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ドメイン名の統計調査から見えてくること

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JPNICが提供している統計情報

JPNICでは「ネットワークインフォメーションセンター」の名前の通り、各種メディアでさまざな情報提供をしています。その中にドメイン名の統計情報があるのをご存じでしょうか?

そう聞くと、「JPNICなのにIPアドレスじゃなくてドメイン名の統計情報?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は地味に毎月調査して数字を公開しています。

gTLDに関する統計
https://www.nic.ad.jp/ja/stat/dom/gtld.html

ccTLDに関する統計
https://www.nic.ad.jp/ja/stat/dom/cctld.html

もちろん、IPアドレスに関する統計情報も公開しています。

IPアドレスに関する統計・各種リスト
https://www.nic.ad.jp/ja/stat/ip/

ドメイン名の統計調査の舞台裏

この統計情報の調査ですが、ご想像通り、大変地味なものです。それでもまだ、gTLDの統計は、各レジストリからICANN (The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)に提出された月次のレポートが公開されていますので、そこから数字を拾っていけばOKです。

一方、ccTLDはレジストリによって数字の出し方がまちまちで、そもそも登録数を公開していないccTLDもあります。たとえば、.tk(トケラウ諸島)などは登録数が2,000万件を超えており、ccTLDの中では世界一登録数が多いと言われていますが、レジストリのページでは特に数字は公開されていません。

そして公開しているccTLDについても、「月ごとの登録数を出しているところ」「Webページに現時点の登録数のみ表示しているところ」「四半期や年ごとにレポートの形で公開するところ」と、さまざまです。しかも、Webサイトのリニューアルに合わせて、公開方法が変わったり、公開を止めたりするところもあります。

また、のんびりしたccTLDだと、ある時急に数字が更新されなくなったと思ったら、数ヶ月後に思い出したようにまとめて更新されたりもします。

数字が語るさまざまなこと

さて、こうやって地道に調べた統計情報ですが、この数字は何の役に立つのでしょうか?

もっとも多いパターンとしては、インターネットユーザーの数や傾向を知りたい場合や、レポートを書いたりする時などの補助資料としての活用かもしれません。「あの頃はドメイン名がどのぐらい登録されていたのだろうか?」とか「登録数の多いgTLDトップ10は?」 とか、そういうものです。JPNICでも、学生や研究者、メディアの方からコンスタントに問い合わせを受けています。

しかしこうした数は、「単純に数字を眺めてみる」だけでも、実は結構面白いものだったりもします。

もちろん、「数字がだんだん増えていく」といった、多くの人が想像するような経過を辿っているccTLDが多いのは確かです。

これは.de(ドイツ)の登録数推移です。順調に数字が増えていっていますが、特に面白みはありませんね(笑)。

一方、急に大きく数字が変化するTLDもあります。

これはgTLDである、.proの登録数推移です。おおよそ10数万件前後でずっと推移していたのですが、この記事を書いている時点で最新の数字である2016年2月分のデータだと、急に3倍近い登録数になっています。

このようなことは調査をしているとたまに見ることがあり、中には単なるミスということもありますが、大抵は何かがそのTLDの中で起きたというパターンです。

この.proの場合は、2015年11月に登録ルールが大幅に緩和され、元々は登録できるユーザーに制限があったのですが、世界中の誰でも登録できるようになったために、登録数がぐんと増えたのです。

このように数字が急に変わると「何かあったのかな?」と想像できるようになります。

中には、もっと激しい動きをしているTLDもあります。

ここで.deのグラフに、.cn(中国)の登録数推移のグラフを重ねてみましょう。

激しいですね(笑)。一体、中国で何が起こっているのでしょうか?

実は.cnは2007年3月に1ドメイン名の登録料金を1元にするキャンペーンを展開し、ドメイン名の大幅登録増を図ります。2008年8月の北京オリンピックに向けて、オリンピックとドメイン名を絡めたさまざまな企画なども行われ、グラフのような猛烈な勢いで登録数を増やしていきます。

「.cnを世界一のドメイン名に!」といったかけ声の下、その後もどんどん登録数を増やしていき、2007年2月には.uk(イギリス)を抜いて登録数が公開されているccTLDの中では2位に、2008年7月には.deを抜いてついに1位になります。

1ドメイン名1元キャンペーン自体は2008年12月に終了しますが、その後も順調に登録数を増やして2009年4月にはついに1,400万件を突破します。その後は多少の増減を繰り返しつつ、.deを抜いたり抜かれたりしていたわけですが、2010年2月から急激に登録数が減り始めます。

これは2009年12月に.cnの登録規則が大幅に厳しくなり、本人確認が厳格化された影響だと思われます。ドメイン名の登録申請を行う際に、さまざまな証明書類が要求されるようになりました。その影響で、たった2年ほどの間に、一時の4分の1程度にまで登録数が落ち込みました。

これで実態の伴わない怪しいドメイン名が一掃されたということなのか、しばらくして状況が落ち着くと、その後はまた2012年頃から再び登録数が増え始めます。元々大変な人口を抱えている国ですから、中国でのインターネットの普及に伴って、ドメイン名の登録数もどんどん増えていっている状況です。2015年辺りからまたグラフの伸びが急になっていますが、これは「.中国」などの国際化ドメイン名(IDN)の普及に伴うものかと思われます。

終わりに

いかがでしょうか? 一見、単なる数字の集まりに過ぎない統計情報ですが、こうやって見てみると、また違った面白さが見えてくるのではないでしょうか?

統計調査は地味な作業ではありますが、日々の積み重ねによって作られるデータです。調査を一時的にでも止めてしまうと、その期間のデータを後から振り返ることが大変難しくなってしまいます。多くの方に役立てていただけるよう、JPNICではこれからもさまざまな情報公開を続けてまいります。