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米国NTIAからのIANA機能の監督権限移管に向けた提案への意見募集 ~グローバルインターネットコミュニティへの呼びかけ~

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インターネット推進部の奥谷です。この記事では、インターネットの重要資源を管理するIANA機能の監督に関わる体制がこれまでと大きく変わろうとしていますので、お伝えします。

IANA機能は現在、米国政府の部署である商務省電気通信情報局(NTIA)が監督を行っていますが、これを民間主導の体制に移管する提案が2015年7月31日に発表されました。
全世界のインターネットコミュニティを対象に2015年9月9日08:59(日本時間)まで意見募集(IANA機能の監督権限移管に向けた統合提案への意見募集のご案内)が行われています。

ここで簡単におさらいをすると、IANAとは「プロトコルパラメータ」、「番号資源(IPアドレス及びAS番号)」、「ドメイン名(ルートゾーンの情報更新含む)」の三つの重要資源の管理を担っている機能です(以下の図のPDF版は、こちらをご覧ください)。

IANA機能は、現在米国の非営利団体であるICANNが運営していますが、歴史的な経緯から米国商務省電気通信情報局(NTIA)が、IANA契約に基づき、その運用を委託するかたちで監督権限を保持しています。

  • IANA機能の運用者をNTIAが公募し、選定する仕組みをとっている。現在はNTIAが米国の非営利法人であるICANNに対して、IANA契約基づきIANA機能の運用を委託
  • 事務的な役割に徹しているとされているが、NTIAはルートゾーンに関する情報更新(追加、削除、情報変更)の内容を承認する役割を担っている。

今回意見募集が行われている提案は、NTIAが昨年2014年3月にIANA機能の監督権限を移管する声明を発表したことで「NTIAに代わる体制の提案を、世界的に幅広い関係者の支持に基づき策定する」というNTIAからグローバルインターネットコミュニティに与えられた課題に対応するものです。

NTIAに対する意見提出に責任を持つIANA stewardship transition Coordination Group (ICG)の調整のもと、三資源のコミュニティによって策定されたのがこの提案ですが、IANA機能の管理する3つの資源に対して、各資源ごとの機能に直接関わる立場の組織が、各資源の機能をそれぞれ監督するかたちを取っています。

移管に伴う影響

ではこの移管によって実質的になにが変わるのかというと、日々のインターネットの運用において影響はありません。

一方、インターネットは米国から始まったという歴史はありながら、今は世界中で利用され、特定の体制に属さない自律、分散、協調、そして利用者中心のボトムアップの精神に支えられて今日まで発展してきました。「これまで歴史的な経緯から米国政府による監督という体制がとられてきたIANA機能が、インターネットの精神に従った体制になるという点で、今回の移管は、大きな意味を持っている」というのがこのプロセスに積極的に関わっている多くの人の認識です。

また、NTIAは 政府主導あるいは政府間組織による構成である場合は 提案を受け入れないとし、インターネットコミュニティの幅広い支持があることを条件に挙げています。提案を支持することは、政府中心ではなくコミュニティベースに検討を進める姿勢を支持するという象徴的な意味合いも、実質的な影響よりもむしろ大きな要素です。

現在、世界的なインターネットコミュニティに対して提案への意思表明が呼びかけられており、特段の懸念がなかったとしても、多くのコミュニティメンバーから提案への支持が表明されれることは、NTIAや米国議会での承認を後押しすることになります。

私自身、三つのIANA機能のうち、番号資源に関わる提案をとりまとめたCRISP TeamのChairを務めている立場からも、この提案提出に向けた最後の意見募集の段階において、北米、そして欧州以外地域のインターネットに関わっている方々の声も表明してしていければと感じています。

意思表明に参加してみませんか

そうは言いながらもIANA自体、皆さんにとって縁遠い存在かもしれませんし、当然、意義は理解できたけれど単独で意見提出をすることは難しいと感じる方も、少なくないだろうと思います。これについては、日本インターネットガバナンス会議(IGCJ)のプラットフォームを通して意見表明に関わることが可能です。

IGCJでは、現在この提案の支持に向けて提出意見を作成し、広く賛同者を募る活動を進めています。
提案の検討に必要なIANA機能を取り巻く体制と提案の要点の解説の提供など、もちろんJPNICからも協力したいと考えています。
ご興味のある方は、IGCJのメーリングリストに流れる案内をお見逃しなく。まだお入りでない方はこちらから登録可能です。

この機会にインターネットコミュニティの一員として、インターネットの重要資源に関する提案へ意見表明にかかわってみませんか。

参考情報