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IPv6のサービス利用とアドレス入手について

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2015年9月16日にアップル社のiOS 9が、そして10月1日にはOS X El Capitanがリリースされました。

これに先立って2015年7月にチェコのプラハで開催されたIETF93にて、今後iOS9で動作するアプリはすべてIPv6サポートし、DNS64+NAT64環境下で動作することを必須とすること、また、iOS 9とOS X El Capitanで実装されるHappy Eyeballsの実装では、IPv6接続が優先され、IPv4で接続を試みようとする場合、25msの遅延が入ることになるといった発表がアップル社よりありました。これは、アップル社としては、IPv6によるインターネット接続を前提として、今後の製品の開発、提供を行っていくという姿勢を明確に示したことになり、一部ではかなり好意的なアナウンスだと受け取られているようです。

こういった発表を受けて、にわかにIPv6のネットワーク環境整備を必要とする人々が増えてきているとのことです。しかし、実際にIPv6アドレスを取得する方法や、IPv6接続サービスの利用申し込み方法などが、今ひとつよく分からないという声もあるようです。そこで、今回はIPv6アドレスの取得方法と、IPv6接続サービスの利用にあたって参考となる情報を書いていこうと思います。

個人ユーザー/SOHOユーザーがIPv6の接続サービスを利用したい場合

質問:「自宅やSOHOオフィスのインターネット回線をIPv6接続可能にするためにはどうすればいいですか?」
回答:「現在ご利用しているISPにご相談ください。」

ということになるのですが、これだけだと身も蓋もないのでもう少し解説してみます。

IPv6普及・高度化推進協議会が公表している、日本におけるIPv6の普及状況調査の2番目の表を見ていただくと分かるとおり、KDDI株式会社のauひかり、または中部テレコミュニケーション株式会社のコミュファ光を利用しているお宅であれば、かなりの割合で既にIPv6が利用できている可能性があります。もし、これらのサービスをご利用いただいている場合は、JPNICのトップページにアクセスしてみてください。左上に「あなたは IPv6 でアクセスしています。」と表示されれば、ご利用のインターネット接続サービスは既にIPv6に対応していることになります。

東日本電信電話株式会社(NTT東日本)および西日本電信電話株式会社(NTT西日本)のフレッツ光ネクストを利用している場合、契約しているISPによってはIPv6接続の利用が可能になっていると思います。ISP各社では、IPv6のデフォルト提供を可能とすべく対応を進めており、あまりユーザーに対して意識させることなくIPv6対応を行おうとしているようです。そのため、明示的にIPv6の利用について案内しているところはあまりないようです。新規契約に対して、IPv4/IPv6デュアルスタックで提供しているISPも増えてきていますが、既存ユーザーへの対応という点では、各社で対応が異なるようですので、問い合わせをしてみた方がよいと思います。また最近は、各ISPがNTT東西からフレッツ回線の卸提供を受ける形をとり、コラボモデルとしてサービスを展開していますので、こういったサービス利用のための新たに契約をする際に、IPv6を利用できるようにするという手もあるかもしれません。

また、モバイルでIPv6接続を利用しようとお考えの場合は、株式会社NTTドコモでは、mopera Uを、KDDI株式会社のauではLTE NET for DATAのサービスを契約し、対応する端末を利用することでIPv6接続が可能になります。またソフトバンク株式会社でも、USBスティックタイプの端末403ZTを利用することでIPv6接続が利用できますが、こちらは契約が法人向けとなっています。

いずれにせよ、詳細についてはご契約の各ISPに一度ご確認、ご相談してみることをお勧めします。

法人ユーザーがIPv6接続サービスやIPv6アドレスの割り当てを受けたい場合

こちらについても、基本的にはご契約、お取り引きのあるISP事業者などにお問い合わせいただくのが間違いありません。個人向けサービスよりも、法人向けサービスの対応を進めているISPや事業者も多く、IPv4と同様に固定アドレスの割り当ても対応可能だと思います。現在、IPv6アドレスの割り当てを行うことができる、つまりIPv6アドレスの割り振りを受けている事業者はこちらの一覧を参照してください。このリストにある事業者であれば、IPv6アドレスの割り当てについてのご相談に乗っていただけると思います。

また、自社/自組織のネットワークをIPv6対応させるために、2014年度に総務省が公開した「IPv6対応ガイドライン」が参考になるかもしれません。自社のシステム部門で対応する上でも、外注のSI事業者に対応を依頼する上でも、一度内容をご覧になることをお勧めします。

JPNICからIPv4アドレスの割り当てを受けていてIPv6アドレスも取得したい場合

現在、既にJPNICよりマルチホームのための特殊用途用プロバイダ非依存(PI; Provider Independent)アドレス割り当てを受けている場合は、そのネットワークをIPv6対応にすることを目的とする限り、IPv6アドレスの割り当てを受けることができますので、Web申請システムから申請手続きを行ってください。現在のプロバイダ非依存アドレス割り当てサービス契約書の変更契約書を別途締結するとともに、割り当てるIPv6アドレス空間の通知を行います。

歴史的PIアドレスの割り当てを受けていて、IPv6アドレスの割り当てを受けたい場合は、3ヶ月以内にマルチホームによるネットワークを運用する計画があることを示すことによって、IPv6の特殊用途用PIアドレスの割り当てを受けることが可能です。上記と同様にweb申請システムにて、新たに特殊用途用PIアドレスの割り当て申請と契約手続きを行ってください。

手続きの詳細についてはこちらをご覧ください。

IPv6アドレスの割り当てにあたっては特段の費用はかかりません。また、年に1回お支払いいただくIPアドレス維持料についても、原則はIPv4アドレスのサイズに応じていただくことになりますので、IPv6の割り当てを受けることで、維持料の金額が変化することはありません。

現在IPアドレス管理指定事業者でIPv6アドレスの割り振り受けたい場合

現在IPアドレス管理指定事業者で、IPv4アドレスの割り振りを受けていれば、記入例を参考にして、今すぐWeb申請システムからIPv6アドレスの割り振り申請を行ってください。申請フォームの必須項目を入力するだけで、/32のIPv6アドレスの割り振りを受けることができます。

特に割り振りにかかる費用はありませんし、IPアドレス維持料についても、IPv4アドレスとIPv6アドレスのいずれか大きいほうのサイズで算出した金額をいただくことになりますので、こちらも基本的には金額が変化することはありません。

新規にJPNICからIPv6アドレスの割り当て/割り振りを受けたい場合

現在、特にJPNICからIPアドレスやAS番号の分配を受けておらず、新たにIPv6アドレスの割り当てまたは割り振りを受けたい場合は、要件を確認の上、手続きを行ってください。IPアドレス管理指定事業者となることを希望する場合は、こちらをご参照ください

特殊用途用PIアドレスの割り当てを受けたい場合は、こちらをご参照ください。

アップル社の発表にあったように、今後はIPv4オンリーでは明らかに不利になるという状況にもなってくるようですので、IPv6接続環境の整備に関して少しでも参考になれば幸いです。

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