ROAキャッシュサーバハンズオン 〜ROVをはじめよう〜~Internet Week 2024 注目プログラムのご紹介 ⑧~
event_team Internet Week JPNICからのお知らせ JPNICのイベントInternet Week 2024のプログラムを連載でご紹介しています、今回ご紹介するのは、11月21日(木) 14時から、実践的なハンズオンのプログラムとして開催される「ROAキャッシュサーバハンズオン 〜ROVをはじめよう〜」です。
RPKIが効果を発揮するには、 RIRやNIRから直接IPアドレスの割当を受けている方の多くがROAを作成し、 多くのASがRPKIによる経路の検証(ROV)をする必要があります。このプログラムはこのROVまでできることを目指したものです。昨年2023年に「ROAキャッシュサーバハンズオン〜RPKI/ROVの普及を目指して〜」として行われて人気でしたが、それとは違うソフトウエアを用いたハンズオンをとなります。また実際にROAキャッシュサーバを運用するために必要な技術についても解説し、ハンズオンで動作を確認することができるそうです。
このプログラムの詳細について、Internet Week実行委員の山賀正人さんが、このプログラムを企画したプログラム委員の一人である、山口勝司(Home NOC Operators Group)さんと講師の齋藤脩愉 (長崎県立大学)さんにインタビューを行いました。
山賀:皆さんこんにちは 実行委員の山賀です。本日は山口さん、齋藤さんよろしくお願いいたします。
山口・齋藤:よろしくお願いいたします。
山賀:早速ですが まず初めにこのプログラム企画した背景は何でしょうか?
山口:昨年もこのRPKIに関しては、「ROAキャッシュサーバハンズオン〜RPKI/ROVの普及を目指して〜」という形で実施したので、今年は2年目となります。
ルーティングセキュリティ・RPKIに関して言えば、ROAの作成というところは作成率が徐々に上がってきているという状況ですが、不正な経路の削除を行うROVについては、まだまだ国内では進んでおらず、それが昨年から継続している状況です。
今年はアメリカのFCCからも「ROVをやっていく」という文書がでたり、日本の総務省も、RPKIガイドラインを何らかの形で出すことで準備を進めており、引き続きルーティングのセキュリティが社会から求められている現状があります。
その中で、「ROVを行う」にあたってのキャッシュサーバの運用が、各組織にとって大きな課題になっているという声をよく聞きますので、それを解消したく、今年も昨年に引き続きこのプログラムを企画しました。
山賀:ありがとうございます。ではそうした社会的な状況の高まりを踏まえて、講演者に講演を依頼したということでしょうか。
山口:はい。昨年と同様に長崎県立大学の岡田先生と2名の学生さんに講演を依頼をしました。昨年のコンテンツがよく、とても評判がよかったので。
山賀:なるほど。実際のハンズオンの講師を行う斎藤さんにお聞きしますが、今回の見どころはどのようなところになりますか。
齋藤:前回のRPKIハンズオンでは、「rpki-client」と「Stay-rtr」いうソフトウエアを使用しました。今年は昨年とは異なる「Routinator」というソフトウエアを用いたハンズオンとして、これを体験していただこうと考えています。また、昨年では解説にとどまっていたSLURM(RFC 8416)という機能があるんですけれども、こちらについても実際に今回は動かしていただいて、ROVの状況が変わるということを自分の目で感じていただけるものとなっています。
あとルーターとROAキャッシュサーバの接続に使う各種のパラメータについても、時間の許す限り、一つ一つ変化をさせていきながら、「挙動が変わったね」ということを体験してもらえればと思っています。
また「トラブルシューティング」という面では、疑似的なトラブルを起こして、実際にどのように解決に向けていけるのか、切り分けをしていくのかを実際に見てもらえればという風に思います。
今回、学生が皆さまのハンズオンをアシストしますので、 実際に「壊していい環境」だと思ってなんでも試してもらえればと考えています。
山口:やはり商用環境で運用していくためには、皆さま「ソフトウェアの冗長性」を求めると思いますし、トラブルが起きた際に対応できるのは必須の条件になってきますので、昨年のオンラインでの資料と今年のプログラムの2年分を見ていただくことで、キャッシュサーバの運用はばっちりで構築とか運用に取り組んでもらえる、このような構成にしています。
山賀:ありがとうございます。とても楽しみな内容ですね。今年のInternet Weekのテーマは「つなげて、広げて、楽しもう」ということですが、このプログラムを通じて、共に考えたい未来への方向性はなんでしょうか?
齋藤:このハンズオンを通じて、実際にROVを行うまでの過程=ROAキャッシュサーバを立ててルーターとつないでというところを、実際に体験する過程で、今まで持たれていた不安であるとかを実際に解消してもらえればと思っています。このハンズオンで得られた知見や気づきが、よりこのROVを行うASの増加につながり、よりセキュアな世界につなげられれば幸いです。
山賀:ありがとうございます。特にどのような方に聴いていただきたいですか。
齋藤:はい、Webの概要にも載せている通り、
- RPKI に興味のある方
- ASの運用をしている方
- ROV導入を検討している方
の方はもちろん、ROAキャッシュサーバを使うのを悩んでいる方にも聴いていただきたいです。
山賀:最後にこの動画をご覧になられている方へのメッセージをお願いいたします。
山口:そもそも、ROVをするためのキャッシュサーバの構築のノウハウや情報は日本語ではWebで検索してもほとんどない中で、このプログラムは日本語コンテンツを作るという意味でも非常に貴重な機会かと思うので、ぜひご参加いただけるとありがたいです。1年後、日本で「ROVが進んだよね」という声が聞かれると我々もうれしいです。ぜひご参加をお願いします。
齋藤:今回も前年度と同じような高クオリティ、詳細な手順も書いた資料で皆さまをお迎えしようとしています。また昨年は、ハンズオン途中でエラーやトラブルで悩まれた方もいらっしゃったのですが、今回も丁寧にサポートするのでお気軽に参加いただいて、ROV導入のきっかけになるプログラムになればと思いますので、皆さまぜひご出席ください。
山賀:山口さん、齋藤さん、ありがとうございました。
IW2024は、RPKIに関する情報提供が充実しています!!あわせてご覧ください。
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