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ARIN 39がニューオーリンズで開催されます

投稿者 ip_team on 2017年3月31日

2017年4月2日(日)~5日(水)に、米国・ルイジアナ州ニューオーリンズにおいてARIN 39ミーティングが開催されます。ARIN (American Registry for Internet Numbers)は、北米とカリブ海周辺の一部地域を受け持つ地域インターネットレジストリ(RIR; Regional Internet Registry)の一つです。

ARIN 39 Webサイト

ARIN39_logo.png

APNIC (Asia Pacific Network Information Centre)地域と同様にARIN地域においても、IPアドレス・AS番号の分配ポリシーに関する議論は、メーリングリストのほか、オフラインミーティングの場でも行われます。

ARINにおけるポリシー策定プロセスの詳細については、ARIN 37に関するJPNIC Blog記事でご紹介していますので、そちらをご覧ください。

今回のARIN 39では、合計6点のポリシー提案が議論される予定です。注目の提案は「ARIN-2017-3: Update to NPRM 3.6: Annual Whois POC Validation(年間を通じた連絡先情報の妥当性検証)」です。この提案はWHOISの正確性向上に関するものです。

WHOISの正確性向上に関しては、各地域でのオフラインミーティングにおいてはこれまでに情報提供や議論を行うためのセッションが開催されてきており、その場でも今後ポリシー提案を行う予定であることがアナウンスされていました。今回ARIN地域において提案が出されたことにより、APNICを含む各地域においても今後、同様の提案が出されることが想定されます。

以下では、それぞれの提案について簡単にご紹介します。提案についてご興味を持たれた方は、提案名に張られたリンクから詳細を確認してみてください。

■Recommended Draft Policy ARIN-2016-3: Alternative simplified criteria for justifying small IPv4 transfers(小規模のIPv4アドレス移転時における審議基準の簡素化)

ARINポリシーの現状:IPv4アドレス在庫からの分配基準をベースとして、移転要件が決まっている。

問題点:ARIN在庫からの分配基準は、必ずしもIPv4アドレス移転の状況に当てはまらない。

提案の概要:24ヶ月以内に申請サイズの少なくとも50%を利用する計画を証明するという現在の要件または、分配を受けているIPv4アドレスを80%以上利用していれば、その分配を受けているサイズと同等の移転を最大/16まで認める。

■Draft Policy ARIN-2016-8: Removal of Indirect POC Validation Requirement(連絡先情報の妥当性を検証する対象の変更)

ARINポリシーの現状:ARINでは、データベースに登録されたすべての連絡先に対して電子メールを送信し、その妥当性を確認している。

問題点:ARINと直接契約関係にない組織にもこのプロセスが適用されており、ARINスタッフに多大な労力がかかっている。

提案の概要:メンバーへの割り振りからの割り当て情報に登録された連絡先情報を確認対象から外し、直接の割り振り/割り当て、メンバーからの再割り振り、AS番号に関する連絡先情報のみを確認対象とする。

■Recommended Draft Policy ARIN-2016-9: Streamline Merger & Acquisition Transfers(吸収合併および買収による移管時の手順簡略化)

ARINポリシーの現状:吸収合併および買収による移管時には、移管先となる組織は、移管を受けるIPアドレスやAS番号を使用することを証明する必要がある。使用しない分については他の組織への移転やARINへの返却を求めている。

問題点:吸収合併や買収などの事象が起こった際に、適切にWHOISデータベースの更新が行わないケースが見受けられている。

提案の概要:吸収合併および買収による移管時には、移管先となる組織は、移管を受けるIPアドレスやAS番号を使用すること、もしくは、移管元組織全体を取得したことを証明する、と変更する。

■Draft Policy ARIN-2017-1: Clarify Slow Start for Transfers(IPv4アドレス移転におけるスロースタートの明確化)

ARINポリシーの現状:初期割り振りサイズよりも大きなIPv4アドレスの移転が許可されるためには、24ヶ月以内に申請サイズの少なくとも50%を利用する計画を証明する必要がある。

問題点:アドレス利用の予測は、測定や正当化が難しく検証が困難である。正当化のために要する時間と承認の可能性に予測不能性がある。

提案の概要:適切な予測ができる期間を元にして24ヶ月分の需要予測を行い、ARINへの申請サイズの決定を可能とする。なお、適切な予測ができる期間内に申請サイズの50%を利用する計画を示す必要があることとする。

■Draft Policy ARIN-2017-2: Removal of Community Networks(コミュニティネットワークに関する記述の削除)

ARINポリシーの現状:地域住民やコミュニティを対象として、非営利団体や大学等がサポートするボランティアグループによって運営されているネットワークをコミュニティネットワークと定義し、このネットワークへのIPv6アドレスの割り当てを可能としている。

問題点:定義の範囲が狭すぎる上、複雑な要件があり、2010年1月の実装以来利用されていない。また、関連する提案(ARIN-2016-7:Integration of Community Networks into existing ISP policy(既存のISPポリシーへのコミュニティネットワークの統合))がARIN Advisory Council (ARIN AC)により棄却された。

提案の概要:現在のポリシーからコミュニティネットワークに関する記述を削除する。

■Draft Policy ARIN-2017-3: Update to NPRM 3.6: Annual Whois POC Validation(年間を通じた連絡先情報の妥当性検証)

ARINポリシーの現状:WHOISサービスは、連絡先の特定、不正利用への対処、法執行機関等による犯罪者に関する情報の捜査等に利用されている。

問題点:適切なWHOIS情報の登録は、連絡先情報の迅速な特定、オペレーションリソースの浪費の防止、ドメイン名やIPアドレス・AS番号のハイジャック防止につながる。しかしながら、不正確な情報が登録され続けている問題が潜在的にある。

提案の概要:データベースに登録されたすべての連絡先に対して電子メールを送信し、送信から60日以内に受信者から応答がない場合にはその旨をWHOISに登録する。連絡が取れない旨がWHOISに登録されてから90日後までの間にさらに連絡が取れない場合、WHOISから登録情報を削除し、逆引きゾーンの委任を停止する。

メーリングリストに流れたこれまでの議論の内容や当日の議論、ARIN ACによる検討の結果は、メーリングリストのアーカイブから参照することが可能です。また、ミーティング期間中は中継が行われる予定ですので、ご興味を持たれた方はリモートで参加してみてください。また、今回はARINでの提案をご紹介しましたが、JPNIC、APNICのポリシーフォーラムで議論をしてみたいと思う提案がありましたら、ぜひお聞かせください。


写真は2016年10月、米国・テキサス州ダラスで開催された、前回のARIN 38ミーティングの様子です。

(ARINのFacebookページより)

毎回のミーティングでは、開催地にちなんだロゴが作成されることが多いようですが、今回は、リオのカーニバルなどと並ぶ世界で最も有名なカーニバルのひとつであるニューオーリンズ・マルディグラのイメージなのかなと思いました。カーニバルのようにポリシー議論も盛り上がってほしいとの思いがこめられているのかもしれませんね。