JPNIC Blog JPNIC

IGF 2020報告会レポート

dom_gov_team 
第2部の様子

2021年3月30日にJPNICと一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)が共催で、オンラインにて「IGF 2020報告会」を開催しました。本イベントは総務省にご後援いただきました。

プログラム

報告会のプログラムは次の通りでした。

  • 第1部:国内外でのデジタル化
        消費者庁消費者政策課 内藤 茂雄
  • 第2部:今後のIGFへの関わり方
        モデレーター JAIPA 立石 聡明
  • 第3部:IGF 2020報告    
    1. 全体概要
      JPNIC 山崎 信
    2. サイバーセキュリティに関するIGF 2020での話題紹介
      一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)
      小宮山 功一朗
    3. 日本政府としての成果
      総務省国際戦略局 飯田 陽一
    4. WS #71登壇結果およびIGF2023への提言
      中央大学総合政策学部 実積 寿也

プログラム内容の概要

第1部では、消費者庁の内藤氏より、2019年9月に徳島で開催されたG20消費者政策国際会合で議論された内容、オンラインモールなどの取引デジタルプラットホームを利用する消費者利益の保護を図るための新たな法案、ネット通販にかかわる特定商取引法の主な改正内容についてお話しいただきました。

第2部では、2023年のIGF日本開催に向けて、何をどう行っていくべきか、予定時間を超えた活発な議論が繰り広げられました。今回特に焦点になったのは、消費者や市民社会をどう巻き込んでいくべきかで、第1部の内藤氏の登壇も、この課題意識に基づくものでした。その他にも、日本として独自のテーマを打ち出しつつ日本からの参加を活発にするにはどうしたらよいか、地政学的問題、人権問題、SDGsと環境問題なども取り上げられることになるのではないか、IGF 2023のテーマはどこまで広げられるのか、国内のテーマを国際的な場に提示して違和感はないのか、実行委員会の役割はどこまでなのか、MAG(マルチステークホルダーアドバイザリーグループ、要はIGFのプログラム委員会)と日本側の実行委員会の役割分担は、などの点について議論が行われました。

第3部では、JPNICの山崎よりIGF 2020の参加状況や主なプログラム内容について報告しました。主な内容は、これまでもIGFは遠隔参加が可能となっていましたが、今回初めてオンラインのみとなったこと、メインテーマに初めて環境が加わったこと、などが挙げられます。

次にJPCERT/CCの小宮山氏より、米中デジタル冷戦に関するセッションをはじめとするサイバーセキュリティ関連についてご報告いただきました。米中デジタルセッションでは、主に中国の成長がオープンなインターネットに与える影響、インターネットの分割、冷戦を終結させるにはどうしたらよいか、という質問に対して議論が行われたとのことです。参加してみて、第三国の意見に耳を傾けることが重要ではないか、よりハイレベルの次元での決定がインターネットを規定してしまうのでは、IGFがサイバーセキュリティ離れしており、2023年の日本開催でセキュリティ関連のプログラムがどの程度開催できるのか、という感想も共有いただきました。

総務省の飯田氏からは、日本政府が企画したプログラムおよび日本政府より登壇したプログラムの概要についてご報告いただきました。主な内容としては、2023年のホスト国としてクロージングセッションに総務大臣がビデオ登壇し、トラストとデータフローの重要性などについて話されたこと、総務省が主催したオープンフォーラムでの主な議論などについて共有いただきました。IGFが今後進むであろう方向および国内IGF関連活動の課題についても考察いただき、他国・他地域のインターネットガバナンス団体との交流をIGF 2023の事前に深め、議論結果をグローバルIGFにインプットしてはどうか、などの率直なご意見をいただきました。

中央大学の実積氏からは、ご登壇なさったプログラム(危機に関連してインターネットはどう対応したか、という内容)に関して、モデレーターより発言が求められた内容などのプログラム進行についてご紹介いただきました。IGF 2020はオンラインのみの開催となったことで、参加はしやすくなり著名人を呼びやすくなったのではないか、モデレーターには高い能力が求められる、今後の会議はリアル参加と遠隔参加が両方存在するハイブリッド開催となるのではないか、研究者がIGF 2023に登壇するためには、発表/議論内容の準備には時間がかかること、場合によっては研究費の算段など、前もって必要な準備に関する考察について、主にご報告いただきました。

最後にJAIPAの立石氏をはじめとした参加メンバーより、次の一歩として、2023年に向けて実行委員会の立ち上げに向けた準備についてのスケジュールに関する確認が行われ、この報告会の参加者を中心に5月の大型連休後に検討会合を実施する方向となり、まずはたたき台を作成するメンバーで集まることとなりました。同時に、メーリングリストを作成し、本日の参加者に参加の意思を確認することとなりました。

実積氏からは、こういった会合の運営に関して、発表内容などを記録に残し広く共有することの重要性が指摘されました。JPNICでは、ビデオアーカイブだけでなく、議事録も取りまとめ、後日公開する予定です。

2023年IGF日本開催に向けて、皆様のご参加がますます必要とされてきています。ぜひとも、今後ご案内する情報にご期待いただき、イベントにご参加ください。

この記事を評価してください

この記事は役に立ちましたか?
記事の改善点等がございましたら自由にご記入ください。

このフォームをご利用した場合、ご連絡先の記入がないと、 回答を差し上げられません。 回答が必要な場合は、 お問い合わせ先 をご利用ください。