TDNOG13.0 Meetingに参加しました ~地域NOGで感じた学びとつながり~
tech_team 他組織のイベント2026年5月15日(金)、山形県山形市の山形大学 小白川キャンパスで開催された「TDNOG13.0 Meeting」に参加しました。
TDNOGは、北海道・東北地域のネットワーク運用者を中心とした地域NOGです。当該地域に根ざしたコミュニティとして、ネットワーク運用に関わる技術的な話題や、運用者同士の情報交換、地域ならではの課題共有などが行われています。
今回の会場は山形市内にある山形大学でした。山形空港の周辺では、ちょうど田植えが始まった時期で、空港に着陸する前には、のどかな田園風景が広がっていました。初夏を感じさせる景色の中で、地域NOGらしいあたたかい雰囲気のイベントに参加することができました。
会場となった山形県内、山形空港に着陸する前
■ TDNOG13.0 Meetingの様子
今回の登録者は、TDNOG地域から33名、それ以外の地域から104名でした。地域NOGという名前ではありますが、北海道・東北地域に限らず、全国から多くの方が参加されていたことが印象的でした。
また、TDNOGへの参加回数を見ると、2回以上の参加者が84名、初参加が53名でした。これまで参加してきた方々に加えて、初めてTDNOGに参加する方も多く、地域NOGの裾野が広がっていることを感じました。
会場では、発表を聞くだけでなく、休憩時間や懇親会も含めて、参加者同士が自然に会話し、情報交換する様子が見られました。地域を軸にしながらも、地域を越えて人が集まり、つながりが生まれる場になっていたと思います。
会場となった山形大学(1枚目)、参加登録者アンケートより、参加回数(2枚目)
■ 印象に残った発表:「ISPエンジニアが高校生にIPネットワーク教えてみた ~OSPF編~」
今回特に印象に残った発表の一つが、IIJ 佐々木さんによる「ISPエンジニアが高校生にIPネットワーク教えてみた ~OSPF編~」です。
発表では、高校や高専などから教育支援の依頼を受けることがあるという背景が紹介されました。IT関連の講座は増えている一方で、プログラミングは教えられても、ネットワークをどのように教えればよいか悩む声があるとのことでした。
そこで紹介されたのが、OSPFの仕組みをゲーム形式で学ぶ取り組みです。参加者がそれぞれルーター役となり、紙に書かれたリンク情報、例えばコストや接続先などを交換しながら、ネットワーク全体の構成を考えていきます。
ルーターの構成は東北地方の地名で表現され、コストも「行きやすさ」として捉えられるよう工夫されていました。単に用語や計算方法を説明するのではなく、実際に情報をやり取りし、その情報をもとに参加者同士で構成を議論し、絵に描いていくという内容です。
ネットワークの仕組みを理解するには、通信モデルを頭で覚えるだけでなく、実際に「情報がどう伝わり、どう判断されるのか」を体感することが大切だと感じました。また、仕組みそのものをわかりやすく伝えるための工夫は、学生向けに限らず、社会人向けの研修やコミュニティ活動にも活かせるものだと思います。
発表の中では、今後、社会人向けのコンテンツを作ることになったという話もあり、1日集合研修のような形態も検討されているとのことでした。ネットワーク技術をどのように次の世代へ伝えていくかという観点でも、大変興味深い発表でした。
会場の様子
■ JPNICからの発表
JPNICからは、「APRICOT 2026参加報告と、地域NOGから考える国際コミュニティとのつながり」と題した発表と、ChuNOGミーティングに関する告知を行いました。
APRICOT 2026参加報告と、地域NOGから考える国際コミュニティとのつながり
本発表では、インドネシア・ジャカルタで開催されたAPRICOT 2026で得た知見のうち、主に三つのテーマに焦点を当てて紹介しました。
一つ目は、世界のNOGについてです。TDNOGは日本における地域NOGの一つですが、世界各地にもさまざまなNOGが存在し、それぞれの地域やコミュニティに応じた活動が行われています。APRICOTで得られた世界のNOGに関する動向をもとに、各NOGがどのように運営され、どのような課題や取り組みを持っているのかを共有しました。
二つ目は、アドレスポリシーについてです。アドレスポリシーは、日々のネットワーク運用の中で常に意識するテーマではないかもしれません。しかし、IPアドレスの割り振り条件や利用のあり方に関わるものであり、通信事業者やネットワーク運用者にとって無関係ではいられない重要なテーマです。APRICOTで議論された最新トピックを取り上げ、その背景や注目点を紹介しました。
三つ目は、海外カンファレンスへの参加についてです。APRICOTをはじめとする国際会議への参加は、関心はあってもハードルが高く感じられることがあります。発表では、参加への第一歩を踏み出すにあたって活用できる施策や支援の例を共有した上で、今後どのような後押しがあれば参加しやすくなるのか、会場の皆さんと意見交換を行いました。
地域NOGは、地域の技術者が顔の見える関係を築く場であると同時に、国内外のコミュニティへつながっていく入り口にもなり得ると感じています。今回の発表が、国際コミュニティへの関心を持つきっかけになれば幸いです。
各地域NOGアップデート
各地域NOGのアップデートの時間では、6つの地域NOGから最近の活動報告や直近のイベント告知などが行われました。JPNIC職員が運営に参画している「ChuNOG」からも、これまでの活動や次回のイベント予定について報告しました。
TDNOGをはじめ、各地域NOGでは、それぞれの地域に根ざした活動が継続されています。参加者や運営メンバーの顔が見える距離感の中で、技術の話だけでなく、人材育成、学生との接点づくり、他地域との連携など、さまざまなテーマが共有されていることを改めて感じました。
■ 懇親会を通じて感じたこと
プログラム終了後には懇親会も開催されました。会場では、発表内容に関する質問や感想に加え、それぞれの地域での取り組み、日々の運用で感じている課題、今後やってみたいことなど、活発な意見交換が行われていました。
とても盛り上がった懇親会であり、参加者同士のつながりを強く意識する時間でもありました。オンラインで情報を得る機会は増えていますが、同じ場に集まり、直接話すことで生まれる気づきや関係性には、やはり大きな価値があります。
■ おわりに
今回のTDNOG13.0 Meetingでは、技術的な学びに加え、ネットワークを支える人をどのように増やし、育て、つないでいくかというテーマを強く感じました。
OSPFを高校生にどう教えるかという発表からは、仕組みを体感できる形で伝えることの重要性を学びました。また、APRICOT 2026の報告や地域NOGアップデートを通じて、地域の活動が国内外のコミュニティともつながっていることを改めて実感しました。
TDNOGをはじめとする地域NOGは、技術者同士が学び合い、相談し合い、新しいつながりを作ることのできる貴重な場です。今回の記事をきっかけに、地域NOGや国際コミュニティに興味を持っていただいた方は、ぜひお近くのNOGイベントにも足を運んでみてください。
お知らせ
JPNICでは、「APNIC 62参加支援プログラム」として、 2026年9月にインド・ムンバイで開催されるネットワーク技術者向けの国際会議「APNIC 62」への参加を希望する国内の若手技術者・研究者を募集しています。選出された方には、APNIC 62参加に必要な旅費の補助、 およびAPNICに毎回参加している方からの会期前/中/後におけるアドバイスの提供を行います。
APNICカンファレンスは、 アジア太平洋地域のインターネット番号資源を管理するAPNICが年2回開催する国際会議です。 ネットワーク運用者、技術者、研究者、政府関係者などが参加し、 IPアドレスやAS番号の管理ポリシー、 ルーティングセキュリティ、IPv6、DNS、 インターネット運用技術などについて情報共有と議論を行います。 インターネット基盤を支える技術とコミュニティの発展を目的とした、アジア太平洋地域における重要な会議です。
各国の技術者と交流、最新動向をキャッチしてみませんか。海外カンファレンス参加の第一歩目としてご活用ください!
詳細は下記の募集要項をご確認の上、 2026年6月8日(月)12:00までにご応募ください。 熱意ある方々からのご応募をお待ちしております。




