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AFRINICの状況に関する続報(2025年7月25日)

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AFRINICは、差し止め請求に基づく最高裁の命令の結果、CEOおよび理事が不在となり重要な意思決定ができなくなっている状態に対して、最高裁が管財人を指名し、理事会の正常化に向けて作業をしているという状況にあります。2025年4月に公告された理事選挙に関して、不正が発見され6月23日の投票日に選挙が延期となっています。この選挙直後までの状況は、JPNICブログの6月26日の記事 AFRINICにの状況に関する速報(2025年6月26日)でお伝えしました。

これ以降、AFRINICに関しては二つの動きがあります。一つは理事会の再選挙、もう一つは、解散を求める申し立てへの対応です。若干時間が前後しますが、それぞれを説明します。

再選挙のほうは、7月15日付けで管財人から公告があり、9月30日までに選挙を実施するとしました。

[AFRINIC-Announce] Organisation of New AFRINIC Board Elections by 30 September 2025

その後、AFRINIC職員によって構成された選挙委員会(Election Committee) が選挙プロセスを進めています。きれいな専用Webページに情報が集積され、会員への働きかけに余念がありません。投票委任を排してオンラインのみとした投票は2025年8月25日から29日、8月29日即日の投票結果公表、というスケジュールが示されています。7月23日には選挙に関するWebinarも開催されましたが、選挙委員会はzoomを通じて寄せられたすべての質問に答えたため、時間を大きく超過するほどでした。

次に、解散を求める申し立てですが、もっとも端的にまとまっているのは、米国時間2025年7月24日にICANNが発した以下のツイートです。

https://x.com/ICANN/status/1948523239145193870

2025年7月9日、Cloud Innovationはモーリシャスの裁判所に対し、AFRINICの解散(winding-up)を求める申し立てを行いました。裁判所は、利害関係者がこの申し立てに対する支持または反対を表明する期限を2025年7月24日と定めており、迅速に判断が下される可能性があります。

2025年7月18日、モーリシャス政府はAFRINICを「指定会社(Declared Company)」とし、多くの関係者はこれにより、AFRINICが現時点で解散されることから保護されたと見ています(2001年モーリシャス会社法に基づく)。

本日、ICANNはこの申し立てに反対する意見書をモーリシャスの裁判所に提出しました。ICANNは、AFRINICがアフリカ地域の番号資源管理に果たす役割や、地域インターネットレジストリ(RIR)としての公共的性格など、全体状況と重要な事実を裁判所に理解してもらうことを目的としています。

Cloud Innovation社によるAFRINIC解散申し立てに関しては、2025年7月11日付けで、同社Webサイトからアナウンスが行われています。

Cloud Innovation Calls for AFRINIC Wind-Up Amid Election Impasse

同日、AFRINIC管財人からAFRINIC会員に宛ててアナウンスがあり、Number Resource Society (NRS) として知られるグループから会員に対して委任状への署名を促す呼びかけが行われていることを関知しているとした上で、会員にこのような第三者からの呼びかけには慎重に対処するように要請しています。

[AFRINIC-Announce] Advisory to AFRINIC Resource Members on Third-Party Communications

2025年7月16日にはICANNからモーリシャスの情報技術・通信・イノベーション大臣とAFRINIC管財人ダビー氏に宛てて、再度公開書簡が送られました。ICP-2(新RIR設立認定要件)に従ってAFRINICを認定し、要件適合を確認すべき立場を明示した上で、本文だけで7ページ、添付された過去の書簡を合わせると15ページにわたる長文です。以下のような内容が示されています。

  • 6月25日書簡、7月3日書簡などに対して、満足のいく回答、情報提供が得られていないこととそれに対する対応の要請
  • 特定会員の影響力の偏重に対する不作為の指摘
  • 7月9日の委任状に関する管財人のAFRINIC会員に対する注意喚起に対する賛同
  • Cloud Innovation Ltd. が7月11日付けでAFRINICの解散を申し立てたことの認知
  • CILのAFRINIC解散申し立てがICANNの意向に沿ったものだとする主張の否認

Re: ICANN’s Open Letter to the Mauritius Minister of Information Technology, Communication and Innovation and the Court-Appointed Receiver over AFRINIC, Mr. Gowtamsingh Dabee (原文)

2025年7月16日付けICANNからモーリシャス政府及びAFRINIC管財人に宛てた公開書簡 (日本語参考訳)

これに対応する形でモーリシャス政府は、7月18日に、AFRINICを指定会社(Declared Company)というステータスに指定し、検査官を指名します。この指定会社とは、公共的性質を有する企業を保護する目的で政府が指定するもので、これによって解散に向けた動きを抑制する意図があるようです。

Declaration of African Network Information Centre (AfriNIC) Ltd (in receivership) as a “Declared Company” under Mauritius Companies Act 2001

Extraordinary Government Gazette of Mauritius (General Notice No. 1045 of 2025)

 

法廷と政府を巻き込んだ攻防が続くところです。JPNICでは今後も本件に注視し、随時情報提供を行っていきます。

 

 

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