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IoTもおまかせ! サーバーレスで変わるインフラとの関わり方 ~IW2017 注目セッション紹介(3)~

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Internet Weekのセッション紹介です。担当は本イベントの実行委員を務めている法林浩之(日本UNIXユーザ会)です。

今回ご紹介するのは、2017年11月29日(水)に行われる2.5時間プログラム「IoTもおまかせ! サーバーレスで変わるインフラとの関わり方」です。このプログラムを企画した細木正司氏(仮想化インフラストラクチャ・オペレーターズグループ(VIOPS))に話をうかがいました。


法林: 細木さんは最新技術分野の担当ということで毎年プログラムを企画してもらってますが、今年はサーバーレスですか。この単語は最近いろんなところで目にしていて、つまりそれはホットな話題であることの証拠だと思いますが、IWの参加者層全員がサーバーレスの概念を理解できているわけではなさそうな気がします。というわけで、まずサーバーレスアーキテクチャについて簡単に説明をお願いできますか?

細木: はい。サーバーレスは、IaaS (Infrastructure as a Service)の仮想サーバーを常時起動させて処理を実施させるのではなく、個々の処理が関数という形でオンデマンドに実行され、そこで必要なときだけ必要な数のサーバー(コンテナ)が起動するというものです。大手のクラウド事業者で、サービスとして提供されています。

法林: なるほど。確かに新しいアーキテクチャという感じがしますが、従来のアーキテクチャに対するメリットとしてはどんなところが挙げられますか?

細木: 仮想サーバーを稼働させておく必要がないので、構築や監視、システムイメージのバックアップ、セキュリティパッチの適用といった管理をする必要がなくなります。また、処理する量の大小に応じて自動的にスケールするため、システムを設計するときに拡張性を考慮することもありません。必要な時だけ処理させればよいので、コスト的なメリットもあります。

法林: そのあたりを聞くと、IWのプログラムとして企画したい気がしますね。

細木: そうですね。今年に入って、サーバーレスアーキテクチャを採用したアプリケーションの構築事例が増えてきており、クラウド関連のホットなトピックとして注目を集めています。そういうこともあって、サーバーレスアーキテクチャの特徴を知っていただきながら、具体的に活用する際の勘所を学んでいただければと考え、このプログラムを企画しました。

法林: ありがとうございます。しかし、サーバーレスを題材とするセッションは、他のカンファレンスでもときとき見かけます。そんな中、Internet Weekならではという点で考えた部分はありますか? 私から見ると、サーバーレスのセッションに石田慶樹さんが登壇するあたりがIWっぽい感じがするんですが。

細木: そうですね。単にサーバーレスアーキテクチャの概要や事例をお伝えするだけではなく、エンジニアがこれをどのようにとらえ、関わっていけばよいのか、そして今後の開発環境はどのようなものになっていくのか、そのあたりの展望を含めて話していただきます。

法林: ところで、今回のIWのテーマは「向き合おう、”グローバル”インターネット」ですが、それとの関わりはどんなところにありますか?

細木: サーバーレスアーキテクチャは、グローバルな事業者のプラットフォームを利用することが一般的です。利用するにあたっては、サービスが停止した時にどうするのか、データはどこに置くのか、といったリスクを分析して利用していく必要があります。そういった問題を提起しながら、考え方を整理していきます。

法林: ありがとうございます。そして、サーバーレスについて常々疑問に思っているのが、サーバーレスの考え方が普及すると、今後はサーバが不要になり、そしてサーバ管理者もリストラされてしまうのでは、という点です。実際に今後の展開としてそうなるんですか?

細木: サーバーレスと聞くと、これまでサーバーを運用していた人は仕事がなくなるのではないかと思ってしまう、という声はときどき聞かれます。現状はすべての用途に適しているわけではなく、Webアプリケーションとか、定期実行やWeb監視といった運用の分野で主に活用されています。つまり適用分野が限られているので、すぐにサーバーがなくなるわけではありません。しかし、これからサーバーレスの適用範囲は広がっていくでしょう。そういった将来を見据え、これからのエンジニアとして必要となるスキルセットについても触れていきます。

法林: いわゆるサーバーエンジニアの皆さんにも、転換期が来ているような気がしますね。では最後に、参加者の皆さんへのメッセージをお願いします。

細木: サーバーレスアーキテクチャの導入を検討している方には、ぜひ聞いていただきたいプログラムです。概要から導入事例、注意すべき点まで、導入の検討材料としてすぐに役立つ内容となっています。そして、サーバーレスアーキテクチャは、IoT (Internet of Things)でよく用いられています。11月29日は、1日を通して、IoT関連のプログラムをご用意しています。「まるわかりIoT講座」と「転ばぬ先のIoTセキュリティ」を併せて聴いていただければ、押さえておきたいIoTのトレンドと実践について持ち帰っていただけると思います。

法林: ありがとうございました。IWの参加者層にサーバーレスがどのように映るのか、注目したいと思います。


S7 IoTもおまかせ! サーバーレスで変わるインフラとの関わり方

日時 2017年11月29日(水) 09:30 ~ 12:00
場所 2Fホール
参加料金 事前 5,500円、当日 8,000円
URL https://www.nic.ad.jp/iw2017/program/s07/
概要 サーバーレスアーキテクチャとはなんなのかといった基礎から、具体的に活用する際の勘所を学びます。開発者、インフラエンジニアの視点からの効果的なつきあい方を学びます。また、これらのプラットフォームを提供するグローバルプラットフォーマーとの関わり方についても論点を整理します。
内容
09:30~10:10 サーバーレスアーキテクチャ概論
講演者: 仲山 昌宏(株式会社WHERE)
10:10~10:50 改めて考えるWeb API
講演者: 吉田 雄哉(吉田パクえ:パブリッククラウドえばんじぇりすと)(日本マイクロソフト株式会社)
11:05~11:45 サーバーレスアーキテクチャ・ケーススタディ
講演者: 松村 優大(株式会社オルターブース)
11:45~12:00 サーバーレスアーキテクチャで考えておかなければいけないこと
講演者: 石田 慶樹(日本ネットワークイネイブラー株式会社)
対象者
  • サーバーレスアーキテクチャに興味がある方
  • 開発者、インフラエンジニア、仮想化技術・クラウド基盤技術に興味がある方

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