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IANA監督権限移管実現 - 直前と直後

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JPNICでは、一貫してIANA監督権限移管に関して情報提供を続けてきましたが、ついに2016年10月1日、移管が実現しました!

NTIAがこの監督権限を移管する意向を固めた2014年3月以降のこの約2年半の間、 世界中のインターネット関係者が今までにない規模でグローバルに協働してきましたが、今後IANA機能の監督については、特定の政府が関わることなく、 さまざまな立場の関係者が集まり構築される、 いわゆる「マルチステークホルダー体制」に基づく「グローバルなインターネットコミュニティ」が担っていくことになります。

JPNICからの第一報は、2016年10月1日(土)13時(日本時間)過ぎに、米国東部時間の同日0時過ぎのNTIAの声明を受けて行いました。

テキサス州ガルベストンの連邦裁判所が、原告による差し止め救済命令の要求を拒絶しました。2016年10月1日をもって、IANA機能契約は失効しました。」 たった3行の声明です。短いものの、契約の失効、延長の判断を行う委託者の発表ですから、これ以上に確かなものはありません。

少しその直前の話をしようと思います。

10月3日に発行したJPNICのメールマガジンでもご紹介しましたが、9月最終週は米国議会による予算継続決議の付随条項をめぐる攻防を一喜一憂しながら眺め、これが片付いたと思ったら、4州から連邦裁判所にあて、移管の差し止め命令要求と、息が詰まる思いでした。

差し止め要求の結果は米国時間の9月30日に出る見通しでしたが、日本時間の9月30日金曜日の勤務時間が終わっても、まだ米国の30日が始まりません。従って、実は30日の時点では、第一報のアナウンス文案を二つ作り、万が一差し止め命令が出されてIANA契約が延長されていても対応できるようにしていました。

連邦裁判所の命令書によると、要求拒絶の結論はテキサス時間の9月30日午後4時30分、日本時間10月1日午前6時30分に発表されました。

NTIAの声明が示したように、これが移管実現を決定付けることになります。「勝負は下駄を履くまで分からない」と言いますから、我々としては何かトリガーとなる発表が出てくるのを待ったわけですが、この連邦裁判所の判断をもって、移管実現を確信する祝福ムードが始まりました。

真っ先に祝杯を挙げたのは、LACNICです。LACNICでは9月26日から30日まで、コスタリカのサンホセでLACNIC26/LACNOG2016ミーティングを実施していました。

最終日のクロージングセレモニーは裁判所の拒絶判断は下った後でしたので、既に祝福ムード満載だったと思われ、その後のレセプションは、まさに「移管実現おめでとう」の様相を呈していたようです。LACNICミーティングに参加していたAPNICのStrategic Engagement DirectorのPablo Hinojosa氏のツイートがその様子をよく表しています。中央の女性が、IANA部局の責任者であり、この後数時間で分社化される Public Techinical Identifiers(PTI)の社長となる、Elise Gerich氏です。

LACNICとしては、この9月30日夕刻のレセプションがIANA監督権限移管実現を祝うことになるだろうと想定して準備はしていたと思いますが、ここまでじらされるとは思っていなかったのではないでしょうか。

さて、無事移管が実現して、週が明けるとスリランカのコロンボで開催されるAPNIC42カンファレンスが、ワークショップを終えてカンファレンスの部分に入ります。会期を通じていくつかレセプションが開催されますが、10月3日月曜日のオープニングレセプションが、移管を祝うレセプションとなりました。

CC BY-NC-ND 2.0 Photo by APNIC

APNICの職員とも、ここまでに書いてきたようなことを話したのですが、APNICでもカンファレンス中の声明の原稿を2バージョン作るなど、苦心していたようです。

移管が実現したことでAPNIC42カンファレンスでは最終日、10月5日に開催されたAPNIC総会(APNIC Members Meeting)にて、APNIC理事会議長よりAPNICコミュニティからの声明が読み上げられました。コミュニティ主導のマルチステークホルダーモデルが機能することを示したこと、そしてAPNICコミュニティとして今後も責任を持って、この重要な機能の監督を行うことを表明しています。

最後に、関連団体・各位からのアナウンスやメッセージなどをまとめてみます。

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