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News & Views コラム:安楽椅子災害支援

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以前このJPNIC News & Viewsに、被災地でインターネットを利活用するための環境を整備する「ネトボラ宮城」の活動レポートを書いていました。東日本大震災後の主に宮城県内で行っていた活動について、震災の3年後まで報告していたものです。

 ネトボラ宮城活動レポート

その後も全国の災害に関して情報支援活動を続けていますが、復旧・復興活動に関するインターネットの使われ方は、大きく変わってきました。東日本大震災当時はスマホを持っている人もまだ少なく、支援団体側でも一部がブログを持っている程度で、オンライン情報発信の手段を持っているところは少数派でした。それから10年も経っていないのですが、今では自団体のウェブサイト上での発信が多数派となり、日常的にFacebookページを運用する団体も増えてきています。

災害支援を行う方々が、特にSNSやインターネットに慣れ親しんでいるというわけではありません。それでもひとたび災害が発生すれば、支援を必要とする方の情報を収集・整理し、災害ボランティアに来る人に現地の情報を発信し、他の支援団体の活動状況を把握するために、インターネットを上手く使うことが必要になります。そのための環境づくりや運用支援が、今は必要とされています。

ネットワークの運用管理に関わる人にとっては、災害対応として真っ先に思い浮かぶのは、停電対策、冗長化などの物理障害対策、バーストトラフィック対策などの通信経路を維持するための活動でしょう。それらの検討や努力の結果、最近ではかなり大きな災害の場合でも、多くの通信が維持されることが増えたと実感しています。もっと局所的な災害の場合には、通信環境への影響がほとんど出ないこともあります。そのような災害では被災する人の数は少ないですが、一人ひとりの被災者にとって、失ったものや生活への影響の大きさには変わりがありません。

被災者への直接的な生活支援は現場慣れしている支援者に任せる一方で、せっかく動いているインターネット環境を上手く活用して災害支援者の情報環境を充実させていく「間接情報支援」が、我々の役目だと考えています。推理小説好きの人には「安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティブ)」という単語が有名ですが、現地入りせずインターネット越しに情報支援を行うアームチェア・ディザスタサポートも、もっと有名になることを願っています。


■筆者略歴

佐藤 大 (さとう だい)
東北医科薬科大学病院災害対応担当。IT DART(情報支援レスキュー隊)代表理事。日本DMAT隊員。防災士。東日本大震災時には東北大学病院で災害対策本部業務に従事。その後ネトボラ宮城を立ち上げる。現在もオンサイトおよびオンラインの情報支援活動を行っている。