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IETF標準化動向 [第1弾] ~IETF109からIETF110にかけて~

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新型コロナウイルスの影響で、IETFミーティングが本格的にオンライン開催となってから1年が経ちました。この1年を振り返るとともに、2021年3月に行われた第110回IETFミーティングの様子を交えて、最近の動向をお届けしたいと思います。

なお、2021年6月4日(金)にISOC-JPとJPNICの共催で「IETF勉強会&座談会」を予定しています。IETFという国際会議に参加している方々が現地で行うような情報交換の様子を再現すべく、録画なし、ストリーミングなし、ミュートを解除しての座談会を試みます。

参加人数・インターネットドラフトの推移

2020年3月にIETFミーティングが本格的にオンラインで行われる前の10年ほどは、徐々に参加者数が増える傾向にあり、2019年5月のIETF104ではオンラインとオフラインを合わせて2,000名を超えるまでになっていました。2020年3月のIETF107でフルオンラインになってからは、1,200名ほどになっています(図1)。

(図1) フルオンラインになったIETF107(2020年3月開催)から1,200名前後で推移しています。

日本からの参加者は、2008年頃には100名ほどであった参加者数が、10年ほどかけて50名強にまで減ってきました。ただ、2021年1月に行った当センターのアンケートやヒアリングによりますと、IETFにおける標準や標準化動向への関心が薄れているわけではなく、国内での報告資料やオンラインメディアを通じた情報収集が行われている様子が伺われます。

「今後のインターネットと標準化」に関するアンケート結果, 2021年1月22日, JPNIC BLOG
https://blog.nic.ad.jp/2021/5805/

IETF110の全体会議(Plenary)でのIETFチェアによるプレゼンテーションで、近年のIETFメーリングリストの流量がグラフで示されていました(図2)。他の年に比べると流量のある時期があったようです。一方で、インターネットドラフトの初稿である-00は他の年よりも少なく、全体的な傾向として見ると、新たな発想や考察を投稿する機運が低まったように見えます(図3)。もしくは作業環境の制約があったためでしょうか。

(図2) メーリングリストにおいては4月から5月、8月から9月にかけて流量が多くなっています。(IETF110全体会議におけるチェアのスライドより)

(図3) インターネットドラフトの初稿(-00)は年間を通じて少ない月が多くなっています。(IETF110全体会議におけるチェアのスライドより)

オンライン開催の様子

IETFミーティングがオンラインで開催されるようになってから、リモートワークによる仕事環境の変化とあいまって、日本の参加者の間でさまざまな声が聞こえてきます。オンライン開催のIETFミーティングは、現地開催が予定されていた場所のタイムゾーンで開催になるため、オンラインでも時差の影響を受けます。

バンコクで開催が予定されていたIETF109は日本との時差が2時間であり、日中帯での参加ができる一方で、仕事の会議と時間が重なってしまうといった声がありました。IETF110は日本との時差が7時間あるプラハの時間帯で行われ、仕事の後に深夜3時くらいまで参加するようなこともありました。

日本からの参加者からは、オンラインなので初参加の敷居が下がった、オフラインのように部屋の出入りに気を使わないで済んだ、といった意見が聞かれました。他の国の参加者からは、リモートでは賛意が示しにくい、ロビーで話しかけることができないため意外に生産的な会話ができていないといった意見もありました。ただ、全員がリモート前提であるため、CodiMDを使った議事録がタイムリーかつ正確に取られたり、参加者の名前が正確に把握できたりといったメリットもあるようです。

ホットな話題 ~BOF~

IETF109からIETF110にかけて行われた、アジェンダに載る形のBoFを紹介します。

  • DANEを使ったIoTのサービスのための相互認証
    (Meeting materials for DANE AutheNtication for Iot Service Hardening/danish)
    IoTデバイスのようなパソコンとは異なるノードにおいて、クライアントの識別や認証、そこで使われる証明書の検索に使われる仕組みに関するBoFです。

“DANISH, IETF110, March 12th 2021″(DANISHを説明したスライド)
https://datatracker.ietf.org/meeting/110/materials/slides-110-danish-danish-bof-slides-02

  • ランダム化されたMACアドレスのアプリケーション
    (MAC Address Device Identification for Network and Application Services)
    プライバシー保護の観点でMACアドレスのランダム化が行われつつある中で、MACアドレスを使ってフィルタリングを行うなどの利用の場面での対応が議論されています。

“MADINAS Use Cases”(ランダム化されたMACアドレス影響と対応がまとめられたIETF109でのスライド)
https://datatracker.ietf.org/meeting/109/materials/slides-109-madinas-madinas-use-cases-00

IETF勉強会&座談会

国際動向を知り議論する場としてIETF報告会を若干見直し、より動向についての議論を行いやすくする試みとして、2021年6月4日(金)に「IETF勉強会&座談会」を開催いたします。

参加者の間で、国内では現地で口頭で行われるような情報交換が行われにくい、IETF報告会が勉強の場になってしまう、洞察やWGの枠を超えた見方などの話がされにくいといった意見があります。IETF勉強会&座談会では、特定のWGについての発表が行われる時間を持ちつつ、参加者と動向について議論しやすいように座談形式の時間を設けています。勉強会では得難い動向について聴くことができ、また質問などができる機会として活用いただければと思います。

IETF勉強会&座談会 (オンライン/要申し込み/無料)
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2021/20210524-01.html
https://www.isoc.jp/wiki.cgi?page=IETF110Update

次回IETF111の早期割引の期限は2021年6月7日であり、リモート参加にあたっての経験談やコツなども話される予定です。