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JANOG55フォトレポート(速報版)

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2025年1月22日(水)~1月24日(金)、京都市でJANOG55 ミーティングが開催されました。参加者数が過去最多となったJANOG55の雰囲気を速報版としてお伝えしていきます。

会場となった「みやこめっせ」。京都東山付近に位置し、数多くのイベントが開催されている。ミュージアムやショップなども併設され、多くの市民で賑わっているのが特徴的。

はじめに

舞台 京都

今回のJANOG55は、京都市で開催されました。ご承知のとおり京都府の県庁所在地であり、政令指定都市です。1000年近くかつての首都であったこともあり、多くの文化財ーー歴史的建造物や伝統文化などーーが残っています。

最近では外国人観光客が顕著に見られ、実際にJANOG55期間中も多くの外国人観光客とすれ違いました。そのためか、相対的に修学旅行生の姿を意識することが減ったかもしれません。それでも、いくつかの修学旅行グループは今日も元気に京都の街を楽しそうに歩いていました。

JANOG55のはじまり

さて、JANOG55のはじまりは、JANOG55開会宣言から始まりました。実行委員長のお二人がJANOG55の開始を宣言します。開会冒頭、今回の参加登録者数が4,096人(現地参加:3,867人、オンライン参加229人)であることが発表されました。過去最高の参加人数であった前回のJANOG54@奈良(3,435人)を上回るペースです。

登録者数が開催日前日時点で過去最高となったJANOG55。会期中も当日参加者が来場するため、最終的な参加者数はもっと増えそうだ。

なお、この写真にもWi-FiのAPが小さく写っていますが、会場では会場ネットワーク(Wi-Fi)が提供されました。この会場ネットワークは、コアメンバーと公募による有志が集って構築されたものでした。有志には多くの学生の姿もあり、これからのネットワーク業界を担っていく若い力が育まれていく場面も垣間見えるものとなりました。

参加者バッジに貼ることができる「アトリビュートステッカー」。最近のJANOGではお馴染みになっている。「I love 〇〇」と好きなものを貼ったり、属性をわかりやすくすることで、初対面の人との話すきっかけを作るものだ。

懇親会

JANOG55懇親会では、1,000名近くの参加者が盛大に集まり、参加者同士の交流を楽しみました。

それだけ多くの方が懇親会に参加できるように準備いただいているにも関わらず、懇親会のチケットは毎回、即完売する勢いで販売されています。参加者によると「販売開始時間にパソコンの前で待機していた」などの声もありました。近年の規模は拡大の一途をたどっています。

会場では、多くの日本酒や料理が振る舞われました。

シェフの方が目の前で調理してくださるコーナーは特に人気です。筆者も早速ステーキを美味しくいただきました。

JPNICメンバーの発表

JANOG55 では、JPNIC職員が発表を行いました。その模様を簡単にお伝えします。

Why ROV? RPKI Deployment Status in Japan

シェーン・ハーモソ氏(APNIC)が発表予定でしたが、氏が来日できなくなったため、当センターの塩沢が代理を務めました。

こちらのプログラムでは、わが国においてROAの発行は進んでいるものの、その割にROVが適用されていない現状を指摘し、ROVの重要性について取り上げ、ひいてはより安全なインターネット経路情報を保っていることの必要性について指摘しました。

https://www.janog.gr.jp/meeting/janog55/lt/

ROV導入を広げるために必要なことを議論するBoF

本プログラムでは、当センターの木村がBoFの登壇者として参加しました。

本プログラムでは、まずインターネット経路制御の安全・信頼性を向上させるため、日本ではRPKIの普及が進んでいる現状について、具体的にはROA登録がIPv4で72.2%、IPv6で74.8%をカバーしていることが明らかにされました。しかし、次の課題として、自社ネットワークを守るためのROV導入が必要であるとしました。

米国ではFCCが2024年にRPKI導入を指針化しましたが、日本では総務省の事業で不正経路対策ガイドラインを作成し、課題解決が進行中です。一方で、ROV実施に必要な基盤構築や運用コスト・技術者不足が課題となっています。

2023年のJANOG52では、IXPにROAキャッシュサーバを設置し、事業者がこれを参照してROVを実施できる仕組みが提案され、実際に日本のIXP事業者がその提供を開始しました。利用が進む中で新たな課題も浮上しています。

BoFでは、ROAキャッシュサーバやROV導入の効果・課題について議論を深め、より安全で信頼性の高い日本のインターネット実現を目指す形で行われました。

https://www.janog.gr.jp/meeting/janog55/rpkibof/

IPアドレス管理機構をイチから再考する:ICP-2 RIR認定要件の改定作業で未来を紡ぐ

このセッションは地域インターネットレジストリ(RIR)の役割や課題について議論したプログラムで、登壇者の一人としてJPNICの前村が発表しました。

RIRはIPアドレスやAS番号の一意性(重複せずに割り振りなどを行うこと)を管理し、インターネットの基盤を支える重要な機構です。アジア太平洋地域ではAPNICが、日本国内ではJPNICが国別インターネットレジストリ(NIR)として役割を果たしています。

RIRが機能不全や問題を抱えると、グローバルインターネット全体に影響を及ぼす可能性があり、最近ではとあるRIRでの機能不全が問題視されています。これを受け、RIR認定要件を定めた「ICP-2」という文書の改定が進行中で、新たなRIRの在り方を議論する重要な時期にあります。このセッションでは、ICP-2改定の「原則案」について触れ、JANOG参加者とともにRIRやインターネット運営機構の未来を再考し、新たな方向性を模索しました。

https://www.janog.gr.jp/meeting/janog55/rir/

個人やサークルでのAS運用を議論するBoF(野良BoF)

JANOGでは、通常プログラムの他に野良BoFという参加者が気軽に情報交換や議論ができる仕組みがあります。

「個人やサークルでのAS運用を議論するBoF」は、「個人や小規模なサークルがASを運用する際の経験、課題、ノウハウを共有し、参加者同士で意見交換」するために開催されました。

その中で、前提となる資源管理(IPアドレスやAS番号)に関する基本的な知識について、JPNICの中川が解説しました。

JPNICブースの出展

今回、JPNICはJANOG55のゴールドスポンサーとして出展いたしました。ブースでは、以下の出展内容でお送りいたしました。

1)新認証方式ポータルサイト「レジ・ポータル」を触ってみよう

電子証明書を使わずにIPアドレス等に関する申請やROA作成が可能になる「レジ・ポータル」のリリースがいよいよ間近になりました。展示ブースでは、デモで申請の様子がご覧いただけました。

2)ROAの作成/管理、ROVの導入について相談してみよう

RPKI担当者がROAWebでできること/管理方法、ROVの”実証実験”で分かっていることや、総務省のRPKIガイドラインなどを解説しました。

3)IPアドレスやAS番号の管理について相談してみよう

IPアドレス担当者が割り振り/割り当て、移転など、各種お悩み・ご相談を直接お伺いしました。

おかげさまで当センターブースには多くの方にお越しいただきました。特に、近日中にリリースされるレジ・ポータルについては事業者の皆様からの関心も高く、多くのご質問、ご相談をお受けいたしました。

当センターは、これからも協賛等を通じてコミュニティの発展に貢献していくほか、事業者の皆様への情報提供等の機会の拡充を図ってまいります。

おわりに

最終日の最後のプログラム・閉会宣言では、JANOG55の総括が実行委員長のお二人によって行われました。

実行委員長によると、今回のJANOG55の現地参加者数は3,832名で、過去最高とのことです!

 冒頭に触れた登録者数も、4,442名とのことで、会期中登録で350名程度増えていることになります。

次回JANOG56は、島根県松江市で開催される予定です。

今回も当センターJPNICは、各種プログラム発表を通じた情報提供・啓発、議論の活性化、協賛ブース展示を通じた国内外の事業者の皆様への情報交換やご相談をお受けするなど、さまざまな施策を実施してまいりました。次のJANOG56でも同様の取り組みを行い、インターネットの安定的な基盤推進と、IPアドレス事業の拡充を図ってまいります。

次回は松江の地でお会いしましょう!

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