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News & Views コラム:ドメイン名を手放した後の落とし穴

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メールマガジンで配信したインターネットに関するコラムを、このブログでもご紹介しています。2024年2月は、Internet Week 2023のプログラム委員としてご協力いただいた、株式会社日本レジストリサービスの池田和樹さんにお書きいただいたコラムを載せました。登録が廃止されたドメイン名を第三者に登録される、いわゆるドロップキャッチに起因する問題が最近多く見られます。ドメイン名を手放した後にどのようなことが起こるのかということに触れつつ、ドメイン名のライフサイクルマネジメントの重要性についてわかりやすく書いていただきました。

 


2023年11月に開催されたInternet Week 2023では、プログラム委員としてはじめてInternet Weekに携わらせていただき、主にDNSDAYプログラムのコーディネーターとして尽力しました。関係者の皆さま、ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

今回のコラムでは、昨年話題となりDNSDAYでも取り上げたドメイン名のライフサイクルマネジメントについて、「ドメイン名を手放した後の落とし穴」というタイトルでお話しします。

私たちの日常において、名前はさまざまな企業や団体の商品・サービス・キャンペーンなどのブランドと密接に関わっており、商標や商号など、知的財産としての側面も持ち合わせています。そして、ドメイン名はインターネットにおける名前であり、WebサイトのURLやメールアドレスなど、重要な用途に使われています。

では、一度登録・利用したドメイン名を不用意に手放してしまった場合、どのようなことが発生してしまうのでしょうか。ドメイン名は手放してから一定の期間が経過すると、第三者が再登録できるようになります。つまり、手放したドメイン名は誰も使えない状態になるのではなく、誰でも使える状態になるのです。

そして、インターネットでは一度使われたドメイン名は、その後使われなくなったとしても、それまでに設定された内容、たとえば、他のWebサイトからのリンク・検索エンジンの結果・メールアドレスの登録情報などが、一定期間残り続けます。そのため、手放したドメイン名を第三者に再登録された場合、利用者が意図しないWebサイトへのアクセスや登録済みメールアドレスの悪用などにつながることも考えられます。

たとえば、再登録されたドメイン名でまったく別の内容のWebページが立ち上がっていた場合、既存のリンクやブックマークをたどることで、利用者が意図しない別の内容のWebページにアクセスが誘導されてしまうことになります。もし、再登録した人物が悪意を持っていた場合、フィッシングやマルウェアの配布など、悪意を持つWebコンテンツへの誘導も可能になってしまいます。また、ドメイン名はWebサイトだけでなく、メールアドレスとしても使われます。そのため、再登録されたドメイン名のメールアドレスがフィッシングメールやスパムメールの送信など、不適切な用途に悪用されてしまうことも考えられます。

前述したように、私たちの日常において名前はブランドであり、知的財産の側面も持ち合わせています。ドメイン名は簡単に登録・利用できますが、一度登録・利用したドメイン名はブランドとして大きな価値を持つため、その管理方法や手放すことによるリスクについて事前に十分に理解し、その取り扱いには細心の注意を払う必要があります。Internet Week 2023のDNSDAYプログラムでは、ユーザーの視点から最適なドメイン名選択や管理方法を考えるセッションを「基礎から考えるドメイン名ライフサイクルマネジメント」と題して、日本DNSオペレーターズグループのメンバーに実施いただきました。また、弊社では「ドメイン名の廃止に関する注意」(https://jprs.jp/registration/suspended/)と題して、本日紹介した事象について改めて説明しています。

とは言いながらも、実際の組織ではサービスを設計する人/ドメイン名を登録・維持管理する人/DNSを運用管理する人といったようにドメイン名に関わる人が部門ごとに分かれていることも多く、横断的な運用管理が必要になることも多いと思います。皆さまが自組織で使っている、あるいは使う予定のドメイン名のライフサイクルを考慮するきっかけとして、本コラムが役立てば幸いです。

 


■筆者略歴

池田 和樹(いけだ かずき)

2018年に株式会社日本レジストリサービスへ入社。社内サーバの運用管理を中心に、JP DNSサーバの運用管理にも従事。Internet Week 2023のプログラム委員。

 

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