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APNIC 47でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案ご紹介

投稿者 ip_team on 2019年2月22日

2019年2月25日(月)~28日(木)の日程で、韓国・大田においてAPNIC 47カンファレンスが開催されます。春のAPNICカンファレンスは、APRICOTカンファレンス期間中に同時開催されるのが通例となっています。

APNIC 47 Webサイト https://conference.apnic.net/47

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アドレス管理組織であるレジストリは、IPアドレス・AS番号の分配ルールを定めたポリシー文書に従って管理業務を行っています。同時に、このポリシー文書の策定、改定プロセスをPDP (Policy Development Process)としてまとめています。PDPでは、ポリシー提案の提出から実装までが一連の流れとしてわかるようになっています。

APNICでのPDPは、IPアドレス・AS番号の分配ポリシーに関する議論を、ポリシーSIG (Special Interest Group)で行うこととしています。議論は主にポリシーSIGのメーリングリストで行われていますが、1年に2回開催されるAPNICカンファレンスにおいて、オープンポリシーミーティングという名称でオフラインでの議論の場を設けることとしています。多くの関係者がここに集まり、顔を合わせての議論を行います。

今回のポリシーSIGでは、以下に記載した、ポリシーの変更提案5点の議論が予定されています。提案の詳細は、提案のタイトルに張られたリンクから確認することができますので、ぜひ一度ご覧ください。

  1. prop-124 : Clarification on IPv6 Sub-Assignments(IPv6アドレス割り当ての定義の明確化提案)
  2. prop-126 : PDP Update(APNICにおけるポリシー策定プロセスの修正提案)
  3. prop-127 : Change maximum delegation size of 103/8 IPv4 address pool to a /23(最後の/8相当のIPv4未割り振り在庫(103/8)からの最大割り振りサイズを/23へ変更する提案)
  4. prop-128 : Multihoming not required for ASN(AS番号割り当てにおけるマルチホーム要件撤廃提案)
  5. prop-129 : Abolish Waiting list for unmet IPv4 requests(IPv4アドレス返却プールからの割り振り待機者リストの廃止提案)

今回はこれらの提案のうち、「3. prop-127: Change maximum delegation size of 103/8 IPv4 address pool to a /23」について、この提案が提出されるまでの道のりをご紹介します。

APNICでは現在、1組織につき「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」から最大/22(1,024アドレス)、「IANAから再割り振りされた返却在庫」ら最大/22、合計で、/22が2個を上限とする割り振りを行っています。

/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」は、/8(約1600万アドレス)の約2/3が分配済みの状況です。「IANAから再割り振りされた返却在庫」はすでに枯渇しており、APNICによる待機者リストが作成されています。このリストの先頭には2017年3月の日付が記載されていますので、先頭の組織は丸2年程度待機しているようですね。

2011年4月のAPNICが持つIPv4アドレス在庫枯渇から時間が経過し、2015年頃からは「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」の枯渇もクローズアップされるようになってきました。JPNICブログにおいても「IPv4アドレス 本当の在庫枯渇がやってくる?!」と題して、APNICのGeoff Huston氏による分析を紹介したこともありました。

■2017年1月~4月:prop-117「Returned IPv4 address management and Final /8 exhaustion」
 (返却されたIPv4アドレスの管理方法と「APNICにおける最後の/8相当のIPv4未割り振り在庫」枯渇後の対応)

2017年1月~4月にかけて議論されたこの提案では、以下の点がコンセンサスに至りました。

/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」が枯渇した時点で、「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」「IANAから再割り振りされた返却在庫」を統合し、統合された在庫から1組織が割り振りを受けることができる最大のサイズを/21とする、などについても提案されていました。しかしながら、議論を重ねてもコンセンサスは得られませんでした。

■2017年8月~2018年8月:prop-120「Final /8 pool exhaustion plan」
 (「APNICにおける最後の/8相当のIPv4未割り振り在庫」枯渇後の分配方法についての提案)

prop-117のコンセンサスが得られなかった部分は、prop-120として新たな提案となりました。この提案は、APNIC 44カンファレンスおよびAPNIC 45カンファレンスにおいて、以下の2つのポイントで議論が行われましたが、いずれもコンセンサスに至らず、提案は取り下げらる結果になりました。

prop-117とprop-120の議論を進めていくうちに、今後のIPv4アドレスの分配について、参加者の考え方は以下の3つに分類されることがわかってきました。

  • 分配を受けることの可能なIPv4アドレスはできるだけ多いほうが良い
  • 1組織に分配するIPv4アドレスはできるだけ少なくして、将来の新規参入者への分配要請に応えるようにしたい
  • IPv4アドレスの分配ポリシーはもうこれ以上変更しない。そのために費やす時間があれば、IPv6アドレス分配や移転に関するポリシーを議論しよう

■2019年2月:prop-127 「Change maximum delegation size of 103/8 IPv4 address pool to a /23」
 (最後の/8相当のIPv4未割り振り在庫(103/8)からの最大割り振りサイズを/23へ変更する提案)

今回出された提案は、1組織につき「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」から最大/22となっている割り振りサイズを/23(512アドレス)に変更するものです。上記b. の立場からの提案であるようです。

「IANAから再割り振りされた返却在庫」は現在の状況からみて分配が不可能なため除外することとして、「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」からの分配サイズが半分になることで、2020年中とされている枯渇時期を3年程度先延ばしにできるものと提案者は試算しているようです。

この提案の議論の際にも、先ほどご紹介したa.からc.のそれぞれの立場から、コメントが出される形で議論が進むことが予想されます。議論の着地点がどのような場所になるのかや、チェアによる議論のハンドリングなどに、目を離せない状況です。


APNIC 46 - Day 3

写真は、APNIC 46カンファレンスでの様子です。今回の記事をお読みいただいて、提案内容や議論の行方に興味を持たれた方や、何か一言物申してみたい、という方は、リモート参加を検討してみてはいかがでしょうか。現地での議論には参加できなくても、リモート参加という手段がありますので、APNIC 47カンファレンスのページを覗いてみてください。