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APNIC 44 ライトニングトークレポート

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2017年9月7日(木)~14日(木)に、台湾・台中でAPNIC 44カンファレンスが開催されました。今回のライトニングトークは、日本人の登壇セッションが複数あり、JANOG (JApan Network Operators’ Group)でも発表のあった事例が紹介されるなど興味深い点がありましたので、本記事でご報告したいと思います。

ライトニングトークは、9月13日(水)の14:00-15:30に開催されました。このブログ記事では、ライトニングトークの内容のうち三つをご紹介します。

Schedule|APNIC 44
https://conference.apnic.net/44/program/schedule/#/day/7

■Chat and operation with operators in foreign country/region
(海外の国/地域のオペレーターとのチャットと運用について)
日本インターネットエクスチェンジ株式会社 / 馬渡 将隆氏

ネットワーク運用作業において、顧客となる運用者が海外にいると、チャットでコミュニケーションを取ることが多い実状が紹介されていました。先方が オフィス外での作業となり、電話ができない状況もあるそうです。どのチャットツールを使うかは、顧客の要望と合わせて調整されるそうですが、SkypeやGooleハングアウト、Cisco WebEx、HipChatなど、さまざまなものが利用されています。インターネットエクスチェンジでの作業は、Peering DBを参照することが多いのですが、Peering DB自体にチャット機能が実装され、作業時に連携できるようになれば、より有用ではないかという見解が示されました。

■What is show tech? -JANOG Case Study-
(show tech とは何か? -JANOGのケーススタディ-)
アリスタネットワークスジャパン合同会社 / 土屋 師子生氏

“show tech” とは、ネットワーク機器の各種ログを1回のコマンドラインで取得できるもので、トラブルシューティングの情報収集などに使われます。機器の調査の際に、ベンダー(メーカー)のサポートに提供することが多い情報です。

この発表の経緯は、2008年にさかのぼります。当時開催されたJANOG22の際に、メディアエクスチェンジ株式会社(現株式会社シーイーシー)の三ツ木絹子氏による、「show techってナニモノ?」というタイトルの発表がありました。

JANOG22ミーティング: show techってナニモノ?公開資料
https://www.janog.gr.jp/meeting/janog22/program/day2/day2-4.html

その発表では、show techの取得に際して、有用ではあるもののCPUの負荷が高くなるなどの副作用があり、トラブルが回復した後に、負荷をかけて取得する意義など、ベンダーとユーザーを交えた議論がありました。ユーザーからは、CPUの負荷をなるべく減らす方向での改善要望が、ベンダーに対してありました。

今年2017年のJANOG40で、再び三ツ木氏が同じテーマで登壇しました。

JANOG40ミーティング: show techはコワクナイ公開資料
https://www.janog.gr.jp/meeting/janog40/program/shte

その後の状況としては、show techを取得する際に機器の負荷を減らすようアーキテクチャの改善がされていることや、トラブルの発生前にも所定のタイミングでログを取得しやすくなったりしていることなど、改善されていることが報告されました。

本APNIC 44のライトニングトークとしては、日本の運用コミュニティにおいて、ユーザーとベンダーがコミュニケーションを取って改善がされた事例として、紹介がされていました。

■APNIC 44 Conference Network
(APNIC44会場ネットワーク)
APNIC / Shaqayeq Saleh氏

APNICカンファレンスでは開催の度に、来場者用に会場ネットワークが提供されています。この発表では、今回のネットワークをどのように構築したのか紹介がありました。

APNICカンファレンス用に使われるネットワークとして、所定のAS番号とIPv4/IPv6アドレスが用意されており、今回もそれが使われたとのことでした。機器の配備としては、会場ホテルのサーバー室にルータを設置し、台湾の通信事業者である中華電信の回線経由で、インターネットと接続を実現しました。ルータ配下にはスイッチと、無線LANコントローラ経由で無線アクセスポイントを設置し、Syslog/SNMP/Netflowによる監視をしていたそうです。クライアントの同時接続数は341、帯域は100M程度に達したときがあったのことです。会場からは、会場ネットワークの安定を確保するためのセキュリティ方策についての質問や、IPv6専用のネットワークを作ることの提案などのコメントがありました。

今回の会場ネットワークは総じて安定しており、皆様の発表を聴きながら無事にカンファレンスを終えることができました。

ライトニングトークの登壇者


次回のAPNIC 45カンファレンスは、APRICOT 2018およびSANOG 31カンファレンスと共催となり、2018年2月19日(月)~28日(水)の日程で、ネパール・カトマンズでの開催が予定されています。

APNIC 46カンファレンスはニューカレドニア・ヌーメアで、2018年9月6日(木)~13日(木)の日程での開催が予定されています。2019年春に開催予定のAPRICOT 2019/APNIC 47カンファレンスは韓国・大田広域市で、APNIC 48カンファレンスはタイ・チェンマイでの開催が予定されている旨も、併せて発表されています。

APNICカンファレンスは、どなたでも自由に参加することが可能です。興味を持たれた方は、一度参加してみてはいかがでしょうか。

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