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News & Views コラム:ISOC-JPのIETF報告会を拝見して思うこと

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メールマガジンで配信したインターネットに関するコラムを、このブログでもご紹介しています。2023年6月は、情報セキュリティ技術の専門家で技術導入や普及にもご尽力なさっている、株式会社三菱総合研究所の小川博久さんにお書きいただきました。AIの台頭が叫ばれる昨今ですが、インターネット業界であっても、人にしかできない仕事はまだまだありそうです。

 


Internet Society日本支部(ISOC-JP)のIETF報告会に参加して、最新の動向を注視しています。報告会で話をされている方々(報告者や議論している方)は、情報収集や情報発信に積極的で、とても印象的です。私自身、インターネットを利用する身として、これまでの技術の進化や将来の進展を感じることができることから、できるだけ参加しています。このIETF報告会で報告している方々は、標準化に関わる専門家ですが、それらの報告を聞くと、異なる分野の専門家が互いに影響を与え合い、技術の発展に寄与していることを実感します。

ここでちょっと話は変わりますが、報告会での話を聞いていると、以前に実施したセキュリティ関連の人材に関する調査を思い出します。

セキュリティの業務を行っている人々には、三つのパターンがありました。一つ目は、自ら学びながらセキュリティ関連の業務に従事する自生型の人です。二つ目は、教育を受けてセキュリティ関連の業務を行う栽培型の人です。そして最後は、自生型でも栽培型でもなく突然変異的な存在で、なぜこの世に現れたのかわからないような人で、新たな視点や独自の考えを持ちながらセキュリティ関連の業務を行う人です。

IETF報告会で報告している人は、この三つのパターンのどれに当てはまるのかが気になります。IETFは、オープンでグローバル、技術的かつ実践的、共同作業とコンセンサス形成が重視されています。報告者の中には、自ら学んだり、教育を受けたりして標準化に関わるようになった方も多いと思いますが、前述の三つ目のパターンに当てはまるような特殊性を持つ人々はそう多くはないだろうと思います。特に共同作業とコンセンサス形成は重要な要素であり、関係者がお互いの意見を理解し合い、合意形成を図りながら標準化を進める必要があります。この点で、人間が対話をしながら相互に理解するため、AIで代替することは難しい仕事だろうなと思っています。

 


■筆者略歴

小川 博久 (おがわ ひろひさ)

2000年ソフトウェアベンダーに入社、2008年シンクタンクに入社、2019年株式会社三菱総合研究所に入社、情報セキュリティ技術に関する調査および研究開発業務に従事。特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)電子署名WGサブリーダー、日本トラストテクノロジー協議会(JT2A)運営委員長。

 

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