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APNIC 44でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案ご紹介

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2017年9月12日(火)~14日(木)の日程で、台湾・台中においてAPNIC 44カンファレンスが開催されます。

APNIC 44 Webサイト:https://conference.apnic.net/44

IPアドレス・AS番号の分配ポリシーに関する議論は、ポリシーSIG (Special Interest Group)でのメーリングリスト上で議論が行われています。1年に2回開催されるAPNICカンファレンスでは、多くの関係者が顔を合わせての議論を行います。

今回のポリシーSIGでは、ポリシーの変更提案6点の議論が予定されています。提案の詳細は、提案のタイトルに張られたリンクから確認することができますので、ぜひ一度ご覧ください。

■prop-116 「Prohibit to transfer IPv4 addresses in the final /8 block
(「APNICにおける最後の/8相当のIPv4未割り振り在庫」の移転禁止提案)

この提案は、コロンボで開催されたAPNIC 42カンファレンスおよび、ホーチミンシティ開催されたAPNIC 43カンファレンスで議論が行われました。いずれもコンセンサスに至らず継続議論となっており、今回改めて議論が行われるものです。

現在APNIC地域では、1組織あたり「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」から/22(1,024アドレス)「IANAから再割り振りされたIPv4返却在庫」から/22(1,024アドレス)の、合計/21(2,048アドレス)の割り振りが行われています。特に「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」から/22の割り振りは、これから新規参入する組織に対して必要最小限の割り振りを行うことを目的として考えられています。

一つの組織が、複数の/22を他の組織から受け取るような、本来の目的とは異なるアドレスの分配を防ぐことを目的として、今回提案が行われているようです。具体的には、以下の内容をポリシーに追加する提案です。

  • 割り振り・割り当て後2年間を経過しない「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」の移転を禁止する。
  • 上記在庫から割り振りを受けたIPv4アドレスの割り振り・割り当て後、2年間が経過し、このIPv4アドレスが不要となった場合には、割り振り・割り当てを受けた組織はAPNICに返却する。
  • この内容は、IPv4アドレス移転およびM&A(事業移管や吸収合併など、その事実を書面などで客観的に確認できるケース)による移管の、双方のケースに適用される。

(APNIC 43カンファレンスでの提案内容からの変更点)

  • 通常の移転、M&Aによる移管を問わず、「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」の移転を禁止することに変更されています。
  • M&Aの結果「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」から/22を超える割り振り・割り当てを受けることとなる場合、技術的な事情があるケースを除き、/22を超えるアドレスをAPNICに返却することとした内容が削除されています。

■prop-118「No need policy in APNIC region
(APNIC地域のIPv4アドレス移転時における要件緩和についての提案)

この提案は、IPv4アドレス移転における手続きを簡素化するものです。APNIC 43カンファレンスで議論が行われましたが、コンセンサスに至らず継続議論となり、今回改めて議論が行われるものです。

現在APNICでは、APNIC契約組織間の移転かどうか、ARINやJPNICなどのAPNIC以外のレジストリ契約組織からAPNIC契約組織への移転かどうかに関わらず、IPv4アドレスの移転を受ける組織(移転先組織)は、今後2年間の需要を元にしたIPv4アドレス利用計画を、APNICへ提出し承認を受ける必要があります。

北米地域を管轄するレジストリであるARINが、移転先組織にIPv4アドレス利用計画の提出を義務付けるポリシーを実装しているレジストリとのみIPv4アドレス移転を許可していることから、現在のポリシーが制定されました。

ヨーロッパ地域を管轄するレジストリであるRIPE NCCでは、APNICと同様に、移転先組織にIPv4アドレス利用計画の提出を義務付けるポリシーとなっています。今回APNICでは、RIPE NCCの基準に合わせるよう、次の点について、ポリシーを変更する提案となっています。

  • APNIC契約組織間のIPv4アドレス移転は、利用計画の提出なしにすべて受け入れる。
  • 移転先組織に利用計画の提出を義務付けている地域からのIPv4アドレス移転は、移転後5年以内に移転を受けたアドレスの50%を利用する計画を示すこととする。

(APNIC 43カンファレンスでの提案内容からの変更点)

  • 変更点はありません

■prop-119「Temporary transfers
(終了時期を定めたIPv4アドレスの一時的な移転提案)

この提案は、一時的なIPv4アドレス移転を行うことを可能とするものです。

現在APNIC地域では、一時的なIPv4アドレスの移転は認められていません。そのようなこと実現する場合には、移転先組織へ一旦IPv4アドレスを移転した後に、再度移転元組織への移転申請を行う必要があります。

この提案では、以下の内容をポリシーに追加し、上記のケースのような再度の移転申請を不要としています。

  • 一時的なIPv4アドレス移転を希望する場合には、移転終了日を設定する。
  • 移転終了日の延長について移転元および移転先組織の合意がない限りは、移転終了日をもって、対象のIPv4アドレスの分配先は移転元組織に戻る。
  • 移転終了日時点において移転元組織が合併や買収されていた場合には、その後継となる組織に戻すこととする。
  • 移転元組織のアカウントおよび後継となる組織が存在しない場合、対象のIPv4アドレスは管理元のRIRプールに戻すこととし、さらなる移転はできない。

■prop-120「Final /8 pool exhaustion plan
(「APNICにおける最後の/8相当のIPv4未割り振り在庫」枯渇後の分配方法についての提案)

この提案は、APNIC 43カンファレンスで議論が行われた「prop-117「Returned IPv4 address management and Final /8 exhaustion」」について、議論の結果、コンセンサスに至らず継続議論となった部分を抜き出して、改めて別の提案としたものです。

APNIC地域における「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」の枯渇後の運用方法を、次のように定めるものです。

  • 「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」からの割り振り・割り当てを行うことができなくなった場合、この在庫からの割り振り・割り当てを終了とする。
  • この在庫からの割り振り・割り当て終了後は、「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」と「IANAから再割り振りされたIPv4返却在庫」を一つにまとめる。
  • 一つにまとめられた「IANAから再割り振りされたIPv4返却在庫」から、1組織あたり/21の割り振り・割り当てを行う。
  • プールが一つにまとめられる以前に/21まで分配を受けていない組織は、「IANAから再割り振りされたIPv4返却在庫」から/21になるまで割り振り・割り当てを受けることを可能とする。
  • 「IANAから再割り振りされたIPv4返却在庫」から割り振り・割り当てを行うことができない場合、待機者リストを作成し、そのリストに基づき割り振り・割り当てを行う。新規契約者は優先的にリストに登録される。

(APNIC 43カンファレンスでの提案内容からの変更点)

  • 「IANAから再割り振りされたIPv4返却在庫」から割り振り・割り当てを行うことができない場合に作成される待機者リストには、新規契約者が優先的に登録される、とした点が追加されました。

■prop-121「Updating “Initial IPv6 allocation” policy
(IPv6アドレス初期割り振り基準の変更提案)

この提案は、APNIC地域におけるIPv6アドレスの初期割り振り基準を変更するものです。

現在有効なIPv6アドレスの初期割り振り基準から、以下のc.の赤字部分を追加するよう変更し、d.を削除する提案です。

(変更後の内容)

  1. APNICのLIRであること
  2. エンドサイトでないこと
  3. 2年以内に他の割り当て先組織やエンドユーザーに対し、IPv6の接続性を提供する計画があること
  4. 次の二つの基準のうち一つを満たすこと
    – 2年以内に最低でも200の割り当てを行う計画があること
    – APNICまたはNIRからIPv4アドレスの割り振りを受けている既存のLIRであり、割り振りを受けたIPv6アドレスを他の組織へ割り当てまたは再割り振りを行い、2年以内に当該アドレス空間をインタードメインルーティングシステムで広告すること

最小割り振りサイズである/32よりも多くのIPv6アドレスの割り振りを希望する申請では、ユーザー数、インフラストラクチャの構造、組織の階層や地理的構造、セキュリティのためのセグメンテーション、長期的な割り当て計画などを考慮に入れて割り振りサイズを決定する、という内容が併せて追加されます。

■prop-122「Updating “Subsequent IPv6 allocation” policy
(IPv6アドレス追加割り振り基準の変更提案)

この提案は、APNIC地域におけるIPv6アドレスの追加割り振り基準を変更するものです。

IPv6アドレスの追加割り振りでは、ポリシーに定められた基準を満たした場合には審議不要で、IPv6アドレスのサイズが2倍になるよう割り振りが行われます。そのサイズを超えるIPv6アドレスの割り振りを希望する場合には、申請から2年間の需要を元に割り振りサイズが決定されます。

今回の提案では、割り振りサイズの検討が必要な場合に、2年間の需要ではなく、ユーザー数、インフラストラクチャの構造、組織の階層や地理的構造、セキュリティのためのセグメンテーションや長期的な割り当て計画などを考慮に入れて決定する、という内容に変更するものです。


APRICOT 2017 - Day 3

(写真はAPNICのflickrサイトより)

写真はAPNIC 43カンファレンスでの様子です。今回はどんな雰囲気で議論が進むのでしょうか。ポリシー提案に興味のある方や、提案について意見のある方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

残念ながら現地での議論には参加できない場合には、リモート参加も可能です。リモート参加の方法は、APNIC 44カンファレンスのページをご確認ください。

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