ARIN 37がモンテゴベイで開催されます
ip_team IPアドレス 他組織のイベント2016年4月17日(日)~20日(水)の日程で、ジャマイカ・モンテゴベイにおいてARIN 37ミーティングが開催されます。
ARIN地域におけるIPアドレス・AS番号の分配ポリシーに関する議論は、メーリングリストのほかオフラインミーティングの場で行われます。
ARIN 36でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案に関する記事では、毎回多くのポリシー提案が議論されることがARINミーティングの特徴とご紹介しましたが、今回議論が行われる予定の提案数は5件と、前回の半数以下となりました。
今回は、議論が予定されている5点の提案について簡単にご紹介します。提案についてご興味をもたれた方は、提案名に張られたリンクから詳細を確認してみてはいかがでしょうか。
■Draft Policy ARIN-2015-2: Modify 8.4 (Inter-RIR Transfers to Specified Recipients) レジストリ間移転の基準変更
現在、ARINからIPv4アドレスの割り振り・割り当てを受けてから12ヶ月間は、移転の承認を受けることができません。この提案は、12ヶ月となっている移転可能となるまでの期間を撤廃するものです。
■Draft Policy ARIN-2015-3: Remove 30 day utilization requirement in end-user IPv4 policy エンドユーザーへのIPv4アドレス割り当て基準変更
エンドユーザーへのIPv4アドレス割り当て基準から、以下のaを削除する提案です。
- 30日以内の利用率が申請サイズの25%に達する、かつ
- 1年以内の利用率が申請サイズの50%に達する
■Draft Policy ARIN-2015-7: Simplified requirements for demonstrated need for IPv4 transfers IPv4アドレスの移転時における審議基準の簡略化
IPv4アドレスの移転時における審議基準は、ARINから新たなIPv4アドレスの分配を受ける際の基準と同じものとなっています。この基準とは別に「2年以内に、移転予定のIPv4アドレスの50%を集約して利用する」という基準を設けて、いずれかの基準により申請できるよう変更するための提案です。
■Draft Policy ARIN-2015-9: Eliminating needs-based evaluation for Section 8.2, 8.3, and 8.4 transfers of IPv4 netblocks IPv4アドレスの移転時における需要確認の撤廃
IPv4アドレスの移転を受ける際には、ARINに対して、今後24ヶ月(2年)間のIPv4アドレス利用計画を提出する必要があります。この内容を元に、ARINは移転を可能とするIPv4アドレスサイズについて審議を行っています。この利用計画の提出を廃止する提案です。
■Draft Policy ARIN-2016-1: Reserved Pool Transfer Policy 予約IPv4アドレス空間に関する移転ポリシー
パブリックな相互接続点やrootDNSおよびccTLDなどの重要インフラへの割り当てIPv4アドレスとして予約されている/15および、IPv6の普及目的に割り当てられるIPv4アドレスとして予約されている/10について、移転の対象外とする提案です。
ポリシー提案は、各地域のRIRが定めるポリシー策定プロセスに従って検討が進められます。ARIN地域でのポリシー策定プロセスも文書にまとめられており、提案が実装されるまでの流れを表したものが以下の図です。(図をクリックすると拡大表示されます)
どの提案も、ポリシーが実装されるまでにはまだまだ長い道のりになりそうですね。
この長い道のりの中で多くの関係者が議論に参加することで、提案内容がより研ぎ澄まされていき、本当に必要な提案のみが実装されていく印象があります(もちろん、感想には個人差があります 🙂 )。
メーリングリストでの議論の内容は、メーリングリストのアーカイブから参照することが可能です。また、ミーティング期間中は中継が行われる予定ですので、ご興味を持たれた方はリモートで参加してみてください。皆様の感想もお待ちしています 😎
写真は、2015年10月にカナダ・モントリオールで開催されたARIN 36ミーティングの様子です。今回はどんな議論が展開されるかとても気になりますね。議論の結果は、この記事をアップデートする形でご報告する予定です。