ROAキャッシュサーバの運用トラブルを実践で学ぶ―RPKIトラブルシューティングハンズオン~Internet Week 2025 プログラム委員インタビュー第7弾~
event_team Internet Week JPNICからのお知らせ JPNICのイベント今月11月開催の Internet Week 2025(IW2025)。「挑戦×経験×世代 ~フルスタックで“不確実”の先へ~」というテーマのもと、インターネット運用に関わる多様な立場の人々が集い、技術と知見を共有する場として開催します。
- Internet Week 2025 について、全般を解説した記事はこちら⇒ 約40のプログラムで構成!Internet Week 2025 開催のお知らせ ― 挑戦×経験×世代 ~フルスタックで“不確実”の先へ ―
JPNICブログでは、Internet Week 2025の注目プログラムと見どころを順次ご紹介していきます。技術の最前線を追うもよし、世代を越えて語り合うもよし。IW2025を“自分ごと”として楽しむためのヒントをお届けする予定です。
今回は注目プログラムのひとつ「H2 RPKIトラブルシューティングハンズオン -ROAキャッシュサーバ編-」を取り上げ、企画担当のプログラム委員である、山口 勝司さん(一般社団法人 Home NOC Operators’ Group/ビッグローブ株式会社)にお話を伺いました。
―「RPKIトラブルシューティングハンズオン -ROAキャッシュサーバ編-」ということで、RPKIに関するハンズオンは3年連続の実施ですね。3年目の企画意図を教えてください。

山口:まず背景として、インターネットが社会インフラとしての重要性を増す中で、その根幹であるBGP経路交換のセキュリティを担保することが、今後も非常に重要な課題になっています。
2024年には総務省の事業をもとに、JPNICから「RPKIのROAを使ったインターネットにおける不正経路への対策ガイドライン」が公開されました。また、インターネットエクスチェンジ各社がROAキャッシュサーバーの提供を始めたことで、ROVを行うASが増えています。
こういった背景のもと、Internet Weekでは、2023年に「ROAキャッシュサーバハンズオン〜RPKI/ROVの普及を目指して〜」、2024年に「ROAキャッシュサーバハンズオン 〜ROVをはじめよう〜」を提供してきました。
ROAを今後継続的に運用していく上ではトラブル対応のスキルが必要になります。そのため、今年は運用に必須となるトラブルシューティングのノウハウをハンズオン形式で提供する、というのが企画の意図です。
これらの公開情報は限られているため、ノウハウを提供したいと思っています。
―講演者は、2023年・2024年に引き続き、長崎県立大学の岡田先生とその研究室の方々ですね。岡田先生にお願いした理由を教えてください。
山口:長崎県立大学の岡田 雅之先生は、ルーティングセキュリティ分野で豊富な知見をお持ちです。また、ティーチングアシスタントとして、同研究室でルーティングセキュリティを選考する学生さんに補助をしていただきます。次世代を担う若手が活躍する機会でもありますので、ぜひご注目いただければと思います。
―RPKIやROVの導入を進める上で、どのように取り組むと良いとお考えですか?注目してほしいポイントも含めて教えてください。
山口:より多くのASがROVのバリデーションやROAの作成を行うことで、不正経路を排除する力がインターネット全体として高まります。
このプログラムが、その取り組みを始めるきっかけになればと思っています。
―このプログラムは、どんな方に特におすすめですか?
山口:AS運用を実際に行っている方、ROVやROAキャッシュサーバーの運用をしている方、あるいは検討中の方を主な対象としています。また、運用経験がなくてもルーティングセキュリティ技術に興味がある方にもおすすめです。
ただし、Linuxサーバーの基礎知識やRPKIに関する基本的な理解を前提としています。 もし詳しくない方で参加したい場合は、2023年・2024年のInternet Weekの資料(*1)が公開されていますし、JPNICのYouTubeチャンネル「RPKI入門」などの動画を事前にご覧いただくと理解しやすいと思います。
今年は2023年にも使用した、「rpki-client」と「Stay-RTR」を使用し、それらを題材にトラブルシューティングを行います。構築自体は2023年度のハンズオンで扱いましたので、今回は運用に関するトラブル対応がメインになります。
RPKIや経路制御はプロトコルスタックにおいても上位のプロトコルを支える重要な位置にあります。このハンズオンにてフルスタックを支えるシステム基盤のセキュリティをより強く意識してもらえればうれしいです。
- (*1)
―最後に、参加を検討している方へのメッセージをお願いします。
山口:AS運用やRPKIに関わる方はご参加いただいて損はないプログラムとなっております。ROAキャッシュサーバー運用のノウハウは、日本語の情報がほとんど存在しません。関係者にとって非常に役立つ内容になっていますので、ぜひご参加ください。
ぜひ本セッションにご参加いただき、今後の仕事に役立ていただければと思います。
プログラム概要
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日時:2025年11月19日(水) 14:00 ~ 17:00
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会場:オンライン
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講演者:
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岡田 雅之(長崎県立大学)
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齋藤 脩愉(長崎県立大学)
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石川 嶺(長崎県立大学)
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山本 くるみ(長崎県立大学)
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後藤 汰珠(長崎県立大学)
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- URL:https://internetweek.jp/2025/archives/program/h2
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