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APNIC 42でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案のご紹介

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2016年10月3日(月)~5日(水)の日程で、スリランカ・コロンボにおいてAPNIC 42カンファレンスが開催されます。

APNIC 42 Webサイト https://conference.apnic.net/42

IPアドレス・AS番号の分配ポリシーに関する議論は、ポリシーSIG (Special Interest Group)でのメーリングリスト上で議論が行われています。1年に2回開催されるAPNICカンファレンスでは、多くの関係者が顔を合わせての議論を行います。

今回のポリシーSIGでは、ポリシーの変更提案1点と、SIGの運営方法を定めたガイドラインの変更提案1点の議論が予定されています。今回は、ポリシーの変更提案についてご紹介します。提案の詳細は、提案のタイトルに張られたリンクから確認することができますので、ぜひ一度ご覧ください。

■Prop-116 「Prohibit to transfer IPv4 addresses in the final /8 block

現在APNIC地域では、1組織あたり「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」から/22(1,024アドレス)「IANAから再割り振りされたIPv4返却在庫」から/22(1,024アドレス)の、合計/21(2,048アドレス)の割り振りが行われています。

特に「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」から/22の割り振りは、これから新規参入する組織に対して必要最小限の割り振りを行うことを目的として考えられています。

新規の割り振りは堅調に伸びる一方で、M&A(事業移管や吸収合併など、その事実を書面などで客観的に確認できるケース)による移管や、IPv4アドレスの分配先を変更するIPv4アドレス移転制度を利用して、複数の/22を他の組織から受け取るといったケースも増えてきているようです。以下は、APNIC事務局よりポリシーSIGのメーリングリストに投稿された統計情報を、JPNICでグラフにまとめたものです。

一つの組織が、複数の/22を他の組織から受け取るような、本来の目的とは異なるアドレスの分配を防ぐことを目的として、今回提案が行われているようです。具体的には、以下の内容をポリシーに追加する提案となっています。

  • 「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」の移転を禁止する
  • 上記在庫から割り振りを受けたIPv4アドレスが不要となった場合、割り振りを受けた組織はAPNICに返却する
  • M&A(事業移管や吸収合併など、その事実を書面などで客観的に確認できるケース)による移管で、移管先組織が上記在庫から/22の割り振りを受けることとなった場合、/22を超えるアドレスについてはAPNICに返却する

この提案がポリシーSIGのメーリングリストに投稿されてから、以下のようなコメントが出されています。提案内容は、議論の状況に応じて提案者が改訂を行っていくため、コメントの内容と提案内容に差異が出ている部分もあります。

【賛成】

  • 提案自体には賛成。ただし、M&AはOKとすると抜け道になるのではないか?
  • M&A以外に移転する方法があるべきではない
  • 提案に賛成。このような提案が必要なのは、最後のIPv4アドレスが容易に取得できるからではないか。

【反対】

  • ポリシーの改訂は無意味。IPv4アドレスを必要する人がいてビジネスモデルが成り立つ限り、”いたちごっこ”が続くことになると思う。
  • 特定のリソースについてのみ移転を禁止するのは悪い考え
  • 最後のIPv4アドレスに関するルールの検討について、コミュニティ全体が多くの時間やお金を費やしているのではないか。制限などせずに自然の流れに従っていけば良いのではないか。
  • M&Aによる移転を許可するとしていることから、やはり転売目的の移転を防ぐことはできないのではないか。

【どちらでもない・その他の内容】

  • 以前に提出された提案prop-106(最後のIPv4アドレスの移転禁止提案)と似ている。以前の議論をレビューした方が良い。
  • IANAからの返却アドレスの再割り振りを止めて、最後の/8プールに含めることで転売目的の移転はなくなるのではないか。


(写真はAPNICのflickrサイトから)

写真はAPNIC 41カンファレンスでの様子です。今回はどんな雰囲気で議論が進むのでしょうか。ポリシー提案に興味のある方や、提案について意見のある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

残念ながら現地での議論には参加できない場合には、リモート参加も可能です。リモート参加の方法は、APNIC 42カンファレンスのページをご確認ください。

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