APNIC 58 フォトレポート
event_team IPアドレス 他組織のイベント2024年8月31日から9月6日にかけて、ニュージーランドの首都ウェリントンにて、APNIC 58が開催されました。ここではその模様を写真とともにお伝えしていきます。
APNICミーティングとは?
APNICは「Asia Pacific Network Information Centre」の略で、世界に五つある地域レジストリの一つとしてIPアドレス・AS番号の管理業務を行っています。
本イベント、APNICミーティングは、インターネットの関係者が世界中から集まり、学び、アイデアや経験を共有すること、インターネットの運用に関連するポリシーを策定することを目的としています。
ニュージーランドについて
今回はニュージーランドの首都ウェリントンでの開催でした。北島の南東部、ニュージーランドのほぼ中心に位置しています。南半球に位置し、日本とは季節が反対なため、今回の滞在期間中は肌寒い日が続きました。(『ウィンディーシティ』とも呼ばれるそうです。)また、海と山が近く、自然に囲まれた地域でした。個人的な感想ですが、ニュージーランドは羊が多いというイメージがありましたが、羊は見かけることもなく、落ち着いていて綺麗な街並みが広がっている素敵な街でした。
開会と会議の様子
カンファレンスの最初、Opening Ceremonyではマウントクック小学校の皆さんからマオリの伝統的な歌のパフォーマンスが披露されました。小学生たちの伸びやかな歌声にとても癒され、会場の雰囲気が和やかになりました。また、開会宣言やKeynoteでも「マオリ」について触れられていました。
2024年10月からAPNIC事務局長に就任したJia Rong Low氏からも挨拶があり、あたたかい拍手で迎えられました。
本会議では、最新技術の動向や、インターネットに関する現在の課題について取り上げられていました。会場にはオープンマイクが設置されており、だれでも議論に参加することができます。どんなセッションでも多くの人が並び、活発に議論が行われていました。
テクニカルセッションについては、JPNIC Blog APNIC 58 テクニカルセッション フォトレポート でご紹介していますのでぜひご確認ください。
NIR SIG/Workshop
APNICカンファレンスは、APNIC地域内に存在するNIR(National Internet Registry:国別インターネットレジストリ)が一堂に集まる場でもあります。NIR SIG(一般公開)、NIR Workshop(非公開)が行われ、NIR間での連携が図られました。
NIR Workshopでは各国のNIRが集まって現状・課題について共有を行い、議論しました。NIRの担当者同士で細かい業務の調整を行う様子も見られました。「同業他社」の仲間たちと親睦を深める貴重な機会でもありました(笑)
NIR SIGでは各NIRの統計やイベントなどの情報について共有が行われた後、「セキュアで持続可能なインターネットインフラストラクチャとNIRの役割」と題してパネルディスカッションが行われました。NIRとしての今後の役割を考えさせられるセッションとなりました。公開セッションの様子はAPNICのYouTubeチャンネルからアーカイブが確認できますので、興味がある方はぜひご覧ください。
国際会議参加支援プログラム
JPNICでは、このAPNIC 58に参加を希望する国内若手技術者を募集し、選出された方3名とともにAPNIC 58に参加しました。
本プログラムは、 国内の技術者/研究者に早い段階から積極的に国際会議に参加して経験を積んでいただき、 日本から国際会議に参加する方および海外の技術動向に興味・関心を持つ方々を増やすことを目的としています。 また長期的には、 国際舞台における日本のプレゼンス向上に寄与することをめざしています。
それぞれ興味のあるセッションに意欲的に参加し、技術者同士で議論を交わすところも見かけました。また、APNICからもフェローが参加しており、フェロー間での交流も楽しんでいる様子がうかがえました。今後の研究や学習に活かしていただけると嬉しいです。
近日中に、フェローシッププログラムの参加報告書が掲載される予定ですので、そちらもぜひご覧ください。:https://www.nic.ad.jp/ja/intl/fellowship-program/
気になったセッション
「Inclusion and Diversity session」についてご紹介します。タイトルは「He kupu mō ngā pōkenga whatunga」で、日本語訳すると「ネットワークエンジニア向けの言葉」です。
要するに「ネットワークエンジニア向けのマオリ語」を紹介していただきました。
マオリの言葉は、子音+母音で構成されているので、日本語話者にとってはとても読みやすい言語でした。そんなマオリ語には、インターネットの用語や概念を示す言葉が存在します。日本語では、外来語を基本的には使用しているので、とても興味深く聴講しました。
rorohiko=computer、raraunga=data、tukutuku=webなどなど……
技術だけでなく、言語におけるダイバーシティや分断、文化保存について考えを巡らせられる良い機会となりました。
資料:https://conference.apnic.net/58/assets/files/APNZ606/apnic58-he-kupu-moo-_1725404393.pdf
マオリ語はこのAPNICカンファレンスだけでなく、街中にあふれており、英語とともに併記されていました。
APNICで行われた選挙結果やオープンポリシーミーティングの詳細は本日10月15日発行のメールマガジン JPNIC News & Viewsに記載していますので、ぜひご覧ください。
懇親会
最終日にはClosing Socialが開催されました。
会場の向かいにある、国立博物館テ・パパ で開催されました。生バンドのおしゃれな演奏とカンファレンスの思い出写真をバックに、各自思い思いに楽しんでいました。残念ながら、筆者は次の日の早朝のフライトだったため途中で退散しましたが、参加者の皆さんは最後の夜を思いきり楽しんだようです✨
最後に
当センターJPNICは、今回のAPNIC58において、Bronze Sponsorを務めました。また、今回ご紹介したNIR Workshop/SIGなどを通じて、APNICや他のNIRとの連携を進めております。今後もわが国のNIRとして、活発なコミュティの促進と、自律分散のインターネットの発展に貢献するべく、さまざまな施策を行ってまいります。
以下、筆者の個人的な感想です。初めてAPNICカンファレンスに参加しました。(初めての海外でもありました。)日本のインターネットコミュニティイベントに参加していても思うことですが、地球に一つしかない「インターネット」を大事に、皆で協力してより良くしていこうという姿勢は万国共通であるということを感じました。筆者は技術者ではないものの、その一端に参加し、意見を持った場合は表明できる立場にある、ということをうれしく思いました。これは技術者ではないインターネットユーザーにも知っていただきたいことであり、JPNICが伝えるべきことであるとあらためて痛感しました。