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新APNIC EC就任インタビュー

投稿者 ip_team on 2019年4月19日

毎年2月下旬から3月上旬に行われるAPNICカンファレンスでは、APNIC EC(理事)※の選挙が行われます。

※アジア太平洋地域の番号資源を管轄するレジストリであるAPNIC(Asia Pacific Network Information Center )の理事。
詳細はインターネット用語1分解説:APNIC ECとはをご覧ください。

2019年2月18日~2月28日に行われたAPNIC 47カンファレンス(以下、APNIC 47)では、JPNICが推薦した松崎吉伸さん(株式会社インターネットイニシアティブ、JPNIC理事)が立候補し、見事当選しました。

選挙結果は、JPNICのWebページ「APRICOT 2019/APNIC 47カンファレンス報告 [第1弾] 全体概要報告」のメールマガジンでも取り上げておりますが、今回松崎さんにインタビューを行いました。

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松崎吉伸さん


 

APNIC ECに当選された心境や周りからの反響について

JPNIC:まずはご当選おめでとうございます!今の率直な思いを聞かせてください!

松崎:関係者の皆様のご協力とAPNICコミュニティの支持を受けて、APNIC ECに当選することができました。APNIC ECはAPNICコミュニティの代表としてAPNIC事務局の運営管理に関わります。APNICが今後もコミュニティからの期待に応え、その責務とリーダーシップを適切に果たしていけるよう、尽力したいと考えています。

JPNIC:ECになって周りからの反響はいかがですか?

松崎:業界の仲間達には結果発表までかなり心配してもらいました。ここ近年のAPNIC EC選挙は毎回有力な候補者が何人も出てきていて、厳しい選挙戦になっています。今回も最後まで結果の読みにくい状況でしたが、当選の結果を受けて様々な人から祝福の言葉をいただきました。

JPNIC:松崎さんは他のコミュニティでも要職を務められる等、様々な貢献をされて仲間をつくってきたと思いますが、 そもそもこのようなコミュニティに積極的に関与していったのはなぜですか?

松崎:コミュニティを継続、発展させて行くためには、様々な努力や役割の分担が必要です。コミュニティの一員として、たまたまその役割を担う時が来たのだと考えています。この様なコミュニティ活動を通じて、より良いインターネットの運用に繋がれば良いなと考えています。

接戦を強いられる選挙戦の中で見事当選できたのは、これまでの業界への貢献と共に呼応する仲間の存在が大きかったようです。情報を共有し、議論をする大切な場であるコミュニティを少しでも良いものにしようと、強い使命感を持って活動されてきたことが勝因となったのだと感じました。

選挙への出馬を決めた時の心情と、選挙戦の状況について

JPNIC:次に、選挙への出馬を決めた時の心情と、選挙戦の状況についてお聞きします。インターネットの発展に貢献すべく多様なコミュニティに参加されてきた中で、今回のEC選挙にJPNICから推薦を受けたときにはどのようなことを思いましたか?

松崎:実は今回のAPNIC EC選挙ではJPNICからの推薦を受ける前にバングラデシュのISPから推薦されて候補者となる手続きが進みました。難しい選挙戦に挑むに当たってJPNICからも推薦を受けたことで心強くも感じましたし、光栄に感じました。

JPNIC:その後、実際に立候補されてから投票日まではどのような選挙活動をされてきたのでしょうか?

松崎:APNIC EC選挙はAPNIC会員に投票権がありますので、各会員組織に投票をお願いしていました。知り合いのいる組織には個別に連絡したほか、ご協力いただいた関係者の方々にも、それぞれの経路で会員組織に投票依頼していただけました。

日本以外にもバングラデシュの組織からも推薦を受けたのは、他のコミュニティ活動等、国内外を問わずインターネットの発展の活動を行ってきた中での貢献が認められた瞬間と言えるのではないでしょうか。また、7200以上の組織が加盟するAPNICにおいて、票数の大きいところや関係者のいる組織だけでも相当な数になります。それらに声をかけ、考え方を共有し、投票へつなげていったのは、ひとえに松崎さんの熱意の力だと感じました。

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選挙当日スピーチの様子

 

前任者である奥谷 泉さんについて

JPNIC:今回のAPNIC 47で改選対象となったAPNIC ECの奥谷泉さん(元JPNIC職員であり、松崎さんの奥様)は、任期満了で退任されました。これまで奥谷さんのAPNIC ECとしての姿をどのように見られてきましたか。また、任期を終えられた今、どのような声をかけてあげますか?

松崎:泉さんはAPNIC ECとして真面目に取り組まれていたのを覚えています。APNICコミュニティで女性技術者の交流を促進したり、一つのロールモデルとなったりすることで女性の地位向上にも貢献しました。最後の一年間は妊娠出産と私生活が慌ただしかったのですが、出産した病院から退院する当日にもAPNIC ECの会議に遠隔参加するなど、責任感を持って貢献されていた姿が印象的でした。「大好き」や「愛してる」などは家で言っているので、ここで書くまでもありませんが、今までの活躍に感謝するとともに、泉さんとは違う形でAPNICコミュニティの発展に寄与したいと考えています。

APNIC 47の会場にもお子さんをお連れになり、交代でお世話をしていたのが印象に残っています。お子さんを連れていると何かと大変かとは思いますが、それでもSIG (Special Interest Group)の場では意見を積極的に発言するなどECとしての責任を全うする姿を見ることができました。奥谷さんの意志を引き継いで、松崎さんにもAPNIC ECとしての今後の活躍を期待したいと思います。

 

APNIC ECとして取り組んでいきたいこと・抱負について

JPNIC:APNICについて、APNIC ECとして考えていることをお聞きします。松崎さんご自身は、これまでJPNIC理事としてご活躍されてきましたが、JPNIC理事とAPNIC ECで役割・責任など違いを感じる事はありますか?

松崎:APNICの管轄する区域は、地域によってインターネットの普及度や社会体制、予算規模などが大きく異なります。多様性に富んでいるとも言えますが、その結果APNICへの期待や要望も地域間で異なっており、バランスを取りながら様々な課題に取り組む必要があると考えています。

JPNIC:APNICコミュニティの長所・短所だと感じている点があればそれぞれ教えてください。

松崎:長所はオープンで優しく、多様性のあるコミュニティだということです。一方で地域間の格差も大きく、コミュニティとして取り組んでいくべき課題だと考えています。

JPNIC:今後に関して、APNIC ECとしての担当部門などは既に決まっているのでしょうか?また、特に注力したいと考えている分野・問題等はありますか?

松崎:特段の担当部門はありません。今後APNIC ECとしての研修が予定されているので、まずは職務などの把握に務めます。今年はAPNICの戦略計画を策定する年なので、他のECメンバーと共にその策定に臨みます。また、近年RPKIやDNSSEC等レジストリに運用が依存する領域も増えてきているので、APNICの関連するサービスがより一層安定するよう務めるほか、教育や必要な情報の継続的な提供など地域のインターネットの発展に寄与する取り組みも強化していきたいと考えています。

JPNIC:最後に、日本のコミュニティやメンバー、関係者に向けて抱負・メッセージをお願いします!

松崎:インターネットでは様々なネットワークが相互に依存しています。インターネット全体の価値と可能性を高めるためには、それぞれ個別のネットワークがきちんと運用され、全体として協調していく必要があります。APNIC ECとして、またコミュニティの一員として様々に取り組みつつ、これからもより良いインターネットを目指していきたいと考えていますので、引き続き一緒に頑張りましょう。よろしくお願いいたします。

誰かにとっての利益は、別の誰かの不利益になるというのはよくある話ですが、多様な国、人が集まるコミュニティの意見をまとめあげるのはとても難しいことだと思います。しかし利害関係のみの緊張間漂うコミュニティかというと、そんなことはありません。実際に現地参加してみると気さくで協調的な方も多く、疎外感を感じることなく参加できるコミュニティだと感じられます。格差の問題はコミュニティ全体の問題として真摯に取り組んでいってほしいと思います。RPKI・DNSSEC含め、JPNICも協力して取り組むべきことは多く存在します。APNIC ECかつJPNIC理事である松崎さんに架け橋になっていただき、JPNICとしてもより積極的に課題解決・事業発展に取り組むことができるようにしていきたいと思います。


いかがでしたか。本稿を通じて松崎さんの理念・心情を伝えることができていれば幸いです。

松崎さんは、従前より各国のNOG (Network Operators’ Group)やRIR (Regional Internet Registry)で活躍されていらっしゃいますが、新たにAPNIC ECとしての活動もスタートしています。

ますますの活躍を期待すると共に、みなさまからの温かいご支援をよろしくお願いします!

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奥谷さんお疲れさまでした!そして松崎さんこれからもよろしくお願いします!
(写真はAPNIC Flickrより)