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続編:ドメイン名と政治~カタルーニャ独立運動とドメイン名ブロッキング~

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Webサイトの当局へのブロッキングとミラーサイト立ち上げのいたちごっこ

2017年10月1日にカタルーニャの独立を問う投票が行われました。それに伴い、投票を阻止しようと投票所を封鎖しようとする警官隊、および警察官を投票所に入れまいと投票所に泊まり込む住民、警官隊と住民の衝突などが起こったのは報道された通りです。その後は州政府による独立宣言に注目が集まっているようです。

10月1日を控え、インターネットの世界では、投票に関連するWebサイトがスペイン中央政府によりブロックされたため、まずは英国とルクセンブルグにミラーサイトを立ち上げましたが、スペイン政府の法的な要求により迅速にブロックされたため、別ドメイン名にてEU(欧州連合、スペインはメンバー)内の他国にあるサイトにミラーしましたが、こちらもブロックされるようになりました。そのため、スペインと協定を結んでいないロシアや旧ソ連中央アジア諸国に大量のミラーサイトを設置するようになったとのことです。これらの国々に位置するWebサイトについては、EUとこれらの国々が法的な協定を結んでいないため、スペインの司法や警察はサイトの閉鎖を行うことができないようです[1]

ちなみに、スペインやEUにあるサイトでブロックされたものは日本からのアクセスでもブロックされているようです(例:referendum.cat)。

他に、投票集計および電子投票用のソフトウェアについても当局によりブロックされ[2]、投票所でのインターネットアクセスもブロックされたとのことです[3]。さらに、Google Playに置かれていた投票用のアプリを消すよう9月24日にスペインの裁判所がGoogleに命令したとのことです[4]

ISOCの懸念表明への反響

前編でISOCが懸念表明をしたことについて触れましたが、その記事にかなり反響があったようで、ISOCはブログ記事を新たに公開しています[5]。同記事では、カタルーニャ独立問題自体について意見を表明したのではなく、.cat ccTLDレジストリがコンテンツを監視・ブロックさせられたことについて懸念を表明したのみであり、スペインにある四つのISOC支部のすべての代表と話し合いを行った、としています。

終わりに

本件は、インターネットにおける表現の自由および仲介者の義務・責任対公共の安全という難しい点について考えさせられるものです。インターネットも現実の世界と無縁ではいられず、政治に引っ張られることがあるという典型例といえるのではないでしょうか。


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