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IPv4の劣化状況とIPv6への対応を実例で学ぼう ~IW2019注目セッション紹介【第2回】~

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今年のInternet Weekのプログラムを紹介します。担当は本イベントの実行委員を務めている法林浩之(日本UNIXユーザ会)です。

今回ご紹介するのは、11月26日(火)に行われる2.5時間プログラム「Hello IPv6, Good bye IPv4 ~ 実例から学ぶ、IPv4を使い続ける努力とIPv6を使い始める努力 ~」です。このプログラムを担当している中川あきらさん(IPv6普及・高度化推進協議会(v6pc)/JPOPF運営チーム(JPOPF-ST)/日本インターネットエクスチェンジ株式会社(JPIX))にお話をうかがいました。


法林: Internet Weekではおそらく初期の頃からIPv6関連のセッションが行われていて、それも以前は3コマとか4コマとかやっていたような記憶があるんですが、昨年からコマ数を減らしていますよね。これはどういった理由からですか?

中川: かつてIPv6を独立したセッションとして扱っていたのは、IPv4が普通の環境で、IPv6は特殊な環境だという意識の表れでした。しかし、ここ数年のIPv6普及率の統計などを見ると、もはやIPv6は普通に使われている状況になっています。そういった状況を鑑みて、昨年からはIPv6をテーマとするセッションは1コマに凝縮し、あとは各セッションでIPv6についても触れてもらう方針に変えました。

法林: というわけで今年のIPv6セッションなんですが、「Hello IPv6, Good bye IPv4」というタイトルはどういう意図で付けたんですか?

中川: ああ、これは、今年のIWのテーマ「新陳代謝」の英訳です(笑)。IPネットワークの世界における新陳代謝といえばこれかなと。でも、これだけだとセッション内容を想像しにくいのと、今回、発表内容で実例にこだわった点を強調したかったので、サブタイトルを「実例から学ぶ、IPv4を使い続ける努力とIPv6を使い始める努力」としました。

法林: 実例や事例は聴講者の関心が高いですよね。今回のセッション内容を見ると、最初がGood bye IPv4の事例ですかね。

中川: そうですね。コナミの佐藤さんにお願いしたんですが、これはゲーム業界からの「悲鳴」です。IPv4アドレスは8年前に枯渇して、今では世界規模でネットワーク事業者がIPv4アドレス共有装置を導入しているんですが、その影響で「IPv4で、ある条件が重なると通信ができない。ゲームができない!」という状況が生まれています。このような現場の悲鳴というか、ナマの声を共有したいです。

法林: なかなか生々しい話が聞けそうですね。そして後半の2件はHello IPv6の事例ですね。

中川: はい。IPv6に関しては、もっとも導入に時間がかかりそうな法人のIPv6化に着目しました。今回は中小規模の法人と、大規模法人の2つのIPv6導入事例を紹介します。

法林: 法人がIPv6を導入するのって、どんな理由があるんですか?

中川: そこがセッションの見どころなのでぜひセッションを見てもらいたいんですが、単にIPv6に付加価値があるからとか、IPv6にすると利益が出るからといった単純な理由ではありません。かといって、前半のGood bye IPv4の事例のように、IPv4を使うことが重荷になっているのが理由かというと、それも理由の1つではありますが、それだけではありません。近年顕著になってきたワークスタイルの変化が影響しています。

法林: ワークスタイルの変化がIPv6を導入する理由になるというのは、どうつながるのか気になりますね。ここはセッションを楽しみにしましょう。大規模法人の方はどんな話が出る予定ですか?

中川: こちらはIIJの事例をご紹介いただきます。IIJは皆さんもご存じのように日本のISPの草分けで、社内ネットワークにおけるIPv6の利用は1990年代後半にまで遡るらしいんですが、だからこそIPv6の利用にも歴史があります。そのあたりの技術的変遷を経て現在はどうなっているか、実際に運用している方が講演されます。

法林: これは歴史的な重みも含めて聴いてみたい講演ですね。では最後に、このセッションをどんな人に見てもらいたいかを教えてください。

中川: IPv6の導入って、もうずっと前からいろんなところで言われている課題だと思うんですが、そのうちIPv6を導入しないといけないことになりそうなんだけど踏ん切りがつかない人って結構いると思うんですよね。そういう方々にはぜひこのセッションを聴いていただきたいですね。ゲームというたった1つの業界、たった2社の法人という限られた事例ではありますが、必ず応用が効くセッションになると思います。自分がいる業界や会社、自分が運用しているネットワークに照らし合わせて受講すると、学びの多いセッションになると信じてます。

法林: ありがとうございました。このセッションを聴くことでさらにIPv6の導入が促進されることを期待しています。

 

S2 Hello IPv6, Good bye IPv4 ~ 実例から学ぶ、IPv4を使い続ける努力とIPv6を使い始める努力 ~

https://www.nic.ad.jp/iw2019/program/s02/

日時 2019年11月26日(火) 09:30 ~ 12:00
場所 3F Room3
参加料金 <事前5,600円/当日8,500円>
概要

近年、 アメリカを中心とした諸外国においてはIPv6対応が急速に進んでいます。 国内においても大手モバイル各社は2017年からIPv6のデフォルト提供を開始しました。 固定アクセスサービスで最大シェアを持つNTT東西社においては、 66%・1400万もの契約者が知らずのうちにIPv6を使っています。 一方、IPv4においては、 世界的にIPv4アドレス共有が進み通信できないアプリケーションが散見されるなど、 IPv4の「劣化」が進行してます。

本プログラムにおいては、 Internet Week 2019のテーマ「新陳代謝」に合わせ、 IPv4からIPv6に新陳代謝が進んでいるインターネットを実例を用いて解説します。 前半はIPv4において通信に影響が出ているゲームの実例、 後半は中小法人のIPv6導入の実例を紹介します。 このプログラムを通して、IPv4の何が劣化しているのか、 どうすればIPv6対応できるのかについての一部をお持ち帰りいただきたいと思います。

内容

09:30~10:20   ゲームにおけるIPv4の品質変化と対策事例

  • 佐藤 元彦(株式会社コナミデジタルエンタテインメント 技術開発部)

IPv4の品質は「遅延・接続性面」において、 年を追うごとに悪化の一途をたどっています。 要因となるのは、いわゆるPPPoE輻輳問題であったり、 IPv4共存技術/CGNがインターネット環境/CPEに与えた影響であったり、 そもそものトラフィックの増加であったりとさまざまです。 そんなIPv4の品質変化は、 もちろんゲームユーザー体験にも影響を及ぼします。 そしてもちろん、 それが悪影響であるならば我々は対策を講じねばなりません。

と、そうしてここ数年色々やってきたものの、 カオスへ向かうIPv4環境へのキャッチアップのコストは指数関数的に上昇し、 さすがに色々限界です。 故に、捨てられる可能性のあるIPv4に関しては、 積極的に捨てるという選択がそろそろ必要になってきたなぁ、 という今日この頃。 本プログラムは、 IPv4のカオスな現状とそれに対する対策事例を紹介するとともに、 コンテンツのIPv4との付き合い方の未来について、 ゲームの現場の一角からみたビジョンをお話ししたいと思います。

10:30~11:15  Hello IPv6-1 IPv4枯渇の影響を受け始めた中小法人

  • 久保田 聡(日本ネットワークイネイブラー株式会社)

IPv4枯渇から8年たった今、 IPv4枯渇の影響が中小法人において出てきました。 本プログラムでは、 前半で中小法人が受けるIPv4枯渇の影響を解説し、 後半では小規模法人である当社やお客様での導入事例を交えてIPv6を用いた解決策を紹介します。

11:15~12:00 Hello IPv6, Good bye IPv4へのいばらの道 ~社内ネットワーク運用者から見たIPv6運用の実例~

  • 井内 悠(株式会社インターネットイニシアティブ)

IIJでは1990年代後半から社内ネットワークにIPv6をいち早く導入しました。 RAによるステートレス自動設定からスタートし、 DHCPv6サーバによるステートフル自動設定を経て、 現在はIPv4/IPv6デュアルスタックで運用しております。

本プログラムではIIJの社内ネットワークにおけるIPv6対応の歴史から構成の変遷、 そして話者が業務を通じて体験したIPv6対応の実例を設計・調達・構築・運用の各観点からご紹介します。

対象者
  • IPv6の導入を具体的に考えている方
  • IPv4アドレス共有により出ている具体的な影響を知りたい方
  • ゆくゆくはIPv6導入が不可欠になってゆくことを理解しつつ、踏み切れない幅広い方々