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「IPv6対応状況に関するアンケート」2017結果報告

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JPNICがこの数年、毎年継続的に実施しているIPv6対応状況に関するアンケートを、今年も2017年5月16日から6月19日の約1ヶ月間実施いたしました。今回は、このアンケートの結果について報告します。本来であれば2016年度中に実施する予定で計画しておりましたが、今回は事情により2017年度に入ってからの実施となっています。

本アンケートは2014年度より、「IPv4アドレス在庫枯渇後の日本の事業者およびユーザー組織におけるIPv6の対応状況または利用状況について、定期的に調査を行い、その進捗状況を観測する。」ということを目的にして開始しました。対象は、IPアドレス管理指定事業者(IP指定事業者)、プロバイダー非依存(PI)アドレス割り当て先組織、それにJPNIC会員です。

今回は、198件のIPアドレス管理指定事業者とPIアドレス割当先組織から回答を得ることができました。

1. 回答者プロフィール

回答者が、IP指定事業者かそれ以外を聞いています。前回、前々回と比較するとIP指定事業者の回答割合が大きく増加しているのが見て取れます。

地域分布はやはり東京が圧倒的に多く全体の1/3以上を占めており、愛知、大阪がそれに続いています。都道府県別だと細かくなりすぎるため、地域別にまとめたグラフにしていますが、それでも上記の傾向が掴めると思います。

IP指定事業者のサービスは、前回大きく減少した一般ISPの割合が少し戻り、それと併せて、ISPが同時に提供しているケースが多いホスティングやデータセンターといった割合も同様に増加しました。CATVは前回同様高い割合を示しています。

一方、IP指定事業者以外の組織種別はそれほど大きな変動がなく、6割程度が学校、研究機関で、一般企業が3割程度という結果となっています。

2. IPv6対応/利用状況

IP指定事業者のIPv6対応状況は、前回と比較すると若干対応割合が増えている状況です。前回、前々回と比較して異なるのは、「対応予定なし」という回答が大きく減少しているところです。IPv6対応に対する意識変化の表れではないかと推測します。

サービス種別ごとに見るとCATVインターネットが、母数の多さが影響しているのか、対応割合が低くなっています。

IP指定事業者で「対応予定なし」と回答した方にその理由を記述してもらったところ、予算や費用上の問題を挙げた回答が目立ちました。その他は、技術や機器に関する課題や、アドレス不足に直面していない、といった事情が理由として挙がっていました。

IP指定事業者以外についても、前回よりは利用割合が上昇しています。組織種別で見ると、学校、研究機関の利用がもっとも進んでいます。IPv4はJPNICからPIアドレスの割り当てを受けているが、IPv6は学術情報ネットワークSINETからの割り当てを受けてネットワークを運用しているケースが多いのではないかと思われます。

また、今回はIP指定事業者の対応状況およびIP指定事業者以外の組織の利用状況について、東京とそれ以外の地域においてどの程度の差があるのかを分析してみました。

IP指定事業者では、やはり東京の組織の対応率が高く、東京以外とは差が出ている結果となりました。しかし、IP指定事業者以外の組織においては、東京とそれ以外の地域格差がIP指定事業者ほど大きくないようです。

今回新たにIPv6対応を行っているIP指定事業者に対して、IPv6アドレスの逆引き登録を行っているかを聞いてみたところ、IPv6対応している組織のうち7割程度が、大部分あるいは一部のみの登録を行っていると回答しています。

昨今の国内外で進展しているIPv6に関する動向をどの程度知っているかを聞いてみたところ、YouTubeやFacebookなどのサービスが既にIPv6対応を完了していることは、7割ほどの方がご存知でした。また携帯キャリアの対応予定についても、半数程度が認知しているようです。一方、インドの対応率が急上昇しているといったような、国外の状況に関する認知度はそれほど高くないようです。

最近のIPv6関連動向 N=197
NTT東日本、NTT西日本が提供するフレッツ光ネクストのIPv6契約割合が30%以上となっている 74(37.6%)
SoftBank、NTT docomo、KDDIが今後発売するスマートフォンでIPv6が標準で利用できるようになる 100(50.8%)
YoutubeをはじめとするGoogle提供のサービスや、Facebook、Wikipediaといったメジャーなサービスで既にIPv6接続で利用できるようになっている 138(70.1%)
アジア太平洋地域における国別IPv6普及割合で、インドが日本を抜いて最もIPv6対応が進んでいる 27(13.7%)
AppleのAppStore登録審査においてIPv6対応が要求され、対応していない場合は掲載拒否される可能性がある 61(31.0%)
無回答 27(13.7%)

3. その他

毎回、JPNICが行っているセミナーや情報提供に関する質問を行っていますが、回答にはそれほど大きな変動はありませんでした。

セミナープログラムの希望としては、地方開催や開催頻度の向上を求めるものや、導入・運用のほか、トラブルなどの各種事例の紹介を希望する意見も目立ちました。情報提供に関する希望もおおよそ同様でした。

4. まとめ

今回で3回目となるアンケート調査でしたが、定点観測という意味合いでは、なんとなく傾向がつかめてきたようにも思われます。IPv6対応、利用の状況も、前々回から前回までの結果を受けて、一旦後退したように見えました、今回の結果を見ると、少しずつ進展している状況がうかがえます。引き続き、普及促進、啓発のための活動を進めていく中で、こういった調査結果を広報しながら、IPv6が着実に進展している状況を知ってもらう必要があると思いました。

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