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"グローバル"インターネットにガチで向き合う、締めのパネルディスカッション! ~IW2017 注目セッション紹介(4)~

投稿者 event_team on 2017年11月14日

Internet Weekの事前登録のお申し込みは今週末17日です!あと3日になりました!!

さて、私、法林浩之(日本UNIXユーザ会)が紹介する今回のセッションは、2017年12月1日(金)に行われる「IP Meeting 2017」最後のパネルディスカッションです。ここでトリのパネルディスカッションのモデレータを務める、金子康行さん(株式会社グローバルネットコア/JANOG運営委員)にお越しいただき、お話しいただきました!

お越しいただいた・・・と言っても、金子さん、新潟在住なので、インタビューはオンラインで行っています。インターネットって本当に便利ですねぇ。さて今回のパネリストたちは、便利だから、そしてインフラになったこそのインターネットの悩みにどう立ち向かうのでしょうか・・・?


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法林:この「向き合おう"グローバル"インターネット」というタイトルは壮大ですよね?このパネルのモデレータをやることに なったきっかけは何ですか?

金子:JPNICの某女史に頼まれたからです……(苦笑)

法林:なるほど……(続苦笑)。依頼された時、まずどんなことを考えました?

金子:最初は相談があると言われて…「悪い予感がするな」とは思いながら(笑)、で話を聞いた際に「本当にできるかな?」と思ったんですね。その日は即答しませんでした。

それで「自分だったら、この『向き合おう"グローバル"インターネット』というテーマを受けて、どう料理できるんだろう?」と考えてみました。それで思ったことは、確かに壮大なテーマではあるけれど、これは自分も最近とみに違和感を感じるようになってきていることと、同じ問題意識だなということ。

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私がインターネットを使い始めたのは、インターネットの黎明期です。そこから普及期、成長期を経験しました。インターネットが広がっていくこと自体がおもしろくなっていた時ですね。世界中の人々が繋がり、コミュニケーションや情報流通が活発になって、社会のいろんなしがらみを外して新しい文化やイノベーションが起こっていく、インターネットが切り開く未来に、非常にワクワクしていたことを覚えています。

しかし、今という時代はどうでしょうか?実際にインターネットが生活の隅々まで行き渡ったが故に、社会のひずみとか、ねじれとか、ギスギスしたものがより顕在化しているように感じます。インターネットで自由に情報が流通するようになったが故に、攻撃や対立が先鋭化し、嘘や流言にあふれ、社会は分断に向かおうとしている。簡単に言えば、「どうもあの頃思い描いていた、ワクワクするような世界と違うぞ」という感じ。

おそらくは、これはインターネットの問題ではなく、人間そのものの問題だと思んですが、社会をよりよくするはずのインターネットが、パンドラの箱を開けてしまったかのように、封印されていたネガティブな感情や対立を解き放ってしまったのではないか、そんなことを鬱々と考えていたんです。

初めは躊躇しましたが、やはりせっかく機会をいただいたのだから、このテーマをど真ん中に据えていろんな人の意見を聞いてみよう、そして出来ることならば、インターネットはこれからも正しく未来を切り開いていく力を持っているし、僕らは実際にその一端にいるんだ、まだまだワクワク出来るぞ、ということが言えたらいいなと思って引き受けたんです。

法林:金子さんって、すごいまじめな方なんですね~。さて、普段の金子さんはどんな人なんでしょう?

金子:普段ですか?そ、そうですねぇ、歌舞伎を観るのが大好きな、いたってフツーな人ですよ(笑)。歌舞伎はいいですよ。芝居としてももちろん面白いですが、舞踊も素敵だし、長唄、清元、常磐津、義太夫といった音楽的なところも大きな魅力です。能や狂言、文楽といった他の伝統芸能の要素も貪欲に取り入れて、また最近ではあっと驚くような現代的な新作もたくさん出てきています。「弥次喜多」がラスベガスに行ってアラブの石油王と会うようなドタバタコントがあったり、漫画の「ワンピース」を歌舞伎にしてしまったり。とにかく奥が深いんですよ。一度ハマるといろんな世界が広がっていて、飽きることがないです。あと、役者の成長や代替わりを追いかけられるのもいいですね。人生をかけてずっと楽しめます。あ、なんか調子に乗って喋りすぎましたかね・・・(笑)。

仕事としては、出身地である新潟の企業で働いています。ISPやデータセンター、クラウドサービスの提供など、インターネットの基盤サービス的なことを手広くやっている会社です。技術部門の責任者として、どちらかというとマネジメント系の仕事が多いですが、未だに自分の手を動かして設備やサービスを作ったりすることもあります。

法林:先ほどインターネットは黎明期からと言っていましたが、始めたのはどんなきっかけだったんですか?

金子:1993年、私が大学4年生の時に当時のアップルコンピュータが「学生にMacintoshを無料で提供するから何か面白いことやってみろ」というプロジェクトを始めまして、それに参加したのがきっかけです。映像制作、出版、建築など、いくつかのグループに分かれて活動しましたが、私は通信グループのリーダーとして、プロジェクト内部の通信サービスを運営したり、インターネットを使った実験をやったりしていました。時代的には、国内でISPが立ち上がり始め、伊藤穣一さんが「富ヶ谷」というサイトを立ち上げたり、高城剛さんが華々しく活躍されていた頃ですね。

翌年、都市開発がやりたくて東京の鉄道会社に就職したのですが、インターネットに対する興味も捨てがたく、結局は社内のメディア系の部署に配属希望を出して、検索インデックスサービスを作ったり、ダイヤルアップ接続のISP事業を立ち上げたり、データセンターサービスを手がけたり、最後はケーブルインターネットのバックボーン設計などもして、その後地元にUターンしても同じようなことをまだやっている(笑)、という流れです。ちなみにUターン転職したきっかけについては、JPNICさんのメルマガにコラムを書かせていただいたので、興味があればご覧ください。

法林:なるほど。背景がよくわかりました。そんな金子さんですが、今回のパネルディスカッションでどんなことを話したいのでしょうか?

金子:仕事上では、なんとなく技術者っぽい位置にいましたが、それはたまたま周りに技術者がいなかったからで、自分自身では生粋の技術者ではないとずっと思っていました。大学も社会学部でしたしね。ただ、技術主導というか、技術者の思想主導で発展してきたインターネットというものの面白さ、無邪気さのようなもの、実際にそれが実現していく様子に魅せらたんだと思います。

それが最近、冒頭でも話したように、インターネットが拡がりきった今、無邪気なだけではいられなくなって、大人な現実との折り合いをつけなくてはならなくなっている。規制とか、国家とか、そういうものと本気に向き合わなくてはならないし、インターネットを介していろんな社会の騒乱が起こっていることも問題視されている。じゃあどんどんインターネットを厳重に管理していけばいいのか。民間ベースではなく国家がネットワークを管理し、通信を統制し、不適当な情報は遮断すればいいのでしょうか。それでは誰もが自由につながり、ある種の混沌の中からイノベーションを生み出してきたインターネットの良さというものが失われてしまわないか。すぐに答えが出るような問題ではありませんが、そういうことをこの際真面目に議論して、インターネットに関わる人たちが一緒に考えるきっかけを作りたい、と思っています。

今回お呼びした5人のパネリストの皆さんは、インターネットの無邪気で理想主義的な側面と、実際の現実社会に関わるシビアな側面と、両方をわかった上でその狭間で、それぞれの立場で戦っている方なんじゃないか、そんな風に考えて登壇をお願いしました。もしかしたら、非常に厳しい、耳の痛いご意見やご指摘をいただくかもしれません。それでも、私たちのインターネットはグローバルにつながっているし、グローバルにつながっていることがインターネットの価値だと私は信じています。

「自分がこれまで味わってきたインターネットのワクワク感が今後も続くといいな」「インターネットそのものがワクワク感を与える存在であればいいな」、そんな気持ちで、このパネルディスカッションに挑みます!


D3 IP Meeting 2017 ~向き合おう、“グローバル”インターネット~

日時 2017年12月1日(金) 09:30 ~ 17:30
場所 2Fホール
参加料金 事前 12,000円、当日 18,000円
URL https://www.nic.ad.jp/iw2017/program/d3/
概要

IP Meetingは、Internet Weekを総括するプレナリ、メインプログラムとして、インフラとしてのインターネットの動向に興味のある方、運用に携わる方を対象に、その年のネットワークの状況を総括し、最新動向を伝え、今後に向けた議論を行う会合として機能してきました。

午前中のセッションでは「Internet Today!」と題し、技術的な側面および社会的側面の両面から、今年のインターネット動向を振り返ります。

午後には、「向き合おう、"グローバル"インターネット」と題し、自律・分散・協調で成り立つインターネット、さまざまな課題や揺らぎがある中で、このグローバルという特性を今一度見据え、一つのインターネットをどうやってともに運営していくのかを考えるセッションを展開していきます。

内容

◆午前の部(9:30~12:30):Internet Today! ~2017年のインターネット動向~

9:30~11:00 2017年インターネット運用動向 + セキュリティ動向まとめ
~2017年を少し早いけどまとめてみた~
講演者:  吉田 友哉(NTTコミュニケーションズ株式会社)、piyokango (セキュリティインコ)

○2017年、社会とインターネット

11:10~11:50 新しい働き方と地方創生の取り組み(仮題)
講演者: 山崎 雅人(株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ)、他調整中
11:50~12:10 災害における通信インフラ復旧 ~九州での大規模災害を通じて~
講演者: 安川 寛昭(株式会社QTnet)
12:10~12:30 インターネット/ICTの教育現場から
講演者: 中村 めぐみ(つくば市立並木中学校)

◆午後の部(13:30~17:30):2018年に向けて、向き合おう、"グローバル"インターネット

13:30~13:45 iNTERNET magazine Reboot発刊記念: プロバイダーマップはどうやってできたのか?
講演者: 井芹 昌信(株式会社インプレスR&D)
13:45~14:45 アジアと日本のインターネットを考える
講演者: Paul Wilson (APNIC)、白畑 真(FullRoute Pte. Ltd.)
コーディネーター: 奥谷 泉(JPNIC)
14:55~15:25 基調講演1:"グローバル"インターネットを考える ~インターネットの殿堂入りに寄せて~
講演者: 後藤 滋樹(早稲田大学/JPNIC)
15:30~17:30 パネルディスカッション: 今そこにある「グローバル」インターネット 私たちは繋がっている
モデレータ: 金子 康行(株式会社グローバルネットコア/JANOG)
パネリスト: クロサカタツヤ(株式会社企/慶應義塾大学)、津田 大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)、土屋 大洋(慶應義塾大学)、宮川 晋(NTTコミュニケーションズ株式会社)、前村 昌紀(JPNIC/ICANN)
対象者
  • Internet Weekに参加したすべての方
  • インターネットの基盤技術の動向に興味のある方 (ネットワーク技術者、ISP事業者、サーバ事業者、コンテンツ事業者、セキュリティ技術者、研究者、学術関係者、学生)