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国連IGFにおけるIPv6 Best Practices Forumのご紹介(その1)

投稿者 dom_gov_team on 2017年4月7日

国連主催のInternet Governance Forum (IGF)にて、IPv6に関する成果文書が公開されていることはご存知でしょうか。

これは、IGFにおけるIPv6に関する「Best Practices Forum」と呼ばれる活動のもと、2015年と2016年に発表されたものです。

IGFにおけるBest Practices Forumとは、毎年四~五つの特定テーマに関する最適な運用を、成果文書として取りまとめる活動です。IGF会議開催の半年以上前からメーリングリストと定期的なテレカンファレンスにより議論を積み重ね、IGF会議でも対面で議論した上で、最終的な文書が国連IGFのWebサイトに公開されます。

2016年のIPv6に関するBest Practices Forum(以下、IPv6-BPF)は、CoordinatorをJPNICの奥谷が、バングラデシュのBDNOG BoardのChairであるSumon Ahmed Sabir氏と務め、地域インターネットレジストリ(RIR)コミュニティメンバーの協力を得ながら、文書策定・公開に至りました。

本文書は、政府のインフラ基盤整備等に関わっている政策担当者や、企業の幹部を読み手として想定しているため、内容としては運用者やIPv6の導入促進に取り組んできた事業者にとって目新しいものではありません。RIRコミュニティが本文書を策定するにあたって運用者はむしろ、IPv6導入に向けた取り組みについて知見を持つ立場として内容を充実させるなど、中心的な役割を果たしています。日本からも、文書中の事例紹介に国内の事例を提供するなどの形で貢献しました。

2015年はIPv6導入に向けた政府、コミュニティ主導のタスクフォース、事業者等、さまざまな関係者の役割や事例を紹介し、2016年は経済的な要素に基づくインセンティブに重点を置きました。これは、個々の取り組みに入る前に、IPv6導入のインセンティブを共有することが大切だとのインプットが、2015年のIGFで行われたことに対応したものです。

CNB_s.jpg IGFのメインセッションでIPv6-BPFの代表として登壇中のSumon Ahmed Sabir氏とJPNIC 奥谷

■ なぜIGFでIPv6に関するBest Practices Forum活動を実施に至ったのか

インターネットガバナンスの場でIPv6について議論されることはこれが初めではなく、過去には経済協力開発機構(OECD)アジア太平洋経済協力会議 電気通信・情報作業部会(APEC TEL)にてIPv6導入に関する文書が提供されたり、また国際電気通信連合(ITU)を通じてIPv6アドレスを分配するスキームが議論されたこともあります。

一方、昨今グローバルなインターネットガバナンスの場では、「(途上国への)アクセス提供」と「セキュリティ」が着目されているトピックスとして挙げられます。

IGFにおいては2015年から、グローバル・地域・国・単位で「次の10億への接続提供」をIGF共通のテーマとして掲げ、意見募集を実施しました。その観点でIPv4のように有限ではなく、今後インターネットへ接続する機器やユーザーに対して分配できるインターネットの重要資源として、IPv6が2015年および2016年のIGFにおけるBest Practicesのテーマの一つに選定されました。

また、政府、民間、技術コミュニティ、市民社会(一般の利用者)と、さまざまな関係者が参加するマルチステークホルダーアプローチを掲げているIGFは、技術者だけではなく、企業の幹部、場合によっては政府等国レベルでの取り組みや連携を必要とする、IPv6の導入に向けて必要な対応とも合致します。

このような背景から、IGFのプログラムを検討するMAG (Multistakeholder Advisory Group)により、IPv6に関するBest Practices Forumの実施について支持が得られました。

また、グローバルに見るとIPv6の導入率が0%の国もまだ少なくなく、これらの国単位での認識向上や検討につなげる上で、国連IGFはICT分野での政策担当者等にリーチする場として、技術コミュニティの中での情報交換に加えた認知の広がりを期待したいところです。

■ IGF IPv6 BPF活動・成果文書

IGF IPv6 BPF活動に関する情報、メキシコで開催されたIGF会議でのIPv6-BPFセッションの動画、IPv6-BPF成果文書、文書の概要については、以下より参照可能です。

IPv6-BPFpanel_s.jpg

■ 成果文書への反応・アウトリーチ

2016年12月にメキシコで開催されたIGF 2016会議での成果文書の紹介を受けて、中国の事業者、メキシコの学術系ネットワーク、韓国の政府関係機関より、国に帰って広めたいとの反応を受けました。

各種アウトリーチとして、業界情報提供サイトではRIPE labsAPNICのblogCircleIDで概要が紹介されました。政府間機関へのアウトリーチとしては、2017年5月のOECD総会で紹介する方向でRIPE NCCが調整をしてくれています。

アジア太平洋地域においては、APNICのインターネットガバナンスについて議論を行うセッションであるCooperation SIGでの発表や、2016 APrIGFにてアジア太平洋地域におけるIPv6セッションを企画・開催し、地域の視点からの議論、インプットを行いました。2017年のAPrIGFでも、セッション企画の応募をしています。また国内においては、IPv6 Summit Tokyoにて2015年と2016年に発表の機会をいただきました。このように成果文書の発表をきっかけとして、その内容と認知度を広めていただく活動は大変歓迎しています。

そして何よりも、成果文書策定にあたり、日本からの事例提供にご協力いただきました東日本電信電話株式会社、ソニー株式会社、東京大学の江崎浩先生にこの場を借りて感謝申し上げます。

今回のブログでは、IPv6 BPFの活動について取り上げました。このIPv6-BPF活動・成果文書を通して確認できたこと、日本から貢献する余地については、近日中に公開する別のブログ記事にてご紹介する予定です。楽しみにお待ちください!