News & Views コラム:教育のデジタル化とインターネット~学びの新たな可能性~
pr_team Internet Week コラムメールマガジンで配信したインターネットに関するコラムを、このブログでもご紹介しています。2023年7月は、7月20日(木)・21日(金)の「Internet Week ショーケース in 札幌」を共催した北海道総合通信網株式会社にご所属の、立花洋太朗さんにお書きいただきました。ご自身の学生時代のAI研究に基づき、地域社会や教育現場への思いや期待を記していただきました。
皆さんは「学校のインターネット」と言えば、どういったイメージをお持ちですか?コンピュータを使う授業がある日と言えば、給食で揚げパンが出るのと同じぐらいワクワクしたのを今でも覚えています。私は、大学・大学院で中学校の技術の教科教育について研究していました。本コラムでは、学生時代の経験から教育現場のインターネット事情と今後の展望についてお話ししたいと思います。
学生時代のAI研究とインターネット
私の研究テーマは「中学生向けのAIリテラシー教育」でした。具体的には、画像収集と収集した画像から機械学習モデルを生成し、自動走行ができるカメラを搭載したロボットカーを活用した授業を実践して、教育効果を検証しました。また、ChatGPTに定期テストの問題を解いてもらい、AIの実力を評価する授業を通じて、子どもたちにAIの可能性について考えてもらうといった実践も行いました。
このような授業が実現したのも、インターネットインフラを支える方々のおかげであると、今になって感じています。もしも、インターネット回線の影響で処理が遅かったら、子どもたちは「今の技術ってこんなもんか」と見くびってしまって、授業の本来の効果が得られなかったかもしれません。
ノルウェーの教育インターネット環境と日本の事情
私は2019年8月~2020年2月までノルウェーの大学への交換留学と、高校3校でフィールドワークを行いました。私が留学していた2019年当時でも、ノルウェー国内のほとんどの高校で、BYOD (Bring Your Own Device) による1人1台端末の環境と、100Mbps以上のインターネットへのアクセスが実現していました。このような教育環境整備によって、オープンソースのe-learningで一人ひとりの進度に合わせた個別最適化学習が進んでいたことが印象的でした。
日本の学校でも、GIGAスクール構想で1人1台端末と高速インターネット環境が整備されました。私が公立中学校の技術の講師として担当していた授業でもiPadで調べものをしたり、まとめ学習の資料作成をしたりなど、大活躍でした。調べたいと思ったらすぐにブラウザが立ち上がり、必要な情報にアクセスができる環境が整備されています。もしかすると、私がコンピュータを使う授業の時に感じていた給食の揚げパンと同じくらいの喜びは、今の子どもたちには伝わらないかもしれません。
2025年の大学入学共通テストから「情報」が加わります。さらに、教育ビッグデータの利活用など教育現場を取り巻くインターネット環境は、今後も加速度的に変化していくことでしょう。日本のどんな地域でも、誰もが当たり前にインターネットにアクセスできて、どこでも学習ができる。今まで以上に、地域のインターネット基盤の整備が重要になってくると考えています。
終わりに、2023年7月20日(木)から21日(金)に「Internet Week ショーケース in 札幌」が開催されます。本ショーケースが、北海道のインターネット基盤がさらなる発展を遂げる一歩になることを期待しています。さらに理想を言うならば、北海道にも地域IXを整備することで、地域内の情報流通が活性化され、地域社会や教育現場にも大きな変革をもたらすのではないか、と思っています。
Internet Week ショーケース in 札幌
https://www.nic.ad.jp/sc-sapporo/
■筆者略歴
立花 洋太朗 (たちばな ようたろう)
2023年4月北海道総合通信網株式会社(HOTnet)入社、現在入社3か月(執筆当時)。営業部門で一人前になれるよう日々研鑽中。学生時代の研究分野は「中学校技術科教育」。大学院在学中は公立中学校で技術の講師として勤務。