News & Views コラム「知の共有とサイバーセキュリティ:夢のあるインターネットの発展と共に」
pr_team コラムメールマガジンで配信したインターネットに関するコラムを、このブログでもご紹介しています。2025年2月は、サイバーセキュリティ分野で第一人者でいらっしゃる、トレンドマイクロ株式会社の門田英嗣さんのコラムをお届けしました。インターネットの発展と共に進化し続ける脅威にどう対抗し、明るい未来を手に入れるか、そのポイントをお書きいただきました。
20世紀末にインターネットと出会った時の衝撃は今でも鮮明です。距離と時間の制約を超え、人々とつながり、生活を変える革命だと感じました。その後、数年でインターネットはすさまじい速度でエンターテイメント、ビジネス、ショッピング、金融などを支える社会インフラとなりました。
そして、インフラ化が進むと共に、サイバーセキュリティは社会インフラを守る重要な責務となり、インターネットの成長と共に脅威も進化し続けています。個人的に、この今日の進化し続けるインターネットとその脅威に企業が対抗するためには、以下の3点が重要だと考えています。
- 攻撃者の手口/目的、戦略/戦術を知る
- 経営層/現場双方が自分事として捉える
- 「1.」を共有する
1点目については、インターネットは目に見えない世界のため難しく考えがちですが、物理的な犯罪や経営課題と同じ要素で考え、100%防ぐ手段がない攻撃に対して、「どんな犯罪/攻撃があるのか?」「どんな目的か?」「どんな手口か?」を知り、2点目としてそれを会社全体で自分事として捉え、リスクマネジメントと認識し、リスク低減の対策をすることです。
そして、3点目としてインターネットと同じ速度で進化する攻撃に対抗するには、守る側が結束し集団の防御力を生かすことが必要だと感じています。具体的には組織の垣根を越え、情報を共有し社会全体で対処する時代に来ていると感じます(もちろんそれが一番難しいことは身に染みていますが)。
インターネットは進化し続け、日々新しいサービスや価値を生み出し、社会課題を新たな視点で解決しています。同時に、ネガティブな面であるサイバー攻撃も進化し続けています。昨今では「認知戦」や「ナラティブ」という言葉がよく聞かれ、情報操作/心理戦にまで利用される時代です。偽情報の信憑性を少ない工数で効果的に上げるために、AIも活用され始めています。
このような進化に、私たちはお互いに協力し、情報を共有し、夢のあるインターネットの発展を守り、そしてその未来を楽しみつつ安全なデジタル社会を築いていければと思います。私もその志を持って、皆様と共にインターネットの明るい未来を目指して尽力したいと思います。
■筆者略歴
門田 英嗣 (かどた ひでつぐ)
トレンドマイクロ株式会社 サイバーセキュリティ・イノベーション研究所勤務。セキュリティアドバイス、リサーチ提供、啓発活動に従事。SIer経験を活かし、セキュリティの正論ではなく、お客様と一緒に悩みながら、運用目線で現場に寄り添ったセキュリティの提供を目指す。