ARIN 36がモントリオールで開催されます
ip_team IPアドレス 他組織のイベント各提案について議論の結果を追記しました(2015/10/20)
2015年10月8日(木)~9日(金)の日程で、カナダ・モントリオールにおいてARIN 36ミーティングが開催されます。
APNIC地域と同様に、メーリングリストのほかオフラインミーティングの場でも、ARIN地域におけるIPアドレス・AS番号の分配ポリシーについて議論が行われます。
ARINミーティングでは、毎回多くのポリシー提案が議論されることが特徴ですが、今回は以下の11個の提案について、議論が予定されています。 ここではその全てについて、詳細をご案内することができませんので、それぞれの提案を簡単にご紹介します。提案の詳細は、提案の日本語訳に貼られたリンクから確認することができます。
メーリングリストでの議論の内容は、メーリングリストのアーカイブから参照することが可能です。 当日は、中継が行われる予定ですので、ご興味を持たれた方はリモートで参加してみてはいかがでしょうか。
■Recommended Draft Policy ARIN-2015-1: エンドユーザーへのIPv6アドレス割り当て基準変更
エンドユーザーへのIPv6アドレス割り当て基準に、以下のeを追加する提案です。
- ARINもしくは前身となるレジストリでの審議を経てIPv4アドレスの割り当てを受けていること、または
- 割り当てを受けたグローバルAS番号を利用して、IPv6によるマルチホームをしているもしくはIPv6によるマルチホームをする予定であること、または、
- 12ヶ月以内に最低2000のIPv6アドレスをアクティブに利用すること、または、
- 12ヶ月以内に最低200の/64のサブネットをアクティブに利用すること、または、
- 12ヶ月以内に最低13のアクティブなサイトがある連続ネットワークを持っていること、または、
- ISPや他のLIRからの割り当てが適切ではない点について、技術的に妥当な理由を説明できること
→議論の結果:メーリングリストでのラストコールへ進める(2015/10/20追記)
■Draft Policy ARIN-2015-2: レジストリ間移転の基準変更
現在、ARINからIPv4アドレスの割り振り・割り当てを受けてから12ヶ月間は、移転の承認を受けることができません。この提案では、12ヶ月となっている、移転可能となるまでの期間を撤廃するものです。
→議論の結果:ARIN ACによる検討を継続する(2015/10/20追記)
■Draft Policy ARIN-2015-3: エンドユーザーへのIPv4アドレス割り当て基準変更
エンドユーザーへのIPv4アドレス割り当て基準から、以下のaを削除する提案です。
- 30日以内の利用率が申請サイズの25%に達する、かつ
- 1年以内の利用率が申請サイズの50%に達する
→議論の結果:ARIN ACによる検討を継続する(2015/10/20追記)
■Recommended Draft Policy ARIN-2015-4: 合併や企業買収に伴うIPアドレス・AS番号の移管に関わるポリシー文書改定
合併や企業買収に伴うIPアドレス・AS番号の移管の際には、移管を受けるIPアドレス・AS番号を利用するための資産を持っていること証明する書類を、移管先組織からARINに提出する必要があります。現在のポリシーにも記述されていますが、より具体的に記述するための提案です。
→議論の結果:メーリングリストでのラストコールへ進める(2015/10/20追記)
■Draft Policy ARIN-2015-5: ARIN管轄地域外での、ARIN管理下のIPアドレス・AS番号利用についての提案
ARIN管理下のIPアドレスを、ARIN管轄地域外で利用することについては、現行ポリシーでは何も記述されていません。 この提案は、ARIN管轄地域外において、IPアドレス・AS番号を利用する際の基準の新規策定を目的としています。
→議論の結果:Draft Policy から Recommended Draft Policyへと進める(2015/10/20追記)
■Draft Policy ARIN-2015-6: 複数の国にまたがるネットワークで利用するためのIPv4アドレス移転についての提案
IPv4アドレスの有効利用の観点から、現在のポリシーでは、メンバーが、ARIN管轄地域外にあるネットワークで利用するためIPv4アドレスの移転を受けることを許可していません。このようなケースの移転を承認することができるよう、ARIN管理下のアドレスを利用する際に、組織の物理的な所在地を考慮しない形で基準を定める提案です。
→議論の結果:ARIN ACによる検討を継続する(2015/10/20追記)
■Draft Policy ARIN-2015-7: IPv4アドレスの移転時における審議基準の簡略化
IPv4アドレスの移転時における審議基準は、ARINから新たなIPv4アドレスの分配を受ける際の基準と同じものとなっています。この基準とは別に、2年以内に移転予定のIPv4アドレスの50%を集約して利用する、という基準を設けて、いずれかの基準により申請できるよう変更するための提案です。
→議論の結果:ARIN ACによる検討を継続する(2015/10/20追記)
■Draft Policy ARIN-2015-8: エンドユーザーへのIPv4アドレス再割り当てについての提案
IPv4アドレスの割り当て先組織が、自身の顧客や子会社などのエンドユーザーに再割り当てを行った場合に、その情報をデータベースに登録できるよう、その基準を定める提案です。
→議論の結果:ARIN ACによる検討を継続する(2015/10/20追記)
■Draft Policy ARIN-2015-9: IPv4アドレスの移転時における需要確認の撤廃
IPv4アドレスの移転を受ける際には、ARINに対して、今後24ヶ月(2年)間のIPv4アドレスの利用計画を提出する必要があります。この内容を元に、ARINは移転を可能とするIPv4アドレスサイズについて審議を行っています。この利用計画の提出を廃止する提案です。
→議論の結果:ARIN ACによる検討を継続する(2015/10/20追記)
■Draft Policy ARIN-2015-10: IPv6アドレスの最小再割り当てサイズを/56とすることについての提案
配下ISPの顧客などのエンドサイトに対して、IPv6アドレスの再割り当てを行う場合に、最小再割り当てサイズを/56とする提案です。
→議論の結果:棄却(2015/10/20追記)
■Draft Policy ARIN-2015-11: ARIN通常在庫枯渇に関わる記述削除の提案
ARINにおける通常在庫が枯渇したため、IPv4アドレスの移転を定めた要件の中から、「ARINの通常在庫が枯渇するまで」という記述および関連する内容を削除する提案です。
→議論の結果:ARIN ACによる検討を継続する(2015/10/20追記)
写真は、2015年4月に米国・サンフランシスコで開催されたARIN 35ミーティングの様子です。ARINミーティングでの提案内容やその結果は、APNICやJPNICでのポリシー議論の動向にも影響を及ぼす可能性があります。今回はどんな議論が展開されるかとても気になりますね。