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News & Views コラム:はじめての資格取得体験記

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メールマガジンで配信したインターネットに関するコラムを、このブログでもご紹介しています。2025年5月は、株式会社ドワンゴで幅広くネットワークの設計・構築・運用に携わられ、JANOGをはじめとするコミュニティのための活動にもご尽力なさっている、高木萌さんのコラムをお届けしました。高木さんは「電気通信主任技術者」という国家資格取得から得られた体験をお書きくださっています。それが「毎日のルーチンでは得られない情報に向き合うことで、当たり前に利用していること・ものが違って見えるという経験」であった、ということがとても印象的でした。

 


先日初めて資格試験に挑戦しました。「電気通信主任技術者」という電気通信ネットワークに関わる国家資格です。社会人になってから情報通信に関わる資格に漠然とした憧れを抱きつつも、なかなか一歩を踏み出せずにいました。そんな中、資格取得のベテランである先輩から背中を押してもらい、半年ほど勉強して受験。結果は無事合格でした。Web上の試験結果を見た時点ではしっくりきませんでしたが、総務省から交付された資格者証を手にしてようやく合格を実感することができました。

今回わたしは、電気通信主任技術者試験のうち「線路」を受験しました。基礎・専門分野・法規の3科目があり、出題範囲は現在の業務と直結する内容から、業務とは少し離れた内容までさまざまでした。どの分野もインターネットを支えるために必要な要素であり、今まで知らなかった通信に関する知識を多角的に学ぶ機会となりました。また、高校や大学で情報系の学問を体系的に学んだ経験がなかったため、電気工学やソフトウェア技術の基礎的な問題に触れられたことも良い経験でした。

勉強していた中で特に印象に残ったのは、電線・電柱に関する分野です。今までありふれた景色で見過ごしていましたが、素材選定や根入れ長、白華、接地などの技術や工夫を知ってからは、スマホのカメラロールに電線や電柱の写真が増えました。今年の7月にはもう一方の種別である「伝送交換」も受験予定ですが、今度はアンテナの写真が増えるかもしれません。

JANOGなどのコミュニティに参加していると、普段業務で関わることのない方々ともゆっくりお話しできる機会がありますが、今回の受験ではそれに近いものを感じました。毎日のルーチンでは得られない情報に向き合うことで、当たり前に利用していること・ものが違って見えるという経験は、初めてAPNICカンファレンスに参加してこの業界を意識し始めたときに実感したものでもあります。脆い性質をもちながらも重要なインフラの一つであるnon-zero-sum Internetに少しでも貢献できれば、そんな初心を思い出させてくれた資格取得体験でした。

 


■筆者略歴

高木 萌(たかぎ めぐみ)

2018年に株式会社朝日ネットへ入社しISPネットワークの運用保守に従事。株式会社KADOKAWA Connected(現 株式会社ドワンゴ)に転職した2020年からは、コンテンツASやデータセンター、オフィスなど多様なネットワークの設計・構築・運用を行っている。JANOG運営委員およびIPネクスト育成協会サポートチームとしても活動中。

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