News & Views コラム:ブログの中の人の話
pr_team コラムメールマガジンで配信したインターネットに関するコラムを、このブログでもご紹介しています。2022年7月は、サイバーセキュリティの国際連携に携わっておられる一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターの登山昌恵さんに、登山さんの日常生活における気付きや、それがきっかけともなって始まったブログでの情報発信についてお書きいただきました。
平日の朝は、NHKのBSで放送しているワールドニュースを観ることにしています。史上最大規模の干ばつや豪雨、立て続けに起こる銃乱射、終わらない戦争。世界の放送局が報じた出来事の数々が、目覚めたばかりの私を痛みと虚しさで満たすこともあります。そんなとき、賑やかで明るい情報番組にチャンネルを変えたっていいのに、画面を観続けてしまうのです。
今の仕事に就いてからというもの、似たような胸のつかえを抱えています。デジタル格差、言論の自由の軽視、情報操作。サイバー空間に存在する問題の数々を、自ら経験せずに生きてきたという事実がまた苦しいのです。子供のころからパソコンやスマホはいつでもそばにあって、インターネットの安定や安全が保障されない生活のことなど考えたこともありませんでした。
アジア太平洋インターネットガバナンスアカデミー(APIGA)や、RightsConなどの国際的な議論の場に参加し問題の当事者と出会うと、困っている人や声を上げている人は世界中にいることを痛感します。知ってしまったのに傍観者でいていいのだろうか、私に何かできることはないのだろうか。
日課のようにYouTubeを観て、友達とどうでもいい話をLINEする。Twitterでどんな思いつきでもつぶやけるし、だいたいの得たい情報はInstagramとGoogleを通して知ることができる。こうした環境にある私は、言論の制限や検閲に関して当事者とは言えず、ことの重大さを訴えたところで真実味に欠け、耳を傾ける人は少ないでしょう。
朝、いつものようにワールドニュースを点けたとき、ふと気づいたのです。私は知りたいことがわからないけれど、何か知るべきだと思うからこうして観ている。何も知らないけれど何か知りたい、そんな人たちに届ける発信ならできるかもしれない。こうした気づきもあり、機会を得て始まったのが”Watch! Cyber World”というブログの連載です。
サイバー政策動向を知ろう Watch! Cyber World vol.2
サイバー政策動向を知ろう Watch! Cyber World vol.1
サイバーセキュリティ政策について動物たちが会話するという、JPCERT/CC公式ブログ初めての楽しく読めるゆるい系記事です。見た目は明るくても、くだらないと笑い飛ばせるようなネタはないはずです。何か知りたい読者のために、私自身も学びながらこのブログを書いていきたいと思います。
■筆者略歴
登山 昌恵 (とやま まさえ)
一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター 国際部所属。アジア太平洋地域を中心とした海外のCSIRTや国際CSIRTコミュニティとの連携を担当。