VNIX-NOG 2018 レポート
ip_team IPアドレス 他組織のイベント2018年8月24日(金)に、ベトナム・ダナンのPullman Danang Beach Resortにおいて、「VNIX-NOG 2018カンファレンス」が開催されました。
VNIX Network Operators Group Conference(VNIX-NOG)は、ベトナムの国別インターネットレジストリ(NIR; National Internet Registry)であるVNNIC(The Vietnam Internet Network Information Center)が主催するカンファレンスです。
2016年より毎年1回開催され、今回で3回目の開催になります。VNNICでは、インターネットエクスチェンジポイントであるVNIX(Vietnam National Internet eXchange)を運用しており、今回のカンファレンスの参加者全員が、VNIXの加入組織のいずれかに所属しているとのことでした。
ネットワーク運用者が集まるミーティングとして日本ではJANOG (JApan Network Operators’ Group)がありますが、このカンファレンスは、JANOGのベトナム版と考えればイメージしやすいかもしれません。ベトナムにおけるネットワーク運用者の技術向上や、国内外の最新の情報のキャッチアップを目的として、様々な分野の話題が取り上げられているようです。
今年は、「ルーティングセキュリティ」について取り上げるということで、JPNICから日本でのRPKI普及の状況を紹介しました。アジア太平洋地域を管轄する地域インターネットレジストリ(RIR; Regional Internet Registry)であるAPNICのほか、ISOCからも発表がありました。
(VNNICのFacebookページより)VNNICのNguyen Hong Thang氏から記念品をいただきました。
日本からは、藤村 丞さん(福岡大学情報基盤センター)も今回のカンファレンスに参加し、所属する福岡大学が提供するNTP(Network Time Protocol)サーバの運用と課題について発表が行われ、参加者は藤村さんの話に真剣に耳を傾けていました。
ベトナム国内企業による運用経験を共有するための発表はもちろんのこと、フェイスブックやクラウドフレアといった、運用者が特に関心を寄せるサービスを提供する企業から技術者が招待されていました。これらの企業が把握している最新動向を紹介するセッションは特に関心が高かったようでした。フェイスブックからは、アジア地域にフェイスブックのプログラムやデータのキャッシュサーバを置くことで、サービスにアクセスする際のレスポンスが改善することを中心に説明されていました。クラウドフレアからは、APNICと共同でサービスを提供している、1.1.1.1のIPアドレスを利用したパブリックDNSサーバの話題や、インターネットからこのDNSサーバのある1.1.1.0/24へのアクセス状況が紹介されていました。
フェイスブックやクラウドフレアの技術者には、カンファレンス終了後の懇親会の時間になっても、参加者からの質問攻めにあっていたようです。このような機会が、技術者同士の関係構築に役立っているのは、日本と変わりないようです。
その他には、ベトナムにおけるCGNの導入事例、広域イーサネット、IoTといった、日本でもよく聞くキーワードに関する発表が行われており、一日があっという間に過ぎてしまうようなプログラム構成となっていました。プログラムや発表資料は、VNIX-NOG 2018カンファレンスのWebページに公開されています。英語となりますが、一度目を通してみてはいかがでしょうか。
カンファレンスのプログラムが終了すると、最後は参加者全員で集合写真です。参加者は100人程度でしたので、全員を写真に収めようとするのも大変ですね。ちなみに、参加者には事前にポロシャツが配布されますので、それを着て一日過ごすと、自分もVNIXのメンバーになったように思えてきました。
(VNNICのFacebookページより)参加者全員での集合写真
今回は、ベトナムのインターネットコミュニティに日本の状況を共有する貴重な機会となりました。このような機会を通じて、各地域のインターネットの発展に今後も貢献していければと考えています。