札幌で現地開催しました!Internet Week ショーケース in 札幌 フォトレポート
event_team Internet Week JPNICのイベント インターネットの技術「Internet Week ショーケース in 札幌」を2023年7月20日(木)から21日(金)にかけて、北海道札幌市のHOTnet 共創空間 Akallaboにて開催しました。この会場は、共催の北海道総合通信網株式会社(HOTnet)のご厚意で、まだ社外利用されていないオープンしたばかりのスペースを、初めて使わせていただきました。また講演者の皆さま、ご協賛社の皆さま、そして参加者の皆さまのおかげをもちまして、大きなトラブルなく終了することができました。皆さま本当にありがとうございました。
内容についてのレポートは、2023年8月15日(火)発行予定のJPNICメールマガジン8月定期号でもお送りする予定ですが、このブログでは、メールマガジンには載せることができない写真で、Internet Week ショーケース in 札幌 を簡単に振り返ります。
●会場
以上のご協賛社・ご後援団体に支えていただきました。
●セッションの様子
今回のプラグラムは、セキュリティ関連やCDN、DNS、インターネット広告、インターネットの動向、北海道ならではのお話など、幅広い内容となりました!
講演資料のリンクも載せていますので、ぜひご活用ください✨
Day1:日々の運用で押さえておきたい最新動向や実践の手法
▼CDNの仕組みとトラフィック分析 〜CDN事業者が語る〜
青野 慧志郎氏(JOCDN株式会社)より、CDNの基本的な仕組みから、CDN事業者の観点から見たトラフィック分析を通じて考察したCDNの活用について解説いただきました。コンテンツを持つ方やネットワークの事業者にとって、トラフィックのコントロールは大きな関心事ですので、そうした方に役立つ内容をお届けしました。
資料はこちらをご覧ください → https://www.nic.ad.jp/sc-sapporo/program/c11.pdf
▼サイバー攻撃を止めるには? 攻撃の動向&abuse対応依頼入門
山下 健一氏(さくらインターネット株式会社)より、abuseとは何か、 abuse窓口には何が依頼でき、 窓口の中ではどのような対応をしているのか。利用者・担当者双方の目線から解説いただきました。サイバー攻撃に悩んでいる方や、フィッシングサイトをテイクダウンしたい方、また、さまざまな権利が侵害されて被害拡大を止めたいと考える事業者は多いのではないのでしょうか。そのような方々にピッタリの内容であったと思います。
資料はこちらをご覧ください → https://www.nic.ad.jp/sc-sapporo/program/c12.pdf
▼ルーティングセキュリティ インターネット運用の羅針盤
堀 高房氏(株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ))より、ルーティングに関するインシデントに日々どのように備え、 実際にインシデントが発生した際にどのように対応するべきか、 AS運用現場の観点からお話しいただきました。ルーティングの安定や相互信頼というのはインターネットをつなぐ上での基盤です。その中で、RPKI導入の機運が非常に高まっているといった話が印象的でした。
資料はこちらをご覧ください → https://www.nic.ad.jp/sc-sapporo/program/c13.pdf
▼基調講演:北海道における再生可能エネルギーxデジタルインフラの可能性
江崎 浩(JPNIC理事長)より、地政学的な観点から、「北海道」の秘めた可能性や期待に関して、エネルギーやそれをインフラとして運ぶという視点で非常に興味深い話がありました。江崎は北海道において、エネルギー分野の顧問にもなっており、グローバルにうまく考えられている事例、成功している事例も引き合いに出しながら、北海道の目指す道を語りました。
資料はこちらをご覧ください → https://www.nic.ad.jp/sc-sapporo/program/c14.pdf
▼共催講演 2018年北海道胆振東部地震における当社データセンターの状況 ローカル5Gの取り組み紹介
池野 桂司氏(北海道総合通信網株式会社(HOTnet))より、北海道胆振東部地震の影響で発生した、北海道全域停電下での同社のデータセンターのオペレーションについてお話しいただきました。また、北海道電力苫東厚真発電所での取り組みとして、同社と北海道電力で実施したSub6帯を用いたローカル5G検証についても紹介がありました。(そして最後に、北海道おすすめグルメを堪能してほしいとのお話もありました🐟✨)
Day2:いま知っておいていただきたいインターネットとセキュリティの最前線!
▼ブランドを守るために必要な送信ドメイン認証
古賀 勇氏(株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ))より、電子メールインフラを見ている立場から、DNSオペレーターに向けて「送信ドメイン認証=DMARC」について解説いただきました。メールは特定のベンダーに依存しないコミュニケーションツールであり、誰もが必ず使うものです。しかし、残念ながら昨今のフィッシングは苛烈であり、メールのセキュリティ取り巻く状況に頭を抱えている方も多い状況です。「悪の組織から地球を守る!」という軽快で引き込まれる語り口での古賀氏の話で「DMARCは難しくない、自分の組織でも導入検討しよう」と思われた方が増えたのではないでしょうか。
資料はこちらをご覧ください → https://www.nic.ad.jp/sc-sapporo/program/c21.pdf
▼DNSの弱点を振り返り、今後の針路について考える
森下 泰宏氏(株式会社日本レジストリサービス(JPRS))より、インターネットの技術者、特にDNSを運用される方に向け、DNSの設計上の弱点を紹介し、 それらが関連するプロトコル・実装・運用に及ぼしている影響の内容について解説いただきました。タイトルにもあるように、運用者が今後の航海で迷わないための「針路」を示していこうという姿勢が非常に感じられました。森下氏は、インターネットの基礎を解説する「Internet Week Basic オンデマンド」においても、DNSの3部作の解説(DNSの仕組みとキホン、サーバー攻撃と対策の理論編と実践編)をお話しいただいています。Basicオンデマンドもぜひご活用ください。
資料はこちらをご覧ください → https://www.nic.ad.jp/sc-sapporo/program/l21.pdf
▼インターネット広告の羅針盤 - Post Cookie、嵐の時代
伊東 直弥氏(株式会社マイクロアド)、中野 翔太氏(株式会社マイクロアド)より、「インターネット広告」の基礎から今日までの流れと、Post Cookie時代の技術についてお話しいただきました。私たちがWebブラウザで何かを見る際に、広告を目にしないことはありません。そして、その広告は私たちの行動に合わせてカスタマイズされて表示されています。近年、大手のプラットフォーマーは個人情報保護の観点からCookieの規制も強化しており、それを取り巻くテクノロジーや今後について、示唆深いお話がありました。
資料はこちらをご覧ください → https://www.nic.ad.jp/sc-sapporo/program/c22-pre.pdf
▼サイバー攻撃2022+ 昨今のサイバー攻撃動向とその対応
三浦 拓也氏(一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC))より、2022年JPCERT/CCで発出したアラートを紹介し、今対応しておきたい脆弱性やサイバー攻撃に関するトピック・最新動向についてお話しいただきました。 このセッションだけでも聞きたい!という人も多かったのではないかと思います。
資料はこちらをご覧ください→ https://www.nic.ad.jp/sc-sapporo/program/c23.pdf
▼NICTER観測で捉えた、日本国内の脅威2022+
森 好樹氏(国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT))より、日本国内のMirai感染について、感染した手法・対策方法を調査結果や感染事例を踏まえてお話しいただきました。このセッションについては、資料は非公開です。
▼スプリンターネットを読み解く
JPNICの前村 昌紀より、ロシアのウクライナ侵攻以降議論となっている、「一つのインターネット」のコンセプトに反するインターネットの分断「スプリンターネット」について解説いたしました。そして、ステークホルダーによってのさまざまなゴールにも思いをはせながら、また「インターネット」という言葉の多義性も踏まえながら、「今後、私たちはインターネットをどうしていきたいのか?」と考える時間を持ちました。
資料はこちらをご覧ください → https://www.nic.ad.jp/sc-sapporo/program/c25.pdf
●配信の様子
北海道の現地会場だけでなく、Zoomにて配信も行いました。オンラインでも多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。北海道はもちろん、遠く九州地方からご参加の方もおり、配信で届けることができる範囲の広さを改めて実感しました。
配信の画面は、以下のようになっていました。
●Internet Week 2023に向けて
長かったCOVID-19の時期を抜けて、今回、このショーケースをオンラインではなく、会場とオンラインのハイブリッドで開催することができました。今回さまざまなバラエティのプログラムをお届けしたことにより、会場からは「生でこの話を聞けて、またセッションの合間には講師と直接知り合えて、自分の業務において今後の糧になった」というお声をいただきました。また、写真では掲載していませんが、参加者、講師も交えて、久々に懇親会も開催することができました。セッションの合間や懇親会の場で名刺交換する風景、そしてつながっていなかった人たちがつながっていくさまを見て、あらためて、オンラインの方が優れていることもあれば、現場でしか得られないこともあるなと、そんな風に感じました。
さて、今年のInternet Week 2023は2023年11月15日(水)~22日(水)に開催します!
Internet Week 2023は、今回のショーケースで感じられた現場での息遣いや交流、そこから生まれていく将来に向けたつながり、そうしたものを大切にしたいと考えています。
2023年11月15日(水)~11月17日(金)はオンラインWeekです。基礎的なセミナーや、ハンズオンセッションを中心に構成する予定です。そして、2023年11月20日(月)~11月22日(水)はカンファレンスWeek。会場は東京大学・伊藤謝恩ホールです。通常プログラムだけでなく、BoF、IP Meetingなど…バラエティー豊かな構成となる予定です。
今年のInternet Week 2023に、ぜひご参加いただきたいと思います。プログラム委員、事務局一同、プログラムを鋭意制作しています!🤔プログラム公開は9月中旬を予定しています。お披露目できる日を、楽しみにお待ちください。