費は国にホストいただいているのでかからない、とのお言葉をいただきました。

河内氏からは、提案に関して不安があれば、ワークショップを通すための秘訣を自分および他の経験者からご教示できるので、ぜひ相談いただきたい旨のお言葉をいただきました。

本セッションを活用いただいて、日本から1つでも多くのセッションが提案されるようになることを願っています。ご質問があればinfo@igf2023taskforce.jpまでメールでお寄せください。

本セッションの資料及び録画は以下で公開しています。

 

[1] APrIGF 2023へのセッション提案期限は今週末5月14日(日)23:59UTCですので、提案を考えている方はお急ぎください。

[2] 提案フォームには、登壇者候補のメールアドレスを記入することが必須となっています。

[3] 提案フォームには、登壇者のうち少なくとも1名は他の登壇者と違う性別であることが求められる、との記載があります。

[4] 正式にIGFが開始する日の前日のことを指します。その日に開催されるイベントがPre-eventまたは’Day 0′ Eventとなります。

 

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