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APNIC 48でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案ご紹介

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2019年9月10日(火)~12日(木)の日程で、タイ・チェンマイにおいてAPNIC 48カンファレンスが開催されます。

APNIC 48 Webサイト

APNICでは、IPアドレス・AS番号の分配ポリシーに関する議論を、ポリシーSIG (Special Interest Group)で行うこととしています。議論は主にポリシーSIGのメーリングリストで行われていますが、1年に2回開催されるAPNICカンファレンスにおいて、オープンポリシーミーティングという名称でオフラインでの議論の場を設けることとしています。多くの関係者がここに集まり、顔を合わせての議論を行います。

今回のポリシーSIGでは、以下に記載した、ポリシーの変更提案5点の議論が予定されています。

  1. prop-124 : Clarification on Sub-Assignments(再割り当ての定義の明確化)
  2. prop-126 : PDP Update(APNICにおけるポリシー策定プロセスの修正)
  3. prop-130 : Modification of transfer policies(移管ポリシーの修正)
  4. prop-131 : Editorial changes in IPv6 Policy(IPv6ポリシーの編集上の変更)
  5. prop-132 : AS0 for Bogons(bogon経路のためのROA作成)

今回は、これらの提案を簡単にご紹介したいと思います。詳細について確認をされたい方は、提案のタイトルに張られたリンクからご覧ください。

 

■prop-124「Clarification on Sub-Assignments
(再割り当ての定義の明確化)

この提案は、IPアドレスの再割り当てのケースを明確化するための提案です。

「割り当てられたIPアドレスは、割り当てを受けた組織のみが利用し、更なる割り当て(再割り当て)を行うことはできない」とする内容を追加するものです。

RFC8273(Unique IPv6 Prefix per Host)が2017年12月に発行されましたが、提案者は、このRFC8273に準拠したIPv6アドレスの利用方法が、ポリシー文書に反映されるべきであるとの考えのもと、複数回のAPNICカンファレンスにおいて議論を進めてきています。

これまでの議論では、提案者の考えるようにポリシーが整備されていないことで、IPアドレスの割り当て先組織が何か困った事態に陥っているのかどうかなど、ポリシー文書改定の意義について問う場面が多くありました。この点については、提案者は何も触れていないことから、これまでと同様の議論の流れになる可能性があります。

 

■prop-126「PDP Update
(APNICにおけるポリシー策定プロセスの修正)

APNICでは、他のIPアドレス管理組織(レジストリ)と同様に、IPアドレス・AS番号の分配ルールを定めたポリシーの策定プロセスを、PDP (Policy Development Process)としてまとめています。PDPでは、ポリシー提案の提出から実装までが一連の流れとしてわかるようになっています。

今回の提案では、このAPNICのPDPを以下の内容へと変更することを目的としたものです。

  • ポリシー提案は、APNICミーティング開催の4週間前までAPNIC事務局に提出する必要があります。(現状と変更なし)
  • ポリシー提案の内容をポリシー文書に反映するためには、参加者からの賛成(コンセンサス)が必要です。APNICのPDPでは、APNICミーティング中でのSIGセッションおよびAPNIC総会(AMM)の双方においてコンセンサスが必要と定めています。SIGセッションおよびAMMでのコンセンサスが必要としていた部分を、提案提出直後からSIGセッションまでの間のSIGメーリングリストでの議論のほか、SIGセッションでの議論内容、電子的な方法での参加者への確認および、AMMでの議論をもとに、SIGチェアがコンセンサスかどうかを判断する、に変更します。(赤字部分の変更)
  • コンセンサスとならなかった提案については、議論が反映された新たな内容に6ヶ月以内に更新されなければ、期限切れとなり、議論は中止されます。(今回新たに制定)
  • APNICミーティング中でのSIGセッションおよびAMMの双方においてコンセンサスとなった場合、引き続き、SIGメーリングリストでのコンセンサス確認を行うこととしています。このメーリングリスト上で行う手続きを「コンセンサスの確認」から「ラストコール」と呼ぶように変更します。(赤字部分の変更)
  • SIGチェアがPDPに沿った手続きを進めていないと判断できる場合には、APNIC EC(APNIC理事会)に対して異議申し立てを可能とする点を追加します。(今回新たに制定)

APNIC 47カンファレンスでの議論では、PDPを変更することは不要ではないかといったコメントが多く出されていました。提案者は現在のPDPをベースにして、より多くの人がプロセスに参加できるような内容に変更したいと考えているようです。

APNICのPDPの変更は、JPNICにおけるPDPである「JPNICにおけるポリシー策定プロセス」にも影響をおよぼすことから、議論の動向を注視しています。

 

■prop-130「Modification of transfer policies
(移管ポリシーの修正)

IPアドレス・AS番号のポリシーでは、組織の合併、買収および継承の際の対応についても定められています。

この提案では、「組織の合併、買収および継承」に限定していた内容を、「組織全体あるいは一部分のの合併、買収、継承、組織の再編成や移動」という内容に変更します。APNIC地域の組織間のみを対象するものではなく、該当の地域インターネットレジストリ(RIR; Regional Internet Registry)が認める場合には、APNIC地域の組織と該当のRIR管轄地域の組織間のケースも対象に含まれることが明記されます。

 

■prop-131「Editorial changes in IPv6 Policy
(IPv6ポリシーの編集上の変更)

ヨーロッパ地域でIPアドレス・AS番号の割り当てを管理するRIPE NCC (Reseaux IP Europeens Network Coordination Centre)では、「Best Current Operational Practice for Operators: IPv6 prefix assignment for end-users – persistent vs non-persistent, and what size to choose」が発行されています。APNICのポリシー文書において、この文書を参照することで、不要となる部分を削除し、文書を簡素化させることを目的とした提案です。

この変更により、エンドユーザへのIPv6アドレスの割り当てサイズの決定方法の内容が簡素化されることになります。

 

■prop-132「AS0 for Bogons
(bogonのためのROA作成)

bogon」とは、APNICやJPNICなどのレジストリから割り振り/割り当てが行われておらず、インターネット上で経路情報を広告可能なアドレスとして登録されていないアドレスブロックを指すものです。

この提案は、APNIC管理下で割り振り/割り当てが行われていないIPv4アドレスおよびIPv6アドレスについて、AS0のROAを登録するようAPNICに求めるものです。

割り振り/割り当てが行われていないIPアドレスについて、インターネット上で経路情報が不正に広告されることは望ましいことではありません。不正に広告された経路情報をフィルタリングして受け入れないようにする取り組みは、これまでも、IRRを参照するなどの方法を用いて行われてきています。

近年では、ROAを利用したRoute Origin Validationに注目が集まっていますが、AS0のROAが登録されてい場合、Route Origin Validationを導入済みの組織のネットワークでは、bogonに関する経路を破棄できるようになります。AS0のROAを利用したbogonのフィルタリング手法が普及することを、提案者は願っているのではないでしょうか。


2019年7月24日(水)~26日(金)にかけて、兵庫県・神戸市で開催されたJANOG44ミーティングにおいて、JPNICから「初めてのAPNIC Policy SIG」と題したライトニングトークを行いました。発表用に持ち込んだパソコンがうまく動作しないといったトラブルにも見舞われましたが、5分の持ち時間の中で、APNICでの議論の雰囲気を少しでもお伝えできたのではないかと考えています。当日の発表の模様は、2019年9月2日頃までは公開されているようですので、掲載されている資料とあわせてご覧ください。

ご興味を持たれた方は、ぜひAPNICカンファレンスに参加してみることをお勧めいたします。現地での議論には参加できなくても、リモート参加という手段がありますので、APNIC 48カンファレンスのページを覗いてみてください。

 

8月21日(水)には、JPNIC会議室で「APNIC 48に向けた意見交換ミーティング」が開催されます。JPOPF運営チームから今回議論予定の提案内容をご紹介するほか、参加者の皆様との意見交換を予定しています。皆様からのコメントは、運営チームにより取りまとめられ、APNICのSIGメーリングリストにて報告されます。日本語でコメントできる貴重な機会ですので、こちらもぜひ参加をご検討ください。