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News & Views コラム:大規模災害への対策 ~3.11を経験して思うこと~

投稿者 pr_team on 2019年6月25日

「東南海・南海地震」がいつ発生してもおかしくないと言われています。「東日本大震災:3.11」が発生し、その後いろいろな災害対策が提案されています。

私は「災害に強いネットワーク、災害時にも通信を確保する」ことよりも、「復旧がやり易い、ネットワークや通信」が必要だと思います。

「3.11」級の災害にも耐えられるネットワークは、作ることができるでしょうか。東京一極集中のネットワークから、本来のインターネットの姿である自律分散にすれば、一部ケーブルが寸断されたり、機器に障害が出ても全停止は防げる可能性があります。

「3.11」で被災した「日産自動車いわき工場」を見学する機会がありました。震災前は、鋳造工程でアルミを電気炉で溶融して、電熱で加熱した「樋(トイ)」を通してプレッシャーダイキャストマシンへ流していましたが、地震による停電でアルミが冷えて「樋(トイ)」に固着。再稼働への大きな障害となりました。復旧後は、溶融したアルミを何箇所かで保温しながら必要分だけフォークリフトで運んでいます。効率を優先した集中方式から、分散方式に変更していました。

また、資材や部品の運搬には自動運転による無人搬送車を使っていましたが、地震により動作せず障害個所の特定に時間がかかったため、人が運転するフォークリフトに切り替えています。一部は、自作の自走車を用いていますが、ルートは磁気テープを床面に直接貼って、見栄えより保守性を優先しています。

行き過ぎた自動化は、障害に弱く復旧に時間がかかる。このことは、ネットワークの災害対策のヒントにならないでしょうか。

「3.11」後に津波被害を受けた自治体を訪れた時に、通信に関していろいろとお聞きする機会がありました。職員や避難所間の通信に、非常に苦労をされていました。ただ、もし一般の電話等の通信ができていたとしたら、電話に出てしまうことで目の前にいる役場に殺到した被災者への対応ができず怒られ、電話に出なければ電話をかけてきている方の不満になっていたと思う、とのことでした。繋がらなくて良かったかもしれない、とお話しされた人がいました。災害時の通信確保のあり方を十分検討する必要があります。

大規模災害が発生した時のために、有効な対策が実施されることを願っています。


 

■筆者略歴

晋山 孝善(しんやま たかよし)

ジェットインターネット株式会社 代表取締役。しばたの未来株式会社 代表取締役。社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)常任理事および地域ISP部会部会長、宮城県インターネットサービス協会 代表理事、宮城県南部の異業種交流会ブルースカイネット 会長などを務める。